宇宙飛行士が無理ゲーだというのがよくわかる『ファースト・マン』

2019年公開映画22本中10位。

人類で初めて月面着陸し、その一歩を踏み出した
ニール・アームストロングの自伝的映画である。

予告を見ると重く暗いサスペンス調な雰囲気だけど、
実際は、シリアス寄りのヒューマンドラマだった。

この映画の特徴は何といっても、
宇宙飛行士の過酷さがよくわかる点だろう。

僕が好む映画のジャンルでは、
多くの場合、宇宙に行くことはほぼ当たり前で、
みんな特に苦労もなく、スーッと宇宙へと飛び立っているから、
そこに至るまでの大変さなどはあまり考えたこともなかったけど、
この映画を見ると、宇宙飛行士になるの自分には無理ゲーだというのが、
痛いほどよくわかる。

訓練のときに高速回転されるマシンに乗るシーンがあるのだけど、
自分が想像しているよりも早く、長く、グルングルン回されていて、
見ているだけで吐きそうになった。
もちろん、登場人物全員吐いてた。
吐くシーンは2人だけだったけど、その後の講義のシーンで、
みんな首元が汚れていた(笑)

でも訓練だけじゃなくて、実際も事故で同様のことがあったから、
宇宙飛行士が常に命の危険にさらされていることを改めて思い知るね。
誰も助けてくれない宇宙空間で、訓練の時以上の高速回転が突如発生し、
そんな状況で冷静に対処できたライアン・ゴズリング、
もといニール・アームストロングの状況判断能力はすごいと思う。
自分だったら怖いし気持ち悪いしで、
涙とゲロでまみれていただろうな。。。

個人的には、月面着陸のシーンがとても好きだ。
船の扉を開けた瞬間に音が一切なくなり、静寂に包まれて、
現実の宇宙空間ってあんな感じなんだろうけど、
一切の音がない世界をスクリーンで見て、とても心が落ち着いた。

そのような中で、漆黒の宇宙空間を背景に、
月面のグレーのようなシルバーのような地平線が
果てしなく続いている光景は本当に素敵だと思ったし、
いつか生で見てみたいなとも思った。

でもそんな綺麗な光景を見るに至るまで、
幾人もの宇宙飛行士が犠牲になり、
自分の家族を不安にさせていることを考えたら、
もしかしたら、ニール・アームストロングは、
一概に喜びづらい部分はあったかもしれないけど、
それでもこれは、
「人間にとっては小さな一歩でも、人類にとっては偉大な飛躍である」
ことに間違いはないと思った。

あと、作中にも描写があったし、他の映画でもたびたび見かけるけど、
当時のアメリカとロシアの宇宙開発競争って、
どれほどみんなが関心を持っていたのか、いまいち伝わらないな。。。
そりゃ関係者は躍起になっていたと思うけど、
もはやお偉いさんたちのガキのケンカのように見えなくもない(笑)

何にせよ、宇宙飛行士の苦労や、
月面の美しさがよくわかる映画なので、
これはぜひIMAXで見ていただきたい映画ですね。

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