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#1 「あなたはストーリーが好きですか?~世界は物語にあふれてる~」

夏の一大イベントはなにか、と問われたら、「高校野球」を挙げる日本人はとても多いと思う。
2020年は新型コロナウイルスの影響で春夏の甲子園大会が中止になってしまい、選手をはじめとして高校野球を愛するたくさんの方々が悲しい思いをした。私もそんな一人だ。

ところで、以前同僚からこんなことを言われたことがある。「俺は高校野球に興味ないんだ」と。「高校野球は毎年同じストーリーが繰り返される。変わるのは中の選手だけだ。」

日本人は高校野球になぜハマる?

それを聞いた高校野球大好き人間の私はあまり良い気分ではなかったが、彼の言いたいことは理解できる。

日本人が高校野球にハマる理由はこれまでよく議論されてきたので、私が説明するまでもない。表現は色々あるが、高校野球にハマる人は結局そのストーリーにハマっているのだ。

どこが勝ったとか、何年連続出場とか、この選手はプロで通用しそうだとか、そういった堅苦しいものに心が動かされることは滅多にない(そういった話は自らの博識ぶりを披露するときに使う)。

そうではなくて、選手の全力プレーや喜んだり涙したりする姿、マネージャーがベンチから見守る姿、監督との絆、観客席から届く熱い応援、その他高校野球に付随するたくさんの出来事に対してストーリーを見出すことで感動を覚えている。

残念なことに、私の同僚にはそのストーリーが毎年同じように見えているのだろう。一方で私は、毎年新たに生まれる感動的なストーリーに酔いしれている。

藤井聡太二冠の言葉

話は変わるが、将棋の藤井聡太二冠の言葉にもストーリーが登場する。
少し前に話題になったのでご存知かもしれない。

藤井二冠が初めてタイトルをとった際の記者会見で、AIが現在の将棋界に与える影響をふまえて棋士の在り方について問われたとき、その回答が多くの人々の感動を呼んだ。

今の時代においても、将棋界の盤上の物語というのは不変のものと思いますし、その価値を自分自身伝えられたらなというふうに思っています。  (この記者会見はSankeiNewsというYouTubeチャンネルが2020/7/16にあげた動画から見ることが出来ます。)

将棋というゲームにおいてAIに人間が勝つことは難しくなった。それでも人間同士が競って勝敗をつけることの意義はちっとも薄れない。なぜなら、そこに盤上の物語があるからだ。
……これを対局後の記者会見で述べてしまうところが藤井二冠のすごさであろうか。

世界は物語であふれてる

私が挙げた二つの例はいずれも勝負事だったが、日々の生活で私たちは勝負に限らず多くの場面でストーリーに縛られていることがわかる。

・占いを心の拠り所にする(血液型占いにハマる人多すぎ問題)
・風評被害が無くならない(科学的には全く問題ないのに)
・陰謀論が無くならない(世の中そんなに理由で繋がってないよ)
・就職活動で志望理由を問う(なんて素晴らしい志望理由だ!)
・美談が叩かれる(お涙頂戴!ヤラセだ!などど散々に言われるのは、人々が美談の純粋性を求める証拠だ)

そして高校野球にハマっている私も、立派にストーリーに支配されている。


最後に

人は、ストーリーに支配されることで幸せにもなれるし不幸にもなれる。高校野球や将棋や美談はストーリーに支配されるからこそ楽しめるし、風評や陰謀論に振り回されるのは頭の無駄遣いだ。

どちらにせよ、自身がストーリーに支配されていると多少なりとも自覚することは、幸せに過ごすための第一歩ではないだろうか。

あなたがストーリーに支配されていると思うのはどんなときですか?


最後まで読んでくださりありがとうございました。毎日投稿に挑戦していますので、是非次回も読んでいただけると嬉しいです。
ちなみに、Story/AI は私が好きな曲の一つです。

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