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25年好きな作家さんと好きでいる理由

私は幼いころ、とても人見知りで、そとで元気よく遊ぶ、というよりは、家で絵を描いたり、本を読んだりすることのほうが好きなこどもでした。「三つ子の魂百まで」といいますが、人見知り、という点は全くもって影も形もなくなりましたが、絵や本については、多分100歳まで好きだと思います。

10代の頃は絵も小説のようなものもかいたりしていましたが、高校生になったころ、自然とやらなくなりました。今思うと「自己表現」というものの形が変わったからだと思うのですが、それはまた別の機会に考察してみよう。そんなわけで、私は10代の終わり頃から絵も本も「鑑賞する側」「消費する側」一辺倒になりました。

学生時代までに出会った絵や本というのは、おとなになってから出会ったそれよりも印象が強く、その後の人生に影響をしたりするものです。人によるのかもしれませんが、私は「好きなもの」が、そのころからあまり変わっていない気がします。

その中のひとりに作家の恩田陸さんがいます。一番はじめに読んだ作品は『三月は深き紅の淵を』でした。多分単行本で見つけて、後で文庫本を買ったんですよね。いつどこで、なぜこの作品を手に取ったのかあんまり覚えていないのですが、おそらく表紙の絵とその題名に惹かれたんだと思います。今確認したら、この本は1997年に発売されていました。高校生ですね、私。大学生なってから、文庫本を改めて買ったんでした。この文庫本は今年の夏まで私の本棚に並んでいましたが、姪っ子が読みたいといったので渡してしまいました。

ということで25年来、恩田陸さんの本を読み続けています。小説はたぶん、全部読んでるんじゃないかな(単行本か文庫になっているものに限るけど)。最新刊が出たらすぐ読むような、勤勉な読者ではないのですが、細く長く淡々とファンを続けています。今は物理的な問題でできないけれど、いつか全単行本を揃えて本棚においておきたい、と思う程度にはファンなのだと思う。

では、恩田陸さんのなにがそんなに好きなのか、といえばもうそれは「文章」と「ものの見方」につきます。もちろん、そのストーリー性、特に彼女の書くミステリー的要素なものは大好きなのですが、それ以上に彼女の書く「ことば」が心地いいのです。

ものの例え方とか、登場人物の考え方とか、物事との距離感であったり、その表現方法であったりが、つかず離れずで「ああ、そういう感じ、わかる」とストンとくる。そのストンとハマる感じが、私にとっては快感なのです。よくわかんない説明だと思いますけど、ひとことでいうなら、表現力、になるんでしょうかね。

ただ、それがストン、と落ちるかどうかは、かなり人によると思います。「よくわからない」という人もいれば「説明臭くてうっとおしい」っていう人も周りにいます。万人向けではないのかもしれない。どの作品を読んでも同じようにおもしろい!という作家さんでもない気がしますしね。

私は、彼女が紡ぎ出す表現や言葉の音のつらなりを、音楽のように楽しんでいるのであって、ストーリーは二の次になっているのかもしれません。

こんなことを言っていると、本当にファンなのか、おすすめしたいんじゃないのかと言われるのですが、上記のような理由から「恩田陸読んで!!」と熱く推すことはしたことがないんです。最近は直木賞を受賞された『蜜蜂と遠雷』があって、これは私もすごいと思ったし、結構万人受けするのではないかと思うし、表現力もいかんなんく発揮されていると思うので、まずはここからどうですか?って感じで、聞かれたら答えてます。私のベスト作品は他にもあるので、それを共有できる人とはおともだちになれる気がします。

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