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アフリカ料理店Tribesレポート

はるか昔のレポートをシェアしてみる
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「マナティーさん、今から四谷へ行きませんか?」
ある日の授業後ゼミの先生に声をかけられ、急遽行くことになったアフリカ料理屋さん、それがTribes。ここでは、モロッコを始めとしたアフリカ各国の料理を提供している。文化人類学を専門とするゼミの先生と、アフリカ地域専攻の同期の学生2人とともに素敵な時間を過ごした。このお店で印象に残ったことは、以下2点である。

 まず1点目は、マスターの気さくさ。アフリカ人らしいノリの良さと日本人の丁寧さを併せ持ったようなこのレストラン全体の雰囲気に惹かれるお客は多いだろう。先生と顔馴染みらしいこのマスターは、料理やお酒はもちろんのこと、店内にあるインテリアや楽器、スクリーンに流しているアフリカのダンスなど、様々なことについて嬉しそうに私たちに教えてくれた。中でも最も嬉しかったのは、ただの客にも関わらず厨房に入り、フフを一緒に作るという体験をさせてもらったことだ。フフとは西アフリカや中部アフリカで伝統的に主食とされてきた料理。芋類をすりつぶし、お湯で練って作る。この店では「フフの粉」があらかじめ用意してあったので、それを鍋にあけて水を加え、木べらで練っていった。マスターはいとも簡単そうに練るのだが、実際にやってみると、水分が蒸発するにつれ重くなり、かなり力の要る作業だということが分かった。現地の女性は芋をすりつぶすところから始めてもっと大量に練るのだから、食事を作るのはそれだけで大層な仕事だということを改めて感じた。ちなみにこの作業中、マスターがイスラームの女性のようにヒジャブを巻いてくれた。ゼミの先生や友人には「普通の服より似合っている」と言われ、JICAで先月までガーナに赴任していた男性や女子会のOLなど、他のお客さんたちも「ヨッ看板娘!」などとこぞって私に注文を取らせてくれ、非常に愉快だった。

 そして2点目は、お酒について。私は「椰子酒」を注文した。これは蜂蜜酒と並んで、非常に深い歴史のあるお酒だそうだ。アフリカの他、東南アジアやインド、オセアニアなどでも作られてきた。野生のヤシの樹液には多くの天然酵母菌が棲みついているため、樹液を採集している過程で勝手に発酵し、発酵開始後24時間ほどでアルコール度数3~5度のお酒になるそうだ。3日もすれば発酵のし過ぎでお酢になってしまうため、ヤシのある現地以外で飲める機会は数少ないのだとか。マスター曰く、やはり瓶詰めされた保存料入りのものよりも暑い中現地で飲む方が何倍も美味しいらしい。しかし、カルピスのような甘酸っぱいお酒を椰子の実の器で飲み、素敵な体験ができた。

 この他、アフリカ料理店には、友人とともに中目黒のクイーンシーバを訪れたことがある。ここではエチオピア料理を提供しており、アジア人に評判の悪い「インジェラ」という、酸っぱいクレープのような主食を味わうことも出来た。カレーなど添えられた料理と味が合い、私は美味しく食べられた。東京都内だけでもいくつかアフリカ料理店があるので、これから巡ってみたい。

(白い部分がフフ。芋をすり潰しお湯で練る。)
*表紙・フフの写真は共に、東京外国語大学2014年度アフリカ料理店 Kwenu.様からお借りしました。