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トラウマで袴が着れなかった大学の卒業式にせめてブラウスだけでもお洒落した

お洒落している人たちをみて「楽しそうだな」「やってみたいな」と思う。
けど、デブで不細工な私がお洒落するなんておこがましいと思っていた。

大学4年生の卒業前、新社会人まであと十数日。
少し高くてもいいから身に着けて胸がときめくような洋服を手に入れたいと思い、意を決してお洒落な人が集いそうなファッションビルに向かった。

成長するごとに着飾ることが怖くなっていた

おそらく、小学生~大学生の成長の中でお洒落をすることが楽しくなっていくのが一般的だろう。
けれども、私は成長するごとにお洒落が怖くなっていったように思う。

私は小さいころぽっちゃり、ずっしり体型で、周りよりも大きなサイズを身に着けているような子だった。
中学・高校くらいで服を買いに行くと「サイズがない」という経験を沢山して、その経験が私を着飾ることを避けさせた。

その時の恥ずかしさや、みっともなさはなんて表現したら良いんだろうか。
母親はスレンダー体型だからこの悩みはわからないし、周りにも同じような悩みを持った人がいないからって自分の中にため込んだ。

ちょうどそれくらいの時期から、ふさぎ込むようになっていった。
姿が見えない電話なら話せても外見に自信がなくてFace to Faceでは無理。
今も克服できてなくて、人とうまく関われなかったり、それゆえに恋愛ができない大きな障壁となっているように思う。

ダイエットして20キロくらいマックス体重の時よりも痩せた今でも、過去のトラウマでも着飾るのが怖い。
痩せたら自信が持てると思ってたのにそんなことはなくて、店員さんに話しかけられないユニクロ・GUかオンライン通販でしか大学時代は服を買えなかった。

袴が着れないからせめてかわいいブラウスだけでも

成人式は1か月前に振袖を着ることを決めたが卒業式は袴が着たいと思ってたのに結局着れなかった。

着飾る自分が「かわいいとでも思ってんの?」って思われそうで怖かったし、袴を一人で合わせに行くことが想像以上に自分にとって難しかった。
母親は「着たいなら着たら?」と直前まで言ってくれたし、父親も「今からでも遅くないよ!」って2週間前にも連絡してくれた。
でも、周りにこの気持ちを相談することもできなくて、整理出来なくて動けずに気づけば卒業式が2日後くらいまで迫っていた。
悔しいけど、自分はトラウマに負けた。

2日後に迫った時点で、卒業式は出ないって決めた。
けど、卒業式後のゼミでの集まりはどうしても行かなければいけない。
服は新しく探そうとしたけどネット通販は間に合わないことが分かった。
そうなると、スーツしかない。
でも、ゼミの他の女子たちは袴だろうから、せめて自尊心を保つためにも中に着るブラウスだけでもかわいいものを着ていこうと決めた。

求ム。オフラインでの服の買い方。

私はとりあえずファッションビルに向かった。
でも、私が着るとパンパンで着られるものなんてないんじゃないかという恐怖でいっぱいだった。
特に、フォーマルっぽい服は細身のイメージがあるし。

なんとなくお洒落な人が使ってそうなお店でBEAMSに入った。
けど、そもそもユニクロ・GU以外はオンラインしか買い物したことないし、どんな風に服を選べば良いのかまじでわからなかった。
オフラインで対面式の場所で服を買うってどうやるんだっけ、店員さんとどう話せば良いの?と私のこじらせコミュ障の部分がひょっこり。

自意識過剰なところもあるから、ブラウスがあるところでいかにも慣れてますって顔をして(できてるか知らないが)見比べたりした。
サイズが入らないんじゃないかっていう葛藤をしながら。

こんな私でも良いんですか???

そんなこんなしてると店員さんが話しかけてくれた。
そこで、一回断りかけたけど勇気を出して「卒業式・入社式で使えるようなジャケットの中に着れるものがほしい」って伝えてみた。
これ我ながらファインプレーだった。

予算を伝えたうえでいくつか持ってきてくれて、どんなものが良いのかを一緒に考えて、いざ試着をしてみることに。
ブラウスはちょうど良いサイズ感だし、雰囲気を見るために貸してもらったジャケットもジャストサイズ。

あれ?私こんな服着れるの????着ていいの???
女性らしい甘めのデザインで肩幅的に無理だと思ってたブラウスのサイズは良い感じだし、ジャケットは胸も腕もパツパツじゃない。

店員さんはプロだから合ったサイズを渡してくれたんだろう。
本当にプロってすごい。

トラウマがあった私にとっては「着れる」ことが感動の瞬間だった。
自分の肩幅が怖くて女性らしい服を着れないと思い込んでたから自信に繋がった。
そして、私のサイズでも沢山かわいい洋服が着れるかもしれないことに気づけたし、「あっ、お洒落して良いんだ。着飾っていいんだ。」ってこれまで恥ずかしくてみじめで怖いと思ってたトラウマを少し雪解けさせてくれた。

かわいいブラウスを着てるだけで自信を持てた日

卒業式の日、私は手に入れたブラウスを身に着けてスーツで向かった。
ゼミの人たちは私以外は振袖だったし、「なんで振袖着なかったの?」とも聞かれた。
集合写真を撮るときに、写真を撮られるのは嫌いだし、まだ自信がないから自分が残ってほしくない想いが強かった。

でも、堂々としていられたのはこのブラウスのおかげだろう。

自分が好きだったり気に入ったものを身に着けることは自分に自信と自己を認める力を与えてくれること。
お洒落は自分のためにするもので良いのかも。
自分が好きなものに囲まれれば気分が上がるし、それを最も近い場所で経験させてくれるものがファッションなのかもしれない。

これまで周りから見て変じゃないように最低限の身だしなみを気にしてた。
これからは自分がどう思うかを大事に気分が上がるような服装をしていけば自己肯定感も自信もつけられそうだ。

卒業式に袴は着れなかったけど、1着のブラウスが私の過去のトラウマからの卒業を後押ししてくれた。







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