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島を守るための殺人隠蔽と警察による真相究明の攻防は面白かったけど、やっぱり漫画の方が断然いいなと思った『ノイズ』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:13/17
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】

サスペンス

【原作・過去作、元になった出来事】

・漫画
 筒井哲也『ノイズ【noise】』(2018-2020)

【あらすじ】

絶海の孤島に突然現れた不気味な男。名前も知らないその男に家族を狙われた泉圭太(藤原竜也)は、親友の田辺純(松山ケンイチ)、新米警察官の守屋真一郎(神木隆之介)と共に、誤ってその男を殺してしまう。

それは、圭太が生産した"黒イチジク"が人気となり、国からの交付金5億円が内定、過疎に苦しむ島に明るい未来が見え始めたときのことだった――。

島のみんなと大切な家族を守るため、3人は死体を隠蔽することを決意。

「この男が消えたところで、誰も追ってこない」。

そう思っていた矢先、予想外の出来事に発展する。なんと、その男は出所したばかりの凶悪犯(渡辺大知)で、足取りを追う刑事(永瀬正敏)らが島に大挙して押し寄せてきたのだ!24時間体制で執拗な捜査を繰り返す県警。その包囲網が圭太たちを追い詰め、島の日常が崩れていく…。

島中がパニックに陥った先に待ち受ける結末とは?

【感想】

同名タイトルの漫画を映画化した作品ですね。とはいえ、大まかな流れは同じなものの、設定や人間関係がかなり変わっていて、ラストもまったく違うという、かなり映画オリジナルな仕上がりになっていました。

<いつ、どのようにバレるのかの恐怖>

「島の平穏を守る」こと。それが、この映画の一番の大前提です。寂れつつあった島が、黒イチジクのおかげで復興。そんな明るい未来が待っていた島に、突如入ってきた出所後間もない凶悪犯の鈴木。そんな"異物=ノイズ"を駆除しようとして、彼を死なせてしまったところから、島の日常が一変します。

島の未来のために、その件を“なかったこと”にしようと画策する圭太たち。死体の隠蔽から口裏合わせ、刑事たちへの嘘など、当然褒められたものではないですが、島や家族を守ろうと思っての行動には、心情的に理解はできましたね。

そんな中、次から次へとトラブルが起き、悲劇が連なり、共犯者が増えていく過程は面白いです。ちょいちょいボロを出しつつ、刑事の捜査をかいくぐるも、いつ、どのようにしてバレるのかの恐怖が、この映画を楽しむポイントになるんじゃないかなと感じました。

<最後まで目が離せない展開>

この映画の見どころは、圭太たちの一連の隠蔽工作もそうなんですが、“その後”にも注目したいところです。ネタバレになるので言えませんが、原作を読んだ人からしたら、「まさか」の展開は印象に残るかと!

<とはいえ、漫画の方がもっと面白い>

映画は映画でよかったと思います。原作漫画のいいところをうまくまとめていて。ただ、それでも原作漫画を読んでしまうと、やっぱり漫画の方が圧倒的に面白いと感じますね~。なぜなら、漫画の方が、キャラクターにもっと存在感があるからなんですよ。

例えば、凶悪犯の鈴木。漫画の方がより一層ヤバいし怖いし様子がおかしいし、それだけで作品全体の恐怖が増すんです。庄吉じーさん(柄本明)が警察嫌いになるエピソードも説得力がありますし、刑事の畠山も自身の抱える暗い過去によって、もっと魅力ある人物になっています。中でも、ラストに繋がる“ある人物”の扱いが原作と映画とで大きく変わっているのには驚きましたね。

"ノイズ"ってのも、映画では主に鈴木にしか向けられていませんが、漫画では別の視点から圭太たちにも向けられていたし、村の住人からしたら警察が"ノイズ"になるしで、全体的に漫画の方がストーリー的にも深みがあったように感じられました。なので、総じて映画の方があっさりというかマイルドというか、ちょっと薄い印象です。まあ、ここらへんは原作モノあるあるだと思いますけど(笑)

<そんなわけで>

藤原竜也と松山ケンイチが揃うと『デスノート』感強いので、世代な人は一見の価値アリかなとも思いますが、漫画読んでる人からしたら、だいぶマイルドになってしまっているので、物足りなさを感じる人もいるかもしれません。


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