見出し画像

2020年に観た映画から20作品を振り返る

あっという間に12月になりました。今年は外出する機会も少なく、映画館に行った回数も少なかったように思います。

今回の日刊かきあつめのテーマは「#2020年の振り返り」ということなので、本日までで2020年に観た映画120作品(短編・長編、劇場・レンタルも含む)の中から、特に印象的だった20作品を振り返っていこうと思います!

(ネタバレ含みます。ご了承ください。)


カメラを止めるな!スピンオフ『ハリウッド大作戦!』

2017年に公開された『カメラを止めるな!』のスピンオフ作品。本家のキャスト・スタッフ、フォーマット(最初に作品を見せる→その裏でどんなことが起きていたかネタバレする)を踏襲しているので、インパクトは薄いものの、「カメ止め」ファンには嬉しい作品でした。DVDにはコメンタリーも収録されていて、「裏話のさらに裏話」が見れて楽しいです。

ちなみに自粛になってすぐに『カメラを止めるな!リモート大作戦!』という作品をYouTubeで公開されていて、そのスピード感に驚かされました。いろんな意味でカメラを止めない力強さに、勇気づけられた作品です。

パラサイト 半地下の家族

この映画を語らずして、2020年の映画は語れないでしょう。第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞し、続く第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞した2020年を代表する作品です。

予想外の展開を見せる脚本も良く、映像もばっちり決まっていて、社会風刺の一面もあって・・・と誰が見ても楽しめる映画だと思います。(グロいシーンがあるので、苦手な人は注意が必要です。)

そしてこの作品は、映画レビューアプリ「Filmarks」の初提供作品でもあります。Filmarksの新しい挑戦という点でも、個人的に印象深い作品です。

ジョジョ・ラビット

笑って泣ける戦争映画でした。

ジョジョくらいの少年にしてみれば、なぜ戦争するのか、ユダヤ人を迫害するのか、その理由は分かるはずもありません。友達と一緒に遊ぶことが一番楽しい時期です。

子供時期にありがちな「みんなと一緒に居たい」感を、戦時中の思想統制と上手く重ね合わせながら、そこから自分にとって本当に大切なこと、誰かを愛することを知って大人へと成長していくストーリーが見事です。

またジョジョの母親を演じるスカーレット・ヨハンソンがキュートでカッコイイのも見どころの一つです。好き。

家族を想うとき

労働者階級や貧困などをテーマにした社会派映画に定評がある名匠ケン・ローチ監督の最新作です。

海外の映画でありながら、父親がワンマイルの配達会社で、母親が介護職の共働きという設定が、日本でもありえそうな家族設定なんで共感しやすかったです。
日常生活の中で嬉しさや楽しさを見つけても、それを持続させるのは難しい。思わず自分の生活に置き換えて考えてしまう作品でした。

さよならテレビ

「テレビはオワコン」と世間では囁かれて久しいですが、「こんなに面白いコンテンツを作るテレビは捨てたもんじゃない!」と唸ってしまった映画です。

フェイクドキュメンタリー、悪く言えば「やらせ」と呼ばれるテレビのお家芸ではありますが、それを上手に利用しており、シニカルながらテレビにしか出来ない面白さでした。
テレビの制作力はまだまだ捨てたもんじゃない、と思わされました。(家にテレビがないので、今後もテレビは観ませんが)

最初の晩餐

今年一番泣いた映画です。

美味しそうな料理と共に、その料理にまつわるエピソードが出てくる形で話が展開していきます。

この家族はステップファミリーで最初はギクシャクしているものの、料理を通じて少しずつ互いを理解していく様子が素敵でした。

我が家も似たようのところがあるので、どうしても自分の思い出ともリンクされてしまいました。家でご飯を食べながら鑑賞したのですが、ご飯の味が分からなくなるくらいに泣いた。。。


