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超サイバー犯罪を超アナログ刑事が追い詰める展開がスリリングだった『シルクロード.com ―史上最大の闇サイト―』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:5/13
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】

サスペンス
ダークウェブ
闇サイト

【原作・過去作、元になった出来事】

・サービス(ウェブサイト)
 シルクロード(2011-2013)

【あらすじ】

「世界を変えたい」。天才的な頭脳に恵まれたロス(ニック・ロビンソン)は、自由な世界を求め、表では絶対に買えない違法物を匿名で売買できる
闇サイトを立ち上げた。〈シルクロード〉と名付けたサイトは、瞬く間に熱狂的なブームを巻き起こし、栄華を極める。

ハデな動きですぐに警察にマークされるが、ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを創り上げていた。そんなロスを追う捜査官の中に、一人のはぐれ者がいた。リック・ボーデン(ジェイソン・クラーク)。かつて問題行動を起こし、麻薬捜査課からサイバー犯罪課へ左遷された男だ。

アナログ全開で足手まといのリックだったが、独自の捜査でロスとの接触に成功する。リックが考えた驚愕の捜査方法とは?そして、2人を待つ運命とは?

【感想】

2011年~2013年の間に実際に存在したウェブサイト「シルクロード」を題材にした映画です。"闇のAmazon"、"ドラッグのeBay"とも呼ばれ、1日の売上は1億円超というインパクト!その誕生と終焉を描いたのが本作です。レビューサイトでの評価は高くないんですが、個人的にはスリリングで楽しめる内容でした。

<サイバー犯 vs アナログ刑事というギャップが面白い>

このシルクロードというサイト、ちょっとしたウェブの知識がないと利用しづらいんですよ。通常の検索には出てこないダークウェブ上に存在し、Tor(トーア)というソフトウェアがないとアクセスできないので。さらに、取引に使える通貨はビットコインのみ。取引から個人の特定を防ぐためにそうなっているんですけど、誰もが簡単に使えるっていうのとは違うんですよね。

そのシルクロードの運営者を追いかける刑事がリックです。彼は昔ながらの刑事で、ウェブの知識なんてほぼゼロ。マウスの使い方をチュートリアル動画で学ぶレベルですから、まわりからも"石器時代の人"ぐらいに思われている、時代錯誤なお荷物ちゃん的な存在です。

そんな彼が、長年培ってきた刑事としての勘や行動力、人脈を駆使して、誰よりも早く犯人にたどり着く展開はスリリングで面白かったです。下剋上っていうわけじゃないですが、「絶対おまえには無理だろ」って思われている人が、全員出し抜くことの爽快感はたまらないですよ。

<リックの圧倒的な刑事力がかっこいい>

現実には、サイバー犯罪課も優秀かつ事件解決に多大な貢献をしていることと思います。でも、この映画はあくまでもリックを主人公にしているので、サイバー犯罪課の人たちは基本嫌なやつらで、画面ばかり見て現場に向かわない人たちとして描かれているのは、だいぶ偏った見方なのかなと(笑)

そんな中、リックはかつて麻薬捜査課にいたときの情報屋を使って手がかりを集め、シルクロードで実際にドラッグを買い、会員登録をして身分を隠した上で、運営者のロスに直接連絡を取るという、圧倒的な行動力を見せつけてきます。日本の刑事ドラマでもよく出てくる「捜査は足でやるもんだろう!」と言わんばかり。もし、事前に上司に相談しようものなら、「リスクが高い」、「そんな昔ながらのやり方で捕まえられるわけがない」と全否定されて、まったく話が前に進まなかったんじゃないかなと想像できます。

結局、彼はひとりで、誰よりも早く犯人のロスにたどり着いてますからね。あれだけの人員を使った捜査チームと比べたら、ほぼひとり+情報屋で同じ成果を挙げているのだから、コスパメッチャよすぎだろって。

ただ、ロスも簡単に人を信じすぎじゃないかなとは思いましたけどね。あと、そもそもリックって過去の問題行動を理由に、麻薬捜査課からサイバー犯罪課へと左遷されてきた設定ですが、そんな立場で独自に捜査できるほどの権限と自由があるのかってのは気になるところですが(笑)

<そんなわけで>

"闇のアマゾン"なんて、『遊戯王』に出てきそうな名称ですが、それを作り上げたロスの天才的な手腕と、彼を追うアナログ刑事の執念がはとても見応えがありました!個人的にはオススメしたい映画です。


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