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第15話:本当の私を、あなたは愛してくれますか?

「結婚するために日本へ帰国するので、会社を辞めさせてください。」

まだプロポーズもされていないというのに
勢い余って、とんでもない行動に出てしまった。

『泣いてばかりだった私が、運命の人に愛されるようになるまで』

元彼にネズミ呼ばわりされていた、尽くしタイプ依存症ダメ女から、どうやって運命の人(フランス人)に出会い、ありのままの自分で愛されるようになったのか?実際に起きたリアルなマイストーリーを綴ってきます。

>>> ここまでの話

第1話:アラサーどん底負け組に転落…リーマンショックで失業&失恋
第2話:英語力ゼロ・・・勢いだけでシンガポールへ移住!
第3話:アラサー女子が、何の目的もなくワーホリってどうなの?
第4話:TOEIC500点以下で海外で仕事をゲットした理由
第5話:赤面症だった私が、なんでラジオDJに!?
第6話:凧上げフェスティバルでナンパに大成功!
第7話:ねぇ、シンガポールで一番有名な日本人にならない?
第8話:YouTube婚活で外国人500名以上からオファー殺到!
第9話:初デートのためにドイツから彼がやってきました
第10話:運命の人は、ストーカー?!
第11話:ポールダンスを勝手に見ないで!
第12話:初デートで連れて行かれた怪しいお店
第13話:彼氏じゃない男性と二人きりで海外旅行
第14話:究極の選択…交際3ヶ月の彼氏が海外転勤!追いかけるべき?

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本当にこれでよかったんだろうか…

そんな私の心の迷いなんてお構いなしに
あれよあれよという間に、後任の採用が決まり、
住んでいる部屋の新しい居住者が決まり

ひとつの決断、ひとつの行動で
自ら大きく舵を切ったその瞬間から

自分の意思とは関係なく
今度は、周りに押し流されるように
物事がどんどんと進んでいく。

交際三ヶ月のフランス人の彼氏を追って
長年かけてようやく掴んだ夢の海外生活
その全てを手放して帰国だなんて・・・

もし、それで、彼と上手くいかなかったらどうしよう…

自信がなかった。

日本で暮らしていたときの
あの見えないプレッシャーの中での生きづらさ

同級生の友人たちのように、積み上げてきたキャリアもなく
誇れるスキルもなく、別に美人というわけでもない。

周りに合わせようと必死だったのに
なんだか浮いてしまっているような
居心地の悪いあの感覚。

そうしているうちにいつの間にか

本当は、何がしたいのか?
いま、本音では何を考えているのか?

そんな自分の意思や感情さえ
よく分からなくなっていたんだよね。

日本に帰国したら、
そんな情けない自分に戻ってしまうのではないか…

そう思うと怖かった。

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シンガポールにいる私は自信に溢れ
ブロガーとして華やかな活動をし
ただ好きなことに没頭する日々。

ただ日本人であることさえも強みとなって
ここでは「特別」でいられた。

そんな「特別な私」を好きになってくれた
フランス人の彼だったけど

ごくフツーの平凡女子

いや、

普通以下の「本当の私」を知ったときに
彼は今までと同じように
私を愛してくれるのだろうか。

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(彼からもらったミャンマー土産のピンクサファイア指輪)

シンガポールに来る以前の恋愛といったら
散々たるものだった。

5年も付き合って、結婚も考えていた元彼に
新しく好きな人ができたという理由でフラれ

その寂しさや不安感を埋めようと、
相手に流されるまま
なんとなく近くにいてくれる人と付き合う

そんな恋愛を繰り返していたのだ。

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当時は、その人のことを好きだと信じていたし、
自分なりに、愛されるために精一杯努力してきたつもりである。

いつも相手の意見にしたがう「素直な女」だったし
バレンタインデーには想い(というか念?)を込めた
手作りチョコやマフラーをプレゼントしたこともある。

いい彼女であろうと

苦手な料理や、掃除洗濯も、そこそこに頑張っていた。

でも、

「こんなマズい料理よく作れるね」
「ほんとお前って腐女子だよな」
「こんなことも出来ないなんておバカだね」
「勝手に押しかけてきて、ネズミと同じだな」

こんなに尽くしているのに、なぜ愛されないんだろう…

いま思えば、

信じられないような言葉の数々を
笑顔でごまかしていたような気がする。

そう言われても仕方ない。
だって、私が悪いから…

そんな当時の「怒れなかった自分」を叱ってやりたい。

きっと、自分で自分を扱うのと同じように
相手からも扱われていたのだから。

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私は、シンガポールという夢の国を出ることで、
ガラスの靴を失ったシンデレラのように
その「魔法」が解けてしまうことを恐れていたんだ。

あなたのことを信じてついてきたんだから、責任とってよ!

そう相手にプレッシャーをかけることも
出来たかもしれないけれど
そんなのあまりにかっこ悪すぎる。

悲劇のヒロインもいいところ
ついていくと決めたのは私だ。


それ以前に、

その責任を相手に押し付けるのは重すぎることぐらい
三十も過ぎれば、ある程度は経験から学んでいた。

彼がいなくなったシンガポール

そして、日を追うごとに

私の居場所もなくなっていく。

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本当にこれでよかったんだろうか…

そんな不安との闘いながら、
グルグルと答えの出ない問いを投げかけ続けていたあるとき
ふと、自分の中で一つの結論が浮かんだ。

あ、そうか。

私は、彼を信じて帰国するのではなく
私と彼の間に生まれた “ 特別な何か ” を信じて
その先にある未来の可能性を確認するために帰国するんだ。

きっと周りの人には、
強がりにしか聞こえなかったと思うけど
なんだか妙に納得してさ。

もし、彼と上手くいかなかったとしても
きっとこの決断がきっかけとなって、新たな出会い、
その先にある新たな可能性に繋がっているはずだ。

それが何なのでは、まだ分からないけど
そう考えることで、彼のことを責めなくて済むような気がして
すっと心が軽くになったんだよね。

「イッショニ ニホンニ キテホシイ」

そう言った彼の本気度は、正直わからなかったけど
彼との間に生まれた何かが「特別」であることには違いなかった。

今までもそうやって
不安と期待の入り混じった「特別な予感」を信じ
怖さに目をつぶり飛び込んだ先に広がっていた
想像以上の景色を見てきたんだから。

4年半の奇跡の連続ようなシンガポール生活の中で
少しずつ、そんな人生の楽しみ方のコツみたいなものを
掴んでいたのかもしれない。

いや、

ここ数ヶ月間のあまりに目まぐるしい展開に
単に、脳内の妄想スイッチがONになっていただけかもしれないけれど

何れにしても、そんな「自作自演のストーリー」を描くことでしか、
この不安を打ち消す手段が見つからなかったんだよね。


つづく>>>
第16話:終わりはいつだって、何かのはじまり




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