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白人至上主義者たちがアジア人を痛めつけるこの世で最も胸糞ないじめ映画『ソフト/クワイエット』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:34/77
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:Soft & Quiet
  製作年:2022年
  製作国:アメリカ
   配給:アルバトロス・フィルム
 上映時間:92分
 ジャンル:スリラー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

とある郊外の幼稚園に勤める教師エミリー(ステファニー・エステス)が、「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義のグループを結成する。

教会の談話室で行われた第1回の会合に集まったのは、主催者のエミリーを含む6人の女性。多文化主義や多様性が重んじられる現代の風潮に反感を抱き、有色人種や移民を毛嫌いする6人は、日頃の不満や過激な思想を共有して大いに盛り上がる。

やがて、彼女たちはエミリーの自宅で二次会を行うことにするが、途中立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹との激しい口論が勃発。腹の虫が治まらないエミリーらは、悪戯半分で姉妹の家を荒らすことを計画する。

しかし、それは取り返しのつかない理不尽でおぞましい犯罪の始まりだった……。

【感想】

これは、、、全アジア人に大変な衝撃を与える映画じゃないですかね。。。同じようなことが今もどこかで起こっていると考えると心が痛む、そんな映画でした。。。

<マイノリティが虐げられる胸糞悪さ>

いや、本当に胸糞悪いですよ、これ。。。もちろん、被害者がアジア人っていうのは大きいと思います。これまでの映画って、黒人差別を扱った作品はけっこう観てきましたけど、ここまで明確にアジア人が一方的に虐げられるのって観たことないですから。。。自分も日本人として、目の前でアジア人が痛めつけられているシーンは観るに堪えなかったですね。。。本当にただ「アジア人だから」っていう理由だけでこんなひどいことされちゃうんですから。。。「気に食わないからちょっとイタズラしてやろう」っていう浅はかなエミリーたちの行動が、取り返しのつかない悲劇に発展してしまったのは、怒りを通り越して悲しさしかありません。。。あのアジア人姉妹が本当にかわいそうです。。。何も悪いことしていないのに。。。なんであそこまでされなくちゃいけないんだろうって。。。これが小さい子供同士なら誰かが躾けることもできるかもしれませんが、みんな30代~40代のいい大人ですよ?そんな人たちがやることとは到底思えません。。。人種差別っていうと、見聞きするのは黒人に対するものが多いですが、日本人ひいてはアジア人に対するものも欧米ではけっこうあるんですよね。。。それを改めて思い出すきっかけになりました。。。

<この構図は人種によるものだけではない>

しかも、この映画を観て思ったのは、「多民族国家のアメリカだからこそ起こりうる」っていう話に留まらないところなんですよ。「別に海の向こうの話だから、日本にいれば関係ないっしょ」って思うこともできるとは思います。ただ、これはアメリカの映画で人種差別が目立つからそれを題材にしているだけであって、エミリーたちの思想や行動って、かつてヒトラーがユダヤ人に対してやっていることと変わりないないんですよ。それに、似たようなことは日本だってりますよ、きっと。「ただ気に食わないから」っていう理由だけで誰かをいじめて、それが取り返しのつかないことになってしまったというケースは時々ニュースにもなりますし。

人間である以上、多かれ少なかれ、他人に対して優劣を感じることはあると思いますけど、この映画で描いていることって、それが行き過ぎたというか、優れていると勘違いした人たちが、勝手に弱いと決めつけた立場の人たちに対する一方的な暴力なんですよ。いつまで経っても人種差別やいじめはなくなりませんけど、エミリーたちと似たような考えをしている人、似たような行動を起こしている人は、程度の差こそあれ今も至るところにいると思います。だから、この映画自体はフィクションではあるけど、内容としてはフィクションの枠組みを超えているとさえ感じるんですよね。ある意味、日常の闇を描いた作品とも言えそうです。

<そんなわけで>

特に我々日本人からしたらとても胸糞が悪くなる映画です。日本にいる限りは日本人が人種を理由に虐げられることはないとは思いますけど、海を越えるとこういう現実の可能性もあるっていう気づきにはなるかもしれません。そして、マイノリティがマイノリティであるという理由だけで虐げられることはあってはならないと痛感します。いろいろ考えさせられる映画なので、ぜひ観ていただきたいです。


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