もはやドキュメンタリーな『万引き家族』

パルムドール受賞という、日本映画界において、
類まれなる実績を残した本映画。
(パルムドールのすごさがいまいちピンときてないけどw)
でも21年ぶりってのは相当なもんだと思う。

そんな本作品を早速公開初日に見てきました。

もはやね、映画というより、ドキュメンタリー。
「実録!いびつな家族」みたいなタイトルで特集組まれてそうなほどに。
それぐらい、出演者の演技がとてつもなく自然てことなんだよね。

リリー・フランキーのだらしなさや、
樹木希林の何言ってるか聞き取りづらいおばあちゃん感、
松岡茉優のまったく笑わないフーゾク嬢、
チョイ役なのに存在感のある池松壮亮、
恵まれない環境で想うところが多々ありながらも口には出さない子役たち、
そのどれもが演技してるというより、リアルそのものだった。

特に安藤サクラがすごい。
あの妙なエロさを出す雰囲気や、
物語終盤で、泣きそうなのにそれを我慢する仕草とか、
もはや映画や演技を見ているというより、
彼らの生活や人間そのものを見ているようだった。

だから、彼らの生活はこのあとどうなっていくんだろう
という興味がとてつもなく掻き立てられ、
ずっとスクリーンに釘付け状態。

ただ、ドキュメンタリーとしての印象が強かったため、
映画として面白いかというと、個人的にはそこまでかなと。
この映画を見る前から、
海外で賞を取る映画はアート寄りで、
自分にはそんなに刺さらないだろうなと思ってたけど、
その予想はピタリ(笑)
(まあアートじゃなくてドキュメンタリーだったけど)
監督もドキュメンタリーを撮ったりしている人なので、
そういうのがこの映画にも出たんじゃないかなって思う。

さらに、彼自身も「一人の人に向けて作った」と言っており、
当然、僕はその一人ではなかったと思うので、
背間で騒がれているほど刺さりはしなかったというのが正直なところ。

「こいつわかってねーな」と思われるかもしれないけど、
映画に限らず、作品はその人の主観や価値観に寄るところが大きいから、
とにかく僕自身はそう感じたというだけ。
(個人的には断然『アベンジャーズ』の方が面白い)

でも、あそこまで話題になると期待ばかり膨らむ人が多いだろうし、
「これはすごい映画なんだ」
「これは絶対に面白い映画なんだ」
って、変にバイアスかかって見ちゃうと思うけど、
ぜひ自分の価値観に正直に見てほしいです。

ちなみに、一番下の妹を演じた子役の佐々木みゆが6歳ということで、
今、世間を騒がせている目黒の虐待死事件の子と同じぐらい年齢なのだが、
この作品でも親から愛されていない役だったから、余計に心が痛んだ。
こんな小さな子供に、あんな手紙を。。。
映画とは関係ないけれど、改めて痛ましい事件だと思いました。

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