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大胆な現代風のアレンジによって小難しいリアル路線になった『シン・仮面ライダー』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:20/39
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東映
 上映時間:121分
 ジャンル:特撮、アクション
元ネタなど:特撮『仮面ライダー』(1971-1973)

【あらすじ】

公式からの発表がないので、映画コムからの引用でイントロダクションをば。

1971年放送開始の特撮テレビドラマ『仮面ライダー』を、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』、『シン・ゴジラ』の庵野秀明が監督・脚本を手がけて新たに映画化。

【感想】

1971年に放送されたテレビ版および漫画版を元に作られた新たな物語。漫画は読んでいませんが、テレビ版全98話、劇場版3本、全部観てから本作を鑑賞しました。原作があるものはそれを観てから新作を楽しみたいので(笑)

<小難しい設定>

正直、「すっげー!」とか「やっばー!」みたいな興奮というより、「なるほどね」という感想です。直近までテレビ版を観ていた身としては、現代風に大胆にアレンジされた内容は大いに楽しめましたが、これはけっこう好みが分かれそうだなと感じる部分が多かったです。

まずは、設定の小難しさ。ショッカーの目的や仮面ライダーおよび怪人たち(本作ではオーグと呼ばれる)の特性など、"それっぽい"専門用語を羅列しているのは、庵野秀明ファンならニヤリとするでしょうけど、単に仮面ライダーが好きというだけねなら、正直「???」となりかねません。要するに、エヴァを“汎用人型決戦兵器”と呼ぶような形で、一発では覚えにくい名前がけっこう出てくるんですよ。ショッカーの正式名称も英語の頭文字をとってるんですけど、もう忘れてしまいました(笑)

ただ、悪いことばかりではありません。小難しさがある反面、世界観やキャラクターの設定が明確になり、話の繋がりが自然になったと僕は感じました。テレビ版はよくも悪くも展開が唐突すぎて、「なんでそうなった?」みたいにツッコミを入れたくなるところも多かったですからね。特に、本郷猛(池松壮亮)が望まずに手に入れた超人的な力に苦悩するという葛藤が描かれているのはよかったなと思います。

<戦闘のリアルさ>

次に、戦闘シーンにおいてリアルさが増したと感じました。仮面ライダーって常人離れした能力の持ち主なので、普通に考えれば彼の繰り出すパンチやキックを食らったら、相当なダメージを負うわけですよ。テレビ版ではもっさりしたアクションと、寸止めと呼べないほど手前の寸止めで、そこまで仮面ライダーの攻撃力の高さを感じられませんでしたが、今回の映画を観てようやく彼の強さを実感できた気がします。殴れば血がブッシャブシャ出るし、ライダーキックのスピードと破壊力は防ぎようがないってのも、『仮面ライダー』が世に出て50年以上経ってようやくわかりましたね。むしろ、思ったよりスプラッターでちょっとびっくりしたぐらいです(笑)

<CGやアクションの拙さ>

また、CGやアクションが想像してたよりも雑というか、わざとらしく感じてしまいました。体のサイズ的に等身大のヒーローになったことで、もろに海外のスーパーヒーロー映画との差が目立つようになってしまったんですよね。それらと比べると、CGが“いかにもCG”という感じなのと、アクションがそのCGによるハイスピードバトルのところと、テレビ版っぽいもっさり感のあるところの差がすごくて。。。特にCGによるド派手アクションは、カメラワークが激しかったり、まわりが暗かったりでいまいち何をしているのか観づらかったです。もともと勝手に体を改造された男の悲しい運命みたいな話なので、アクションはそこまで重要じゃないのかもしれませんし、あえてもっさり感を残すことで、原作へのオマージュを表現した可能性もありますが。

<ユニバースはどうなった?>

あと、「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」と名打っているので、てっきりマーベルやDCのような展開を期待してるんですが、、、どうなんでしょう。今回も意外な配役があって、ちょっとワクワクしそうな感じがしたのですが、、、うーん、これはその目で確かめてください(笑)

<ラストの意外なオチ>

テレビ版しか観ていないと、本作のラストはけっこう意外な終わり方です。ただ、調べてみると漫画版が同じような終わり方らしいので、それを参照したのかもしれません。なので、それを踏まえると、続編はまだ作りようがありそうです。

<賛否両論のワケ>

個人的には、同じ特撮のリメイクなら監督は違いますが、『シン・ウルトラマン』(2021)の方が好きでしたね。あれは大枠はテレビ版に忠実ながらも、細かな設定や演出をアップデートしたことで面白く感じたからです。今回の映画に関しては、けっこうガラッと変えた上に設定がわかりづらいところもあったので、すんなりと入ってこない部分があるんですよ。そこが賛否両論ある要因なのではないかと考えています。

<そんなわけで>

シン・ウルトラマン』を期待していくと、ちょっと面食らうかもしれませんね。主題歌や劇中のBGMなど、テレビ版のものを使用しているからファンにはうれしい部分もあるにはあるんですが、全体を通じて振り返ってみると、庵野秀明監督らしさが全面に出ていて観る人を選びそうです。まあ、仮面ライダーの超絶パワーが現実的にどの程度なのかを知るにはいいかもですね(笑)


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