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ファンタジーな『インディ・ジョーンズ』×『はたらく細胞』だと思った『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』


【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:65/180
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:Strange World
  製作年:2022年
  製作国:日本
   配給:ディズニー
 上映時間:102分
 ジャンル:CGアニメーション、アドベンチャー、ファンタジー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

伝説的な探検家の息子であるサーチャー・クレイド。しかし、当の本人は冒険嫌いの農夫として、愛する妻と息子と共に静かに暮らしている。

そんなサーチャーが家族と共に冒険の旅に巻き込まれて辿り着いたのは、見たことがない幻想的な世界。生き物のように動く不思議な大地や、キラキラと光を放つ未知の生命体があふれる、“もうひとつの世界<ストレンジ・ワールド>”だった。

この謎に包まれた世界は、一体何なのか?そして、なぜサーチャーたちの命を狙ってくるのか?旅の終わりには、これまでの常識を覆す《衝撃の真実》が待ち受けていた…。

【感想】

ディズニー長編アニメーション映画第61作目(前作は『ミラベルと魔法の家』(2021))。本作からディズニーのオープニングロゴが100周年特別仕様のものに変わり、それだけでテンション上がりまくりでしたね。さらに、監督が『ベイマックス』(2014)や『ラーヤと龍の王国』(2021)と同じ方なので期待値MAX!だったんですが、正直、個人的にはまあまあといった印象でした(笑)ディズニーの割にはってことですけど。

<コッテコテのアドベンチャー>

ストーリーとしては、ド直球すぎるほどのアドベンチャー映画です。作中のテキストのフォントも完全に『インディ・ジョーンズ』で。サーチャーたちが住む街には電気のようなエネルギー源としてある植物が使われているんですが、それが枯れてしまう危機に陥ってしまいます。その原因を探るべく、植物の根を辿って、地下深く潜って行ったら、そこには不思議な世界が広がっていたという設定です。『アントマン&ワスプ』(2018)に出てきた量子世界のようにカラフルな光景と、そこに巣くう謎の生物たち。ディズニーしては珍しい世界観で、あの異様な光景は一度目にしたら忘れられないほどのインパクトがありました。

<親と子の在り方で考えさせられる場面も>

そんな世界を縦横無尽に駆け巡る冒険譚を楽しめるのが本作の魅力ですが、途中、子育てについて考えさせられる一面もあります。それは、サーチャーを含む親子三代にわたるエピソード。探検にしか興味がなかった父を反面教師に、農夫となったサーチャー。自分の息子にも探検と関わらせないようにしてきたつもりですが、それもまた父が自分にしてきたような無理強いに近いものがありました。目指しているものは違うけど、やり方は同じ。それに反発する息子を見ていると、自分が子供とどう向き合っていくかも、少し頭をよぎる内容でした。

<内容が薄く感じられてしまう>

テンポもいいですし、映像も素敵ですし、話もわかりやすいですし、楽しめる作品ではありました。でも、そこまで刺さらなかった自分がいるんですよね。理由は2つ考えられます。ひとつは、歌がないことでディズニーらしさが感じられなかったこと。もうひとつは、冒険譚と言いつつも、あまり危機的状況に陥らず、トントン拍子に話が進みすぎてしまったこと。だから、スリルや感動といった感情の振れ幅がなく、ディズニーにしては味気ないと感じてしまったのかもしれません。現時点での各レビューサイトの評価もあまり高くないですね。せっかくのアドベンチャーなら、もっとピンチになる場面を増やして、スリリングな展開の方がよかった気もするんですよね。まあ、ディズニーっていうだけで期待値が上がってしまう側面はあるので、いろいろ言ってますが、決してつまらないわけではないですよ!

<最近のディズニーに多いポリコレ>

僕の中でポリコレはまったく悪い印象はなく、むしろ幅広い人に映画を楽しんでもらえるような工夫として賛成ではあるんですけど、本作においてはちょっと入れ込みすぎかなっていう気もしたんですよね。いろんな人種の家族に、同性愛者の息子、片足のないペットの犬など、それ自体は何の問題もないのですが、「とりあえず入れました!」的な感じがしてしまい。。。いや、そういう違いに目がいってしまう時点でアウトで、どんな人がいてもそれが当たり前の世界をディズニーが率先して作ろうとしているのだとは思いますけど、それならもっとその設定を活かした話にしてもよかったのではと思います。

<そんなわけで>

ディズニー100周年の幕開けを飾る作品としては、やや物足りなさを感じる映画ではありました。とはいえ、これまでのディズニー作品にはない異様な光景への驚きと、親子の絆を感じられるわかりやすいストーリーは魅力だと思うので、それに興味があったら観てもよいかと。あと、スプラットっていうスライムみたいなキャラクターがキュートなので要チェックです!

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