メランコリック

基本はバイオレンス&サスペンスなのですが、コミカルで青春っぽさもあって、人間ドラマもあるという、最高な映画です。端的に言うとめちゃくちゃ好きな映画でした。

銭湯の人たちがとんでも無い仕事をしているのに、妙に人間味溢れていて、バイオレンスが苦手な人でも(割と)見やすい映画かなと思います。
メランコリックな日常の中にも、誰にだって一時的には最高の瞬間があって、そのために生きてるんだなと、感じるラストが最高です。


ハッピー・デス・デイ

こんなに面白いホラー映画は観たことがない!
ちょうど自粛になった頃にAmazonプライムで観れるようになったので、「最近おすすめの映画は?」と聞かれた時に一番に挙げていました。ホラー映画が苦手な人にも勧めて見てもらいましたが、「面白かった!」と言ってもらえたので良かったです。

ホラー映画が苦手な人にもお勧めできる理由は、コメディ要素が多い上に、ヒューマンドラマな一面もあって、最後はほっこり出来るからです。たぶん『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』が好きな人は好きじゃないかと思います。

そして何よい凄いのが、『ハッピー・デス・デイ』のラストから続く『ハッピー・デス・デイ2U』が、「1は全ての伏線だったのか?!」と思ってしまう展開で、これまた面白いことです。

観る際には1・2まとめて観るのがオススメです。


ブルーバレンタイン

先述したように、自粛期間になってから「Amazonプライムでおススメの映画を教えて!」というのが多かったのですが、逆に「お家で過ごしすぎてギスギスしてきた夫婦・カップルが観てはいけない映画No.1」として伝えることが多かった作品です。

出会った頃の愛しい時間の描写と、冷めきった今の描写を見比べると、同じハグでも全然意味が違うんだなと胸が苦しくなります。

ま、僕は一人で観たのでダメージは少なめです。

ドロステのはてで僕ら

タイムループ系はやりつくされたと思っていたのですが、まさかこんな手があったとは!
緻密で複雑な設定なのですが、物語の中でしっかりと順々に説明されているので、段々と面白くなっていきます。
じわりじわりと笑いを重ねていくので、館内もだんだんと笑いが膨れ上がって、最後は一体感がありました。

この映画は全てスマートフォンで撮影していて、その時の様子がエンドロールで観れるので、制作視点でも楽しめる映画です。


公衆電話

ここらで短編映画をひとつ。
色々な映画祭で見かけることが多く、今年で通算3回目の鑑賞になりました。

スマホで簡単につながる時代に「公衆電話」で繋がる親子の距離感が丁度良いです。舞台となっている立川も、東京なのに都心過ぎない、かといって田舎でもない「丁度良い距離感」が一層物語を引き立てます。

今年の夜空と交差する森の映画祭はオンライン開催で、その中の企画で松本監督とZOOMお話する機会がありました。とても気さくな方で、この映画のような温かみのある方でした。

アルプススタンドのはしの方

甲子園が中止になってしまった今夏イチオシの映画でした。

グラウンドを映すことなく観客席だけで試合展開を観させる手法にもあっぱれですが、高校野球という青春ど真ん中ではなく、はしの方にいる彼らを主役にした視点に脱帽です。

少し泣けて、観た後に前向きになれる爽やかな青春映画です。

劇場

Amazonプライムが独占配信ということで、一時期猛プッシュされていた映画です。

丁度、劇場自粛が取り沙汰されていた頃にあえてこのタイトルで、大切な人を大切にする意味を問う作品だったので、何の気なしに観てしまいました。

開始2時間くらいは延々にダメな男女の生活を描写しているだけなので「退屈だな」・・・と思っていたのですが、ラスト10分で号泣しました。本当やられた・・・。

生きちゃった

自分の気持ちとは裏腹に、どんどん転がり堕ちていく展開の凄まじさに、映画的展開とはいえどこか映画とは言い切れない辛さがありました。

英語タイトルは「All the Things We Naver Said」で、こちらの方が映画のテーマをよく表していると思いました。

が、よく考えるとそれを日本語で「生きちゃった」とするあたりが、すごくテーマらしいと思い直しました。

この映画では繰り返し「心で思っていることを、言葉にすることは難しい」という話が出てきます。見て、聞いて、感じて、考えていることは無数にあっても、それを言葉にする時には、何十分の、何百分の一になってしまうのです。

