第17話:神様からの餞別〜人生は思わぬところで繋がっていく
シンガポールから北海道に向かう途中
3時間ほど、成田での乗り継ぎがあったのだが
そこで、フランス人の彼にスーツケースを受け渡す約束をしていた。
日本に送りきれなかった荷物を
ハンドキャリーで運ぶことにしたのだった。
3ヶ月ぶりの再会。
たった30分の面会のために、片道二時間かけて、
わざわざ成田空港までスーツケースを取りに来てくれた彼は、
変わらない笑顔と大きなハグで、私を迎えてくれた。
(実際の写真:長時間フライト後、すっぴんで再会。)
初めて出会ったときと同じDiorの香水の匂い
それが、安心感と愛おしさを倍増させた。
やはり香りというのは、記憶に刻まれているものだ。
成田空港で、束の間の再会を果たした後
ツアー御一行、総勢7名で女満別空港へと飛び立った。
北海道 政府観光局主催でシンガポールの人たちに
北海道の魅力を伝えるための
シンガポール人で知名度の高いカメラマンを招いた写真ツアーに
ブロガー特別枠として、たった一人日本人女子として
参加することになった私。
北海道は、高校生の修学旅行で訪れた以来だった。
日本には、こんなに美しい場所があったんだ・・・
いつか日本の素晴らしさを世界に伝えたい
なんていう
子どもの頃の夢が、少しだけ叶ったような気がした。
就職活動の面接で、語学力も留学経験もないのに
「国際的な仕事がしたいです」
と答えて笑われた、あのときの身の程知らずな憧れに
ちょっとだけ手が届いたような気がした。
そういえば、約五年前、
シンガポールに渡星する直前に
奮発して買ったミラーレス一眼
一時帰国の際に
なんとなく衝動買いしてしまった念願の一眼レフ
すっかり宝の持ち腐れになっていたのだけれど
まさか、こんなところで出番がやってくるとは。
理由はわからないけれど
昔から、とにかく写真を撮ることが好きだった。
いつか何かに繋がったらなぁ〜
なんて、ぼんやりと考えていたのだけれど
シンガポール生活の最後の最後に
思わぬチャンスが巡ってきたことに
まるで
ここまでよく頑張りました
というメッセージが込められた
神様からの餞別のようにも感じられた。
人生というのは、こうやって
思わぬところでチャンスや出会いに
繋がっていくからおもしろい。
そのときは、まだ理由がわからなかったとしても
やっぱり心が動いたものには、手を伸ばしてみる方がいいのだ。
(北海道ツアー後にシンガポール人に向けて英語で書いた記事)
だって
時間というは、案外、未来から流れていて
人生とは、その未来からのかすかな声をキャッチして
壮大な伏線を回収しながら紡いでいく物語
なのかもしれないのだから。
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