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【読書】『なぜ共働きも専業もしんどいのか』を読んで

15年ほども前になろうか、ママ友とランチの時に

「専業主婦には三つのリスクがあるよね。
まず夫の会社が潰れること、
次に病気や怪我で夫が働けなくなること、
それから夫に好きな人ができて捨てられること」

と私が発言したことは友人の間では長いこと心に留まっているらしい。そんな漠然とした女性たちの現状を学術的に論理的に書籍にまとめられた本を見つけてつい手を伸ばした。

本を読んでいて付箋をつけることは珍しい。各所に興味深い記述があり一々頷きながら読み進めた。長時間労働や転勤など主婦ありきの企業体質やパート主婦の賃金の低さ、家事に精を出すことで自分の価値を見出そうと努める妻、日本の家事のレベルの高さ、行き届いた保育園から地域の小学校へ上がってからの保護者への負担、三世代同居の難しさ、専業主夫を選んだ時の課題など綿密に取材されている。

転勤族の主婦としてほぼすべて実感することばかりで、振り返ってよくぞ1人で三人を育ててきたものだと感慨も深い。3番目が小学校に上がるのを待って入学式に行った時に校門の前の不動産会社に求人の貼り紙を見つけて即応募したことなどなんと脇目も振らず子育てしてきたことよ。

それは最低賃金で円単位で週3日勤務。トイレ掃除なども良く頑張った。何しろ子どもの近くにいられる。突発的な時にも自宅にいるよりすぐ対応できる。お昼休みは家で合間の家事もできる。1時間あればこなせることがたくさんあるのだ。この時宅建の勉強をしたのも若さの為せる業。

それから塾通いの時間に間に合うように四年生になる時に時給の良いコールセンターに移ってとんでもなく苦痛なマニュアル通りの仕事をした。常に家族に最善な時間とお金の計算をしつつ可能な限り働いた。

しかしこんなものは共働きと呼ぶに足りない。常に扶養されていないといけないのだから。今の若い人たちはもっとシビアな現実を生きている。著者の中野円佳さんの結論は流動化する世界で多様な人材を社会がどう活かしていくか転換することが必要だと述べられている。

この本が出たのが2019年。あれから4年が過ぎて世の中は加速度的に変わってきているのを実感する。最も必要なことは柔軟性ではないか。本の中で家事代行のことにもページを割かれていたが必要な時はどんどん人の手も借りてお金よりも家族が笑っていられることを大事にしたい。男性がぁ、女性がぁ、と言ってる場合ではない。

そのためのお金を得る方法も自分の得意なことを活かして得られるように考えるべきだと思う。近未来の勝手な予想は不可欠なエッセンシャルワーカーとエンタメや趣味の仕事に集約されて一部のごく優秀な人が作り出す社会機構の中で皆が平和に暮らせる光景。楽観的なごきげんママ♡らしいですね。もっともっと多様性が認められる世の中になりますように。

今日も一日お疲れ様でした。

三人娘の幸せを願って

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