margrete@高校世界史教員

非常勤講師として複数の学校での勤務経験がある、現役の教員です。専門は世界史です。

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非常勤講師として複数の学校での勤務経験がある、現役の教員です。専門は世界史です。

マガジン

  • 読んだ本

    読んだ本の感想です。基本、ネタバレはありません。

  • 勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」

    「ビッグイシュー日本版」を勝手に応戦する記事をまとめたものです。「ビッグイシュー日本版」に、少しでも興味を持っていただければ幸いです。

  • 寺社巡りの記録

    お寺や神社を訪れた時の記事をまとめました。 お寺や神社そのものではなくても、展覧会で仏像を観た時の記事も含んでいます。

  • 行った展覧会

    展覧会のレビュー記事をまとめています。

  • 観た映画

    観た映画の記事をまとめています。心に残る映画と出会えますように!

記事一覧

固定された記事

自己紹介~note始めました~

今日からnoteを始めることにしました。というわけで、まずは自己紹介です。 1.自己紹介私margrete(マルグレーテ、と読みます)は非常勤講師として、あちこちの中学・高校…

【読書】不条理さに満ちた絵本~『優雅に叱責する自転車』(エドワード・ゴーリー著、柴田元幸訳)~

柴田元幸さんの訳であること、そしてスタイリッシュなような不条理なような表紙に惹かれ、手にしました。 『優雅に叱責する自転車』という題名からして奇妙ですが、この自…

【読書】ネット検索は脊髄反射と同じ~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.476 2024.4.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第80弾です。4月15日号についての記事と逆の順番で投稿しています。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明し…

【読書】予想外の展開が待っている~『大力のワーニャ』(オトフリート・プロイスラー作、大塚勇三訳)~

プロイスラーファンなのに未読だったので、読んでみました。 題名のみを知っていた時、勝手に「ドイツの元気な女の子の話」だと思っていました(多分、『長くつ下のピッピ…

【読書】嵐のただなかにおける心の安定~『人生の短さについて 他2篇』(セネカ著、中澤務訳)~

アマゾンのプライム・リーディングを利用して読んだ9冊目にあたります。8冊目のレビューより前に、こちらをアップしてしまいます。 ↑kindle版 世界史の教員として、もち…

【展覧会】「特別展 法然と極楽浄土」(東京国立博物館)に行ってきた(その③)

そんなつもりはなかったのに、今回の展覧会訪問記は三部構成となってしまいました。 というわけで、サクサク行きます。 ・袋中上人像(京都・檀王法林寺) 琉球王国の尚寧…

【展覧会】「特別展 法然と極楽浄土」(東京国立博物館)に行ってきた(その②)

1本の記事にするつもりが、予想以上に長くなってしまったため、分けることにしました。 というわけで、続きです。 ・阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)(京都・知恩院)(国宝…

【展覧会】「特別展 法然と極楽浄土」(東京国立博物館)に行ってきた(その①)

2024年6月9日まで東京国立博物館で開催中の、「特別展 法然と極楽浄土」に行ってきました。 まずは恒例の(?)観覧前の腹ごしらえ。ゆりの木の天丼。 先月とは小鉢が違い…

【読書】ガザのことがよく分かる~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.477 2024.4.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第79弾です。4月1日号より先にこちらを読んだため、先に投稿します。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明し…

【読書】循環型経済に向けて~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.475 2024.3.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第78弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号のスペシャル企…

【読書】読んで良かったが……~『椿ノ恋文』(小川糸)~

「ツバキ文具店」シリーズの第3作です。 読み始めてすぐ、「あぁ、こういう世界だったなぁ」と懐かしくなりました。鳩子はすっかりお母さんになっています。 本当に、そ…

【読書】正義と法の支配が必要~映画『パレスチナからフクシマへ』(土井敏邦監督)~

パレスチナと福島の類似性を考える、興味深い観点の映画です。 冒頭の、2014年のガザ地区の映像に、今のガザは同じというより、もっと悲惨な状況になっているのだろうと、…

【お菓子】思ったより辛いです~つらターン~

エイプリルフールネタが実現しちゃった「つらターン」、ご存知でしょうか? 先日、めったに行かないコンビニで見つけたので、買ってみました。 見た目は普通のハッピータ…

【読書】読ませる力はある~『Blue』(川野芽生)~

第170回(2024上半期)芥川賞候補作の1つのです。 ↑kindle版 文化祭でオリジナル脚本の「人魚姫」を演じようとする高校生の演劇部員4人と、脚本を書いた友人の話です。主…

【お出かけ】吉原遊郭跡のブラタ〇リ的街歩き

*この記事は、2019年6月のブログの記事を加筆修正したものです。よって情報については、2019年6月当時のものです。 友人に誘われ、吉原遊郭跡の街歩きツアーに参加しまし…

【読書】お仕事百景~『おつとめ<仕事>時代小説傑作選』(細谷正充編)~

「仕事」をキーワードにした時代小説のアンソロジーです。 ・「ひのえうまの女」(永井紗耶子) 主人公の利久(りく)は丙午の日の生まれなため(ということにされている)、気…