映画の中でも「英語だと言えるのに。日本語だと難しい。」というような台詞が出てきます。映画タイトルの分かりづらさは、正にそのことを表しているように思いました。

行き止まりの世界に生まれて

監督が自分と友人たちの12年間を撮ったドキュメンタリー的映画です。大人になるまでの葛藤や現実がリアルに描かれていて心に刺さります。

スケボーの疾走感が最高で、それはまるであっという間に過ぎ去っていく人生を象徴しているかのよう。転んでも怪我をしても、人と人の繋がりがある限り何度でもやり直せる。そんなメッセージを受け取りました。


浅田家!

家族モノの映画を撮らせたら今の邦画界No.1なのではないかと、個人的に大注目している中野量太監督の最新作です。

家族モノの映画でありがちな「家族のわだかまりを露悪的に表現して、それを乗り越えるor乗り越えられない、けどやっぱ家族は特別」みたいなストーリーが多い中で、

この映画は「家族の誰かを他の家族が応援して、他の家族も応援する」と前向きな展開が非常に好きでした。

TENET テネット

観る前にこの映画のレビューを調べたところ「よく分からないけど、面白かった」という感想ばかりで、「そんなことあるかよ」と思っていたのですが、本当に「よく分からないけど、面白かった」です。

先に紹介した『ドロステのはてで僕ら』とは打って変わって、緻密な説明をストーリーの後追いで説明されるため、どんどんと頭が混乱しました。

ですが最後はきれいに物語が着地するので、設定を半分くらいしか理解出来ていなくても、面白かったと思えてしまう作品です。

解説や解釈記事がたくさんあるので、観終わってからも楽しい!


殺さない彼と死なない彼女

よくある「青春お花畑系ラブストーリー」かと思わせて、芯を食った恋愛哲学映画で、青春ラブストーリーが苦手な方でも楽しめると思います。オムニバス形式の3組が、絶妙に繋がっていたことが何とも切なく、だけど感心してしまいました。

とはいえ、後半は若干メルヘン展開で、タイトルの意味を味わうと感動できる系恋愛映画に仕上がっているので、普通の青春ラブストーリーが好きな人も見やすい映画かと思います。

娘は戦場で生まれた

今年観た中で、もっとも感想を言葉にするのが最も難しかった映画です。

世界の脅威は感染症だけではありません。今なお、戦争が人命を脅かしている地域があるのです。

衝撃的なシーンの連続で、特に負傷した妊婦から取り出された赤ちゃんを蘇生させるシーンは、脳裏に焼き付いて離れません。

戦場に出たこともなければ、娘が出来たこともない自分にとって、この映画が意図していることを正しく汲み取れている自身はありません。それでもこの映画を観て良かった、多くの人に観てもらいたいと思いました。


佐々木、イン、マイマイン

観ているうちに、自分が高校生だった頃を思い出してしまう映画でした。途中はずっと低体温な映画ながら、一気に熱量が溢れ出すラストが最高です。

社会人になると忘れてしまう、あの頃の熱量や勢いを懐かしむだけではく、定期的に自分の中に入れることで、また挑戦する力になるように思います。

そのためには、佐々木みたいな「アイコニックな存在」が大切だなと思いながら、高校の忘年会を企画しようかなと考えてしまいました。

*****

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
いかがでしたでしょうか。

勢いで一気に書いたのですが、2回に分ければ良かったなと後悔しています。

本当はまだまだあの映画もこの映画も紹介したいですし、見逃してしまった映画も多数あります。

映画界で今年を象徴する出来事としては、公開が後ろ倒しになってしまった映画が沢山あることでしょう。公開日時が再決定した作品も多いですが、未だに状況は分かりません。

来年はたくさんの映画が無事に公開されるよう、映画ファンとして祈っております。


================================
ジャンルも切り口もなんでもアリ、10名以上のライターが平日(ほぼ)毎日更新しているマガジンはこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?