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テレビ版への愛とリスペクトが詰まっていた『シン・ウルトラマン』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:12/69
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】

SF
アクション
特撮

【元になった出来事や原作・過去作など】

・特撮テレビドラマ
 『ウルトラマン』(1966-1967)

【あらすじ】

次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)】が現れ、その存在が日常となった日本。通常兵器はまったく役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【禍威獣特設対策室専従班】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。

班長・田村君男(西島秀俊)
作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)
非粒子物理学者・滝明久(有岡大貴)
汎用生物学者・船縁由美(早見あかり)
が選ばれ、任務に当たっていた。

禍威獣の危機が迫る中、大気圏外から突如現れた銀色の巨人。禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、神永とバディを組むことに。

浅見による報告書に書かれていたのは…【ウルトラマン(仮称)、正体不明】。

【感想】

日本が誇るスーパーヒーロー、ウルトラマン。リアルタイム放送時には生まれていなかったので、再放送を幼稚園のときに観ていましたし、この映画のために改めて観直してから本作を鑑賞しました!過去シリーズについては、円谷イマジネーションというサービスで観ることができます!

<テレビ版と大きく違うところ>

まず、うまくリメイクしたなと感じました。全体的には『シン・ゴジラ』(2016)の世界観をウルトラマンに置き換えた印象ですね。「今、この時代にウルトラマンが現れたらどうなるか」。政府の管轄下にある禍特対は上の指示で動き、科学的な専門用語を交えたセリフの数々に、とてもリアルさを感じます。

で、この禍特対のポジションが一番テレビ版と違うなと思いました。これはテレビ版で言うところの科学特捜隊だと思いますが、テレビ版って最初に「日常で起こる不可思議な現象」があるんですよ。人が消えたり、不自然な事故が多発したり。そこにサスペンス感も味わえるんですけど、それを調査する機関として、国際科学警察機構(本部はパリ)の下部組織である科学特捜隊があります。日本政府の直属ではないので、政府にお伺いを立てるようなこともせず、けっこう自分たちで自由に動きまわっていた印象なので、今回の禍特対とは違うなと。

<"当時の子供たち"に向けた大人向け作品>

今回の映画は、アクション満載のスーパーヒーロー映画というよりも、ウルトラマンや禍威獣たちと人間の関わりに焦点が当たっているように感じます。だから、子供向けというより、“昔子供だった”人たちに向けた作品ということで、今なお続いているウルトラシリーズとは違う作りかもしれません。

それもあってか、テレビ版全39話の中でも特に印象に残るエピソードを踏襲しつつ、おなじみのBGMや効果音も使われているので、昔のファンはかなり楽しめると思いました。そもそも今回の禍威獣特設対策室専従班もテレビ版の科学特捜隊も、通称の読み方はどちらも“カトクタイ”ですし(笑)昨日までテレビ版を観ていた身としてはかなりエモかったですね。個人的には、ザラブ星人のところが一番ツボでした!内容は劇場で観て欲しいんですけど、「そこ入れるんだ!」と製作陣の遊び心が垣間見えたのがよかったです(笑)

<テレビ版への愛とリスペクト>

映像もCG技術が発達したことで、当時の着ぐるみやミニチュアでは再現できなかったリアルさが追求されてたのがよかったです。変に全部まるっと変えるのではなく、昔の雰囲気を大事にしながら、現代風にアレンジしたデザインやカメラワーク。人によっては「やや古臭い」と感じるかもしれませんが、かつての子供たちの夢を壊さないところが好感持てます。ウルトラマンはだいぶヌメッとしてましたが(笑)

<そんなわけで>

初めてウルトラマンを観る人よりは、当時ハマった世代の方が楽しめると思います。昔の雰囲気を残していたのは、リアルタイムで『ウルトラマン』を観て影響を受けた、総監督の庵野秀明なりの愛とリスペクトかなと思いますね。これはこれで終わりなのか、他の"シン"作品と繋がりがあるかは不明だけど、マーベルみたいな広がりがあったらうれしいです。


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