固定された記事

自己紹介~note始めました~

今日からnoteを始めることにしました。というわけで、まずは自己紹介です。 1.自己紹介私margrete(マルグレーテ、と読みます)は非常勤講師として、あちこちの中学・高校を渡りあるいてきた現役の教員です。専門は世界史です。 今年(2020年)の3月から「社会科教員margreteの、日常を通して考える世界史」というブログを始めたのですが、諸事情から更新が滞りがちでした。その間にnoteの存在を知り、いろいろ調べた結果、ひょっとしてこっちの方が使い勝手が良いのではと思い

【読書】不条理さに満ちた絵本~『優雅に叱責する自転車』(エドワード・ゴーリー著、柴田元幸訳)~

柴田元幸さんの訳であること、そしてスタイリッシュなような不条理なような表紙に惹かれ、手にしました。 『優雅に叱責する自転車』という題名からして奇妙ですが、この自転車が登場人物2人を叱責しているシーンはありません。でも無言で2人と旅をすることを通じ、2人の行いを叱責しているのかもしれない、とも思えます。 原文と日本語訳を見開きで見ることができるので、英語の勉強にもなるかな。もっとも、簡単な英語ながら不条理さを含んでいるので、やはり柴田さんの日本語訳抜きでは無理ですが。 「

【読書】ネット検索は脊髄反射と同じ~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.476 2024.4.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第80弾です。4月15日号についての記事と逆の順番で投稿しています。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号の特集は「『ネガティブ・ケイパビリティ』を生きる」です。 ネガティブ・ケイパビリティとは、「不可解の中で、おや不思議だなと思う気持ちをもちながら、宙ぶらりんの状態に耐えていく」(p.10)力のことです。すぐに答えを求める今の生徒をはじめ、現在誰にでも求められる力ですね。

【読書】予想外の展開が待っている~『大力のワーニャ』(オトフリート・プロイスラー作、大塚勇三訳)~

プロイスラーファンなのに未読だったので、読んでみました。 題名のみを知っていた時、勝手に「ドイツの元気な女の子の話」だと思っていました(多分、『長くつ下のピッピ』と混同している)。読み始めたら「ロシアの怠け者の男の子(というか、もはや青年)の話」で、びっくりしました。なるほど、ワーニャはイワンの愛称なのね。 その怠け者のワーニャを、父親のワシーリとおばのアクリーナが甘やかすので、いっこうに怠け癖が抜けないわけです。ワーニャの兄2人にしてみれば、たまらないですよね。でもおば

【読書】嵐のただなかにおける心の安定~『人生の短さについて 他2篇』(セネカ著、中澤務訳)~

アマゾンのプライム・リーディングを利用して読んだ9冊目にあたります。8冊目のレビューより前に、こちらをアップしてしまいます。 ↑kindle版 世界史の教員として、もちろんセネカの名前は知っていましたが、マンガ『プリニウス』にも登場したことで、その著作を読んでみたいと思った次第です。 以下、備忘録代わりに心に残った箇所をまとめておきます。 訳者の中澤務さんによる、「人生の短さについて」の前書きです。セネカの言いたいことはすでにここに集約されていますが、実際のセネカの言

【展覧会】「特別展 法然と極楽浄土」(東京国立博物館)に行ってきた(その③)

そんなつもりはなかったのに、今回の展覧会訪問記は三部構成となってしまいました。 というわけで、サクサク行きます。 ・袋中上人像(京都・檀王法林寺) 琉球王国の尚寧王筆・讃です。何というか、異相です。 ・黒漆司馬温公家訓螺鈿掛板(京都・檀王法林寺) 琉球王国の第二尚氏時代のもの。豪華だし、美術品としても見事だし、琉球王国の豊かさ(財政的にも文化的にも)を感じました。 ・贈円光大師号絵詞(明誉古礀筆)(京都・知恩院) 人物の描き方が、矢部太郎っぽいです。ちなみに「礀」は、

【展覧会】「特別展 法然と極楽浄土」(東京国立博物館)に行ってきた(その②)

1本の記事にするつもりが、予想以上に長くなってしまったため、分けることにしました。 というわけで、続きです。 ・阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)(京都・知恩院)(国宝) 今回の展覧会の目玉の1つです。下のリンク画像をはじめ、ポスター等でも、大きく載っています。 でもかえって私は、前回の記事でご紹介した迎接曼荼羅図の方が好きかなぁ。急角度で阿弥陀様たちが舞い降りているので「早来迎」なわけですが、なぜかこちらには音楽を感じなかったのですよ。太鼓はかえって迎接曼荼羅図よりはっ

【展覧会】「特別展 法然と極楽浄土」(東京国立博物館)に行ってきた(その①)

2024年6月9日まで東京国立博物館で開催中の、「特別展 法然と極楽浄土」に行ってきました。 まずは恒例の(?)観覧前の腹ごしらえ。ゆりの木の天丼。 先月とは小鉢が違います。白和えの方が良かったなぁ。 でもこの物価高の中、値段を上げていないのは素晴らしい! 以下、備忘録代わりに印象に残った作品を書いていきます。作品番号順なので、展示順とは一致しません。 ・恵心僧都源信像(滋賀・聖衆来迎寺) 面白いお顔の像でした。法然は恵心僧都の主著『往生要集』で7世紀の唐の僧である善

