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愛の前では人間とAIの違いなんて些末なことだけど、「結局見た目じゃね?」と思った『ザ・クリエイター/創造者』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:46/145
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:The Creator
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配給:ディズニー
 上映時間:133分
 ジャンル:SF、アクション、ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし

【あらすじ】

※公式サイトの文章を元に記載。
遠くない近未来、人を守るはずのAIが核を爆発させた——。

人類とAIの戦争が激化する世界で、元特殊部隊のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かう。だがそこにいたのは、兵器と呼ばれたAIの少女アルフィー(マデリン・ユナ・ヴォイルズ)だった。

そしてジョシュアは“ある理由”から、少女を守りぬくと誓う。やがてふたりが辿りつく、衝撃の真実とは…。

【感想】

AI全盛期の今だからこそ観ておきたい映画でした!人間とAI、その両者について区別することに果たして意味なんてあるのだろうかと考えさせられる内容で、思ったよりも深い内容です!

<ありふれた世界観と独自性の絶妙なバランス!>

とにかく僕はこの映画の世界観が一番好きでした!『ブレードランナー』シリーズ、『スター・ウォーズ』シリーズ、『ターミネーター』シリーズの設定や雰囲気をうまく混ぜ合わせたような感じで、サイバーパンクな街並みや田園風景にロボットがいるミスマッチ感がかっこよく感じられて!まあ、悪く言えば「過去作品の寄せ集め」のような印象を受けてしまう部分は否めませんが、最近こういうド直球なSF映画ってあまりなかったですし、あの壮大すぎる世界観を堪能できたのは、特にSF映画好きにとっては心の栄養になりそうです!これはもう本当にIMAXとかで観ていただきたいぐらいには映像の持つパワーがすごいですよ!!

<人間とAI、果たして両者は区別されるべきなのか否か>

そんな圧倒的な世界観の中でカギを握るのが、AIの少女アルフィーです。見た目はかわいい女の子なんですが、彼女(AIに彼女というのもおかしな話かもしれませんが)は人類を滅ぼす兵器なんですよね。ジョシュアはそんなアルフィーを抹殺する任務を請け負っていたんですが、とある理由で彼女を守ることを決意します。追手からの攻撃をかわしながら、命懸けでアルフィーを守る姿はとても感動的でしたね。

ただ、その"とある理由"ってのがね、ネタバレになるから伏せておきますけど、「そりゃそうなるわ」っていう事情すぎて、個人的にはここはあまりピンときませんでした。「本当は殺したいのだけど、どうしてもそれができない」みたいな葛藤の末、立場を逆転させて守るっていうならもっと印象に残ったかもしれませんが、、、あまりにも当然のことすぎて。。。(笑)

そもそもですが、その理由を知る前なら、ジョシュアはアルフィーを殺せたと思うんですよ。別にあらゆる攻撃を無効化する強さを持つAIっていうわけじゃないですし、いくらでもやりようはあったはず。なのにそれをしなかったのは、やっぱりアルフィーが少女の姿をしていたっていうのが大きいでしょうね。いくら任務とはいえ、そして相手がAI(を搭載したロボット)とはいえ、健気な少女の姿をした存在を手にかけるのは気が引けたってことなんじゃないですかね。もしこれが、普通の無機質なロボットの姿だったら、出会った瞬間にフルボッコしていたかもわかりません。

となると、「結局見た目じゃん?」って思うんですよ。辞書的な意味でも概念としても、人間とAIはまったく異なる存在ですが、そのAIの見た目が本物の人間と遜色なく、そしてそこに愛情を感じられるとしたら、人間とAIを区別する意味ってあるんですかね。まあ、そんなこといったらあらゆるものを区別する意味に疑問が出てきてしまいますが、あくまでも"人間と同じ形をして人間と同じような思考や行動を行う存在"だからこそ、人間とAIって比較されちゃうんでしょうね、きっと。

<言葉の使われ方、これでいいのか?>

ちょっと気になったのは、この映画の中では"AI"と"ロボット"を区別せずに使っていたことですね。その2つは同じものではないですが、この映画を観ると"AI=高度なロボット"と伝わってしまいそうで、特に専門家の人とかモヤりそうだなって(笑)

<映画ならではのメチャクチャ欲しい画期的なシステム>

あと、個人的にすごく欲しいシステムがあったんですよ!それは、亡くなった人間の頭に特殊な装置を取り付けることで、脳のデータを吸い出してチップに保存できるというもの。しかも、そのチップをロボットに挿入することで、死んだ人間の人格を引き継ぐことができるんですよ!亡くなってから時間が経っちゃうと、引き継いだ人格も短時間しか存在できないっぽいんですが、この映画の世界では体のコピー体を作ることも可能なので、死んだオリジナルの人間の人格をそのコピー体に引き継がせれば、ずっといっしょにいられるじゃんって。このシステムだけでもう1本映画作れそう(笑)

<そんなわけで>

ド直球なSF映画で、人間とAIの関係について考えさせられる想像以上に深いヒューマンドラマでした。ものすごく斬新というわけではないものの、AIについての議論が絶えない今だからこそ押さえておきたいですし、これはもう映画館で観てこその作品でした!

ちなみに、本編とは関係ないのですが、ジョシュアを演じたジョン・デヴィッド・ワシントンって、あのデンゼル・ワシントンの子供なんですよ。デンゼル・ワシントンは今『イコライザー THE FINAL』(2023)が公開されているので、親子2代にわたって新作やれてるのもすごいなって思いました。


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