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この時代でしか通用しなそうなトリックと見切り発車すぎる推理にやや無理矢理感があった『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:114/129
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:A Haunting in Venice
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:ディズニー
 上映時間:103分
 ジャンル:ミステリー
元ネタなど:小説『ハロウィーン・パーティ』(1969)

【あらすじ】

ベネチアで隠遁生活を過ごしていたポアロ(ケネス・ブラナー)は、霊媒師のトリックを見破るために、子供の亡霊が出るという謎めいた屋敷での降霊会に参加する。

しかし、その招待客が、人間には不可能と思われる方法で殺害され、ポアロ自身も命を狙われることに…。

果たして、この殺人事件の真犯人は、人間か、亡霊か──世界一の名探偵ポアロが超常現象の謎に挑む、水上の都市ベネチアを舞台にした迷宮ミステリーが幕を開ける。

【感想】

ケネス・ブラナー監督・主演の映画エルキュール・ポアロシリーズ第3作目。過去2作同様、壮大な印象を受けつつも、意外と中身はあっさりという映画でした(笑)

<ミステリーというよりもホラー?>

謎めいた屋敷で起こった殺人事件。その場にいる全員が容疑者というだけでなく、「もしかしたら亡霊の仕業かもしれない」というオカルトチックな設定も。なので、全体的にミステリーというより、ホラーテイストが強かったです。あのポアロでさえ、その亡霊の存在に吞まれようとしたほどですから。ちょっとしたジャンプスケアもあって、僕も一瞬ビクッとなりました(笑)

<都合がよすぎると感じるところも>

もちろん、この映画はホラーではなくミステリーなので、亡霊なんてものは存在しません(本当か?w)。すべての事象には科学的に解明できるトリックがあります。ただ、劇中でのヒントがものすごく少ない中で、最後にポアロが種明かしというか、自身の推理をみんなの前で披露するんですが、見切り発車がすぎるんですよ。後から思い返すと、「まあ確かにそう考えると辻褄が合うよね」っていうことではあるですが、物証もなければ目撃者もいたか怪しい中で、よくあそこまでわかるなあと。推理モノは小説も漫画も映画もほとんど観ないのでわかりませんが、どれも大体そんな感じなのでしょうか。もうちょっと"匂わせ"みたいなシーンを散りばめてくれてもいいんじゃないかな~なんて個人的には思いました。

犯人とされた人も、否定の余地はまだあったと思うんですが、意外とあっさり認めちゃうんですよね。まあ、仮に「証拠はあんのか!」みたいなことを言ったとしても、例えば「あなたの持っているそれ。それは――」みたいな形にいくらでもできそうだから、あまりそこで押し問答する意味もないのかもしれませんが(笑)しかも、犯人の動機も弱かったんですよ。いや、「その動機でそこまでする?」ってぐらい犯人に感情移入できなかったって言う方が正しいですかね。そもそも検死をちゃんとしていれば、今回の事件は全部防げたんじゃないかって気もします。1940年代という時代的に、いろいろ限界があったんでしょうか。なんかいろいろすんなり進みすぎているように感じましたね。

<そんなわけで>

正直、いろいろ都合よくすっ飛ばした印象の強い推理映画でしたね、個人的には。このシリーズ、舞台となる場所はオシャレですし、キャラクターの持つ雰囲気も素敵で、画はとても綺麗なんですけど、いかんせん中身が薄いんですよ(笑)ずーっと素敵な画を見せておいて、最後にポアロの「おまえは神の目を持っているのか?」っていうぐらい何でもお見通しの推理を披露して終わりますから。いや、それがこのシリーズの醍醐味といえばそうなのかもしれませんが……。


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