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おとなになっても消えない魔法にかかってほしい。

上野にある国立科学博物館が大好きだった。
毎週のように通っていた18年前、まだ建物は改修前で、私はたった6歳だった。 

入り口前の券売機、吹き抜けの玄関ホール。
初めて訪ねた時の衝撃は、いまでも忘れない。

出迎えてくれたのはティラノサウルス。
…正確にはその化石だけど。でも、とてつもない衝撃だった。

その瞬間から、恐竜は私の夢になった。
信じられなかったのだ、はるかむかし同じ地球上にこんな巨大な生物が存在していたなんて。

きっといたけど、もういないもの。
それは子供にとっての永遠に解けない謎、ロマンそのものだ。

いつか、もし、実際に会えることができたなら…。そんなことをずっと考えていた。

しかし、その夢をほんとうに叶えてくれた人がいた。


スピルバーグだ。

スティーブン・スピルバーグ監督作品『ジュラシック・パーク』の公開は1993年の7月。この時、私はまだ生まれていなかった。

2001年は『ジュラシック・パークⅢ』が公開された年。ちょうど私が毎週のように博物館に通っていた頃だ。

金曜ロードショーか、洋画劇場か。公開を記念して過去の『ジュラシック・パーク』が再放送されたのを、ビデオに録画して、擦り切れてしまうんじゃないかってくらい繰り返し再生した。

何度観ても、このラストシーンは目に焼き付いている。
おおきな口を開けて吠えるティラノサウルス、その上から垂れ幕が落ちてくる。そこには「WHEN DINOSAURS RULED THE EARTH(恐竜が地球を支配した時)」と書かれている。シビれる。かっこよすぎる。

これ以上、かっこよすぎて感動したシーンに、私はいまだに出会ったことがない。


先日、スピルバーク監督最新作『レディ・プレイヤー1』を観た。もちろん、素晴らしくて、きっとこの映画をみた子どもたちの心にずっと残る名作だと思った。

そして、私の心に残るスピルバーグ作品は…と聞かれたら何もよりもまず「ジュラシック・パーク!!」と答える。


子どもの心に芽生える好奇心を、ていねいに育ててくれる作品がある。『ジュラシック・パーク』は、まちがいなくそういう作品だ。

UFOや宇宙人、幽霊、恐竜…子どもの頃におびえて、でもとてつもなく魅力的に思えたものがたくさんある。でもおとなに「そんなもの、本当はいないんだよ」と言われるたびに心の底からがっかりした。(今思えば、怖がらせないように言ってたのかもしれないけれど)
子どもの好奇心にとって、ほんとうに怖いものなんて、ひとつもないのだ。

その好奇心に、映画というかたちで、想像力という魔法をかけてくれたのはスピルバーグだった。

その魔法は、大人になった今でもとけることはない。

私はこれから何度も『ジュラシック・パーク』を観る。これは、"6歳の私"に出会える作品だ。彼女は、好奇心の在りかを知っている。

私がそうだったように、今の子どもたちにもそんな作品が届けばいいと思う。その子たちの好奇心を、大切に育ててくれるような、魔法使いがあらわれてくれればいいのに、と。

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