第16話:終わりはいつだって、何かのはじまり
いよいよ日本への帰国まで一ヶ月をきっていた。
その頃には「本当にこれでよかったんだろうか…」なんて
おセンチになる暇もなく、慌ただしく過ごしていたんだよね。
なぜなら、
シンガポール人のカメラマンたちを北海道に招待するという
政府観光局主催のフォトツアーへ、元上司の紹介がきっかけで
ブロガー枠で抜擢される事が決まり
それがたまたま本帰国の日程が重なったものだから
とんでもないスケジュールでバタバタと
本帰国と5日間の北海道ツアーに向けた準備に追われていたのだ。
しかも、帰国した翌日から彼と一緒に
フランスの実家へ帰ることを予定していて
もうその忙しさといったら、最大瞬間風速的に
憧れのジェットセッター顔負けだったと思う。
なにせ年中常夏の国から、11月下旬の北海道に向かうのだ。
ZARAで冬用の分厚いダウンジャケットを購入する一方で
今まで持っていた洋服や本の大半を処分し
残りの荷物は、船便で日本に送ることにした。
スーツケースひとつでやってきた私の荷物は
この四年半の生活で、ダンボール6箱分に増えていた。
ようやく荷造りを終えて、ほっと一安心
と言いたいところだったが
シンガポールポスト(郵便局)に
オンラインと電話で再三集荷を依頼したのだが
その度に、OK lah(オッケーラー)という陽気な返事をもらうものの
待てど暮らせど取りに来ない・・・!!!
(日本の宅急便の素晴らしさたるや)
結局、ルームメイトに協力してもらい
エッサホイサと女二人でずっしり重いダンボールを
郵便局に運び込んだのが、出国前日のこと。
そんなこんなで四年半暮らしたシンガポールを惜しむ間もなく
最後まで慌ただしく、日本へ旅立つことになったのだった。
終わりはいつだって、何かのはじまり。
慌ただしいくらいがちょうどいい。
さようなら、でも
ありがとう、でもなく
じゃあ、いってくるね!
そういって旅立った。
いつでもまた来たいときに
ここへ戻って来られるようになろう
そう心に誓って。
つづく>>>
神様からの餞別〜人生は思わぬところで繋がっていく
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