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『放課後ランプ』 # 毎週ショートショートnote

「ああ、あいつも放課後ランプかあ」
健太が窓を離れた。
放課後ランプを悠一がゆっくり歩いている。
ゆるい坂を登り切ると、その姿は木立の中に消えた。
僕は健太の肩を叩いた。
「さ、帰ろうぜ」
みんなも、そろそろと窓際から離れて行った。

校門を出ると右に行くのが通学路だ。
しかし、左にも細い坂道がある。
木立の先に何があるのか。
見たものはいない。
放課後、あの坂道を歩いて行ったものは、誰もが戻って来なかった。
ゆるい坂道はいつしか「放課後ランプ」と呼ばれるようになった。

その日、悠一は突然立ち上がった。
「お誘いが来た」
その瞬間を見るのは初めてだった。
僕たちは、
「おめでとう」と口々に言った。
何がおめでたいのかは、誰もわからなかったけれども。

今では、学校は廃校となって、スポーツ施設になっている。
その周りにも、住宅が広がっている。
しかし、放課後ランプだけは、今も残されている。
いつか、戻ってくるのではないかと。  
消えて行った子供たちが。


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