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全スイマー必見!5回も挑戦を繰り返し、64歳でフロリダ海峡約180キロを泳いで横断することを成し遂げたナイアドの姿に魂が震えた『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:29/173
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:-(配信で鑑賞)

【作品情報】

   原題:Nyad
  製作年:2023年
  製作国:アメリカ
   配信:Netflix
 上映時間:121分
 ジャンル:伝記、ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし

【あらすじ】

※映画.comより引用。
マラソンスイマーを引退して約30年が経ったダイアナ・ナイアド(アネット・べニング)。60歳を迎えた彼女は、ずっと思い続けていたひとつの挑戦が頭から離れなかった。それは「水泳界のエベレスト」と呼ばれるフロリダ海峡を横断するというものだった。

フロリダ海峡にはサメや毒クラゲの恐怖や、激しい湾流などもあってオーシャンスイムの最難関とされ、そこを泳ぎ切るには想像を絶する困難を乗り越えなければならない。それでも世界初の称号をかけ、サメよけのケージも使わずに生身で泳ぎ切ることを決意したダイアナは、親友でありコーチでもあるボニー(ジョディ・フォスター)らと共に4年に及ぶ波乱に満ちた挑戦に乗り出す。

【感想】

うおおお!!これはとてつもなく面白い映画でした、、、!!64歳にしてフロリダ海峡を泳いで横断するとか、、、正気の沙汰じゃねぇ!!一部の劇場では上映されていたのですが、期間限定だった上にタイミングが合わなくて観れず、、、それが今年最大の後悔です。いや、むしろこれはもうシネコンで上映してもいいぐらいの作品でしたよ!!

<同じスポーツをやっていると余計に思い入れ深くなる>

この映画、簡単に言ってしまえば「還暦を過ぎた人が偉業を成し遂げる」という話で、年齢をものともせずに挑戦していく姿に感動を覚える内容です。その設定だけでも面白いとは思うのですが、個人的に並々ならぬ思い入れがあるのは、僕自身がもう40年近く水泳を続けていることに他なりません。だからこそ、このナイアドの挑戦がいかに大変かが身を以てわかるんです。これがマラソンでも登山でも、還暦を過ぎて挑戦すること自体に感銘を受けたとは思いますけど、自分が長年やっているスポーツだとまた格別ですね。

<あなたはどんな人生を歩みますか?>

この映画を観るまでダイアナ・ナイアドという人物は存じ上げなかったのですが、もともとは長距離の水泳選手だったようです。28歳のときに一度キューバ・フロリダ間を泳いで横断することに挑戦したものの、強風や波にあおられ違う方向へと流されてしまい、余計に体力を消耗したことで途中で断念。それから30年。かつて失敗したことを心残りに想いながら、ナイアドはメアリー・オリバーの詩に心動かされます。

「あなたは何をする気?一度きりの貴重な人生で」

どんな人生を歩んでも正解なんてものはないですし、どう生きるかはすべて自分次第。劇中でナイアドは「人より秀でていたい」と話していることから、プライドが高い人ではあったんでしょう。さらに、かつて失敗したまま宙ぶらりんになっている挑戦もあります。そこでナイアドは一念発起し、30年ぶりにリトライすることを決め、トレーニングを始めると同時に協力者を募り、再びキューバへと向かいます。それが彼女の生きる意義だったんじゃないかなと思います。

<海で泳ぐことほど過酷なものはない>

経験したことがある人ならわかると思いますけど、海で泳ぐのはプールで泳ぐのとはまったく別物です。相手は自然ですからね、環境が整った人工のプールとは訳が違います。一定のスピードを保たなければ潮の流れで違う方向へ流されてしまいます。特に、このフロリダ海峡は潮の流れが速いらしく、おまけにサメや毒クラゲもいます。水温は低く、天候の問題もあります。嵐が来たら風と波で泳ぐどころではないし、晴れたら晴れたで日焼けに悩まされます。そんな状況で60時間も泳ぎ続けなくてはならないんですよ?いくらずっと水泳をやっていたとしても、相当なフィジカルとメンタルを持ち合わせていなければ、絶対にクリアなんてできませんよ。僕も本当にがんばってがんばって10km行けるかどうかって感じです。それが約180kmですからね。。。考えただけでも寒気がします。。。

<強靭な意志がすべてを動かす>

大変なのはナイアドも同じでした。実際に体力的な問題や悪天候、毒クラゲに刺されるなどして、28歳のときの挑戦も含めて4回も途中でリタイアしています。で、5回目をやろうとするんですけど、まわりのスタッフってみんな無償で手伝ってるんですよね。自分たちの生活を犠牲にして。完全に善意なわけです。それでもまわりを省みずに自分の主張だけを貫き通そうとするナイアドに、コーチのボニーは「これ以上付き合いきれない」とさじを投げます。航海士のバートレットも金銭的に困っていたようで、仕事のために5回目の挑戦では手助けできないことを伝えます。それでも、あきらめずにやり切ろうとするナイアドの姿を目の当たりにして、再びみんな集まってくれるんですよ。それだけ何かに挑戦している人間というのは魅力的なんでしょうね。それだけじゃなく、まだ誰も見たことのない景色を見たいっていう気持ちをみんなも持っていたんじゃないかなと僕は思います。

これまでの4回の失敗を糧に、あらゆる要素がうまくハマって、ラストチャンスとしていた5回目でようやくゴールできたんですが、もうここは泣きどころでした。。。自分がずっとやっているスポーツってこともあって、この熱意と努力とそれによってもたらされる成功に涙が止まりません。最後の彼女のセリフ、どんな物語にも必ず出てくるポピュラーなセリフなんですけど、この偉業を実際に成し遂げた彼女だからこそ、最大級の説得力がありました。

・絶対にあきらめないこと
・夢を追うのに年齢なんて関係ない
・個人競技だと思ってたけど、チーム・スポーツよ

<そんなわけで>

年齢を気にせず、前人未到の領域にチャレンジするというとても勇気をもらえる映画でした。水泳をやっている(やっていた)人はもちろんのこと、そうじゃなくてもナイアドのあの熱意には感動するんじゃないかと。これまで観てきたいわゆる「偉業を成し遂げる系」の映画の中で一番面白かったです。



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