搾りたてのオリーブオイルトースト
すこし牛乳の甘みがある食パンが好きだ。食パンというよりミルクパンに近いのかもしれない。
そんなパンを買って帰った日の翌朝は決まってオリーブオイルトーストが食べたくなる。
はじめはバゲットだった
はじめてバゲットにオリーブオイルをひたして食べたのはレストランだった。
ちいさいガラスのお皿に透明な黄緑色のオイルが入っていて、つんとした匂いでそれまで毛嫌いしていたのが、そのときはなぜか食べてみる気になったのだ。
バゲットのカリカリした部分を、塗ったか塗らないか分からないくらいのオイルをくぐらせて口に入れたが味がしない。今度はやわらかい白いところを、オイルの色がはっきりみえるくらいにひたしてから食べた。
このとき以來、オリーブオイルにパンをひたすことに抵抗がなくなった。
オイル一番搾り
一番搾りはビールに限らない。
搾ってひと月程のオリーブオイルをはじめて舐めたのは、ほんの数年前のこと。
縁あって頂いたそれは、いままで見たなかで最も鮮やかな色をしていた。黄緑というより宝石のペリドットのようで、「あのくすんだ実からこんなに澄んだ色の液体が採れるなんて」としばし眺めてしまった。
色もさることながら香りがとてつもなく強い。芳香という言葉にはおさまらない。オリーブの生命力がオイルに移り、今も宿っているのをひしひし感じた。鮮度という単語の意味を身体で理知る。
👇宝石のペリドット
舌もしびれるえぐみと香り
最初に思いついたのが、パンに塗ることだった。
家にあった食パンをグリルで両面焼いて、片面にだけ切り込みを入れてオリーブオイルを垂らした。つんとした匂いが真上にのぼって鼻腔にはいる。
オイルを垂らしてもう1分焼くと、パンの耳に程よく色がついていた。
ふかふかの少し厚めに切ったパンの端を噛んだ瞬間、唇にオイルが触れた。えぐみと香りが際立っている。添えものではなく立派な一品だ。
パンの中まで染みたオイルが舌のうえで弾けてピリピリする。凄まじい。
濃いめに淹れたカフェラテにも、ちょっと酸味のあるサラミやとろんとしたブリーチーズにもよく合う。
お行儀悪いが本を片手にのんびり食べるのがなにより幸せ。
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