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こんな展開誰が予想できる?!令和の口裂け女は想像の斜め上を行っていた『先生!口裂け女です!』


【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:38/104
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:エクストリーム
 上映時間:84分
 ジャンル:アクション、コメディ
元ネタなど:なし

【あらすじ】

高校生のタケシ(木戸大聖)とF1(上野凱)は、盗んだ原付バイクを不良軍団に売ってお金を稼いでいた。

ある日、彼らは転校生のアヤカ(黒崎レイナ)も仲間に加え、寂れたアパートに停めてあるバイクを盗もうとする。そこへ持ち主らしきマスク姿の女が現れたため、3人は慌ててバイクで逃げ出すが、女は人間離れした身体能力で走って追いかけてくる。

なんとその女の正体は、頬まで口が裂け、100メートルを6秒で走るという都市伝説の口裂け女(屋敷紘子)だった。

【感想】

いやいや、面白すぎじゃないですか。「こんな邦画を待っていた!」ってぐらい洋画並みに設定がぶっ飛んでいたトンデモ映画でした。予告からもポスターからもこんな展開は想像できませんでしたね(笑)

<予想できなさすぎるストーリー展開>

僕が小学生の頃、講談社KK文庫から出ていた『学校の怪談』が学校で大流行りしてましてね。その中でも個人的にトラウマとなったキャラクターが口裂け女なんですよ。単純に絵が不気味だったんだけど、100mを6秒で走るという設定に「こりゃ逃げきれんわ。。。」と絶望を感じたことを今でも覚えています。

そんな口裂け女を題材としたのがこの映画なんですが、いろいろまさかすぎましたね。最初は、口裂け女 vs 不良っていう構図のホラーアクションだと思ってたんですよ。もちろん、終盤はそういう形にはなるんですけど、全体的には青春友情コメディをベースに、そこにアクションやサスペンスを入れ混んだミックスジャンルでしたね。最初こそ「ホラーなのかな、、、?」っていう雰囲気がありますが、本当に冒頭だけ。それ以降、怖さは一切なくなり、笑いと興奮がぎっしり詰まった内容へと変わっていきます。

盗んだバイクを巡ってタケシたちと口裂け女のバトル。息子を守るために不良軍団のアジトに単身乗り込む主人公の父親。行方不明になっている女子高生たちの真相。いろんなエピソードが混在しているんですが、どれもがうまい具合に繋がっており、情報量が多いにも関わらずとてもわかりやすい内容でした。

<キャラ崩壊した口裂け女>

この映画で一番推したいのは、やっぱり口裂け女のキャラクターですね。本当に最高でした。僕の中では先に書いた『学校の怪談』の件で強いトラウマがあるので、どうしても怖い印象しかないんですけど、そのイメージが完全に崩れます。確かに見た目は怖いんですが、性格は意外とキュート。口が裂けてしまった理由もDV彼氏にやられたと、いかにも現代っぽかったです。その上、複数の格闘技を長年やっているためにとんでもなく強いんですよね。
そんなギャップの塊のような人物なので、ものすごく強烈な存在感を残します。また、タケシとの絡みも『ベスト・キッド』(1984)を思わせる部分もあり、ちょっと癒されるんですよね。まさか、長年恐怖の対象でしかなかった口裂け女に癒される日が来ようとは思いもしませんでしたけど(笑)

<邦画アクションの革命>

そんな彼女の一番の推しどころはやっぱりアクションですよ。紆余曲折を経て、最後は不良軍団の中に口裂け女がひとりで飛び込む形になるんですが、動きのキレがハンパないんです。『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ並みに邦画アクションの革命なんじゃないかってぐらいのド派手アクション。口裂け女が素早い身のこなしで不良たちを殴る蹴る斬る刺す。日本のダークヒーローここに極まれりって感じですね。エンドクレジットを観たら、やっぱりアクション協力に伊澤彩織さんの名前がありました。その伊澤さんにしろ、本作で口裂け女を演じた屋敷紘子さんにしろ、最近アクション女優がフィーチャーされている気がするのは僕だけでしょうか。いい流れですよね。「日本にもこんなにアクションができる人いるんだ」って感動しましたし、「いいぞもっとやれ!」って思っています。

あと、アクション女優ではないんですが、個人的には主人公の姉(里々佳)も好きでした。あんなにかわいい顔して男勝りな強さを持つというギャップがぶっ刺さります(笑)

<そんなわけで>

日本で最も有名な都市伝説が、まさかこんな形で生まれ変わるなんて、今年一番驚いた映画です。口裂け女に怖いイメージを持っている人こそ観てもらいたいですね。こういう映画を(言い方は悪いかもしれませんが)B級ではなく、もっとメジャーなところで作ってもらいたいなーっていうのが僕の密かな願望です。


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