【読書】ガザのことがよく分かる~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.477 2024.4.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第79弾です。4月1日号より先にこちらを読んだため、先に投稿します。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号のスペシャル企画は「ガザ76年」です。 この特集、本当によくまとまっているので、ぜひ読んでいただきたいです。『ガザとは何か――パレスチナを知るための緊急講義』の岡真理さんへのインタビューをメインに、パレスチナ問題の期限や関連年表、現在何が起きているかについて書かれています。

【読書】循環型経済に向けて~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.475 2024.3.15)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第78弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。 今号のスペシャル企画は「生きのびるデザイン」です。 そこからの転換を模索するのが「生きのびるデザイン」なわけです。 これは良いことですが、取り組みの開始のことは知らなかったので、まだ目に見える形になっていないということでしょうか。まぁ、私が知らないだけという面もあるようですが。 日本中が、そして世界中が、こうなるべきですよね。

【読書】読んで良かったが……~『椿ノ恋文』(小川糸)~

「ツバキ文具店」シリーズの第3作です。 読み始めてすぐ、「あぁ、こういう世界だったなぁ」と懐かしくなりました。鳩子はすっかりお母さんになっています。 本当に、その通りですよね。 懐かしくなったと言いつつ、どうも最初は波に乗れませんでした。結婚したら案外ミツローさんがふわふわした性格だったことが分かったこととか、QPちゃんが反抗期に突入、お隣さんは騒音に敏感、といった、鳩子を取り巻く様々な問題に、中途半端な現実味を感じたからです。そのくせ、下の子どもたちの「年子だけど同学

【読書】正義と法の支配が必要~映画『パレスチナからフクシマへ』(土井敏邦監督)~

パレスチナと福島の類似性を考える、興味深い観点の映画です。 冒頭の、2014年のガザ地区の映像に、今のガザは同じというより、もっと悲惨な状況になっているのだろうと、暗澹たる思いになりました。パレスチナの人権活動家ラジ・スラーニさんが、自らがイスラエルによって受けた拷問について語るシーンも、辛かったです。 そのラジ・スラーニさんが、福島県飯館村を訪れ、避難を強いられた住民たちから話を聞きます。 移動中、除染で出た土を詰めたフレコンバッグの山を見て、ラジ・スラーニさんが、あ

【お菓子】思ったより辛いです~つらターン~

エイプリルフールネタが実現しちゃった「つらターン」、ご存知でしょうか? 先日、めったに行かないコンビニで見つけたので、買ってみました。 見た目は普通のハッピーターンと変わりません。一口食べて、「あれ、あんまり辛くないような……」と思った次の瞬間、「わわわ、からい~」となりました(^-^; 結論として、思ったより辛い「(この場合は「からい」)です。辛い物が苦手な人は、厳しいかも。でも辛い(この場合は「つらい」)というほどではないです。

【読書】読ませる力はある~『Blue』(川野芽生)~

第170回(2024上半期)芥川賞候補作の1つのです。 ↑kindle版 文化祭でオリジナル脚本の「人魚姫」を演じようとする高校生の演劇部員4人と、脚本を書いた友人の話です。主人公の真砂の生き方と人魚姫のあり方とがリンクし、物語が展開されていきます。冒頭でまず、内容が頭に入って来ず、混乱しました。3度くらい読み返した末、諦めて読み進めたら、「どこまでト書き?」という水無瀬のツッコミがあり、安心しました。わざと、あまりうまくない書き出しにしていたのね。 自分の性に違和感を

【お出かけ】吉原遊郭跡のブラタ〇リ的街歩き

*この記事は、2019年6月のブログの記事を加筆修正したものです。よって情報については、2019年6月当時のものです。 友人に誘われ、吉原遊郭跡の街歩きツアーに参加しました。 三ノ輪駅から、案内人さんとの待ち合わせ場所の吉原大門交差点に向かう途中には、こんな方がおいでです。 一見、通りがかりの人のようですが、「あしたのジョー」こと、矢吹丈さんです。 「日本堤」の標識に、「おお、ここが時代劇や時代小説で有名な、吉原に向かう途中の日本堤」と、テンションが上がります。今はも

【読書】お仕事百景~『おつとめ<仕事>時代小説傑作選』(細谷正充編)~

「仕事」をキーワードにした時代小説のアンソロジーです。 ・「ひのえうまの女」(永井紗耶子) 主人公の利久(りく)は丙午の日の生まれなため(ということにされている)、気が強く、それが災いして縁談が破談になり、大奥に行くことになります。まぁ破談になって良かったような縁談ですが。 大奥を描いた時代劇や時代小説にあまり触れてこなかったので、これらのことは初耳でした。ちなみに「汚れた方」というのは、御手付き中臈のこと。 これも初耳でしたが、祐筆は代書の仕事もしていたということで