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インドでは『RRR』超え!敵を殴って蹴って撃って刺しまくる主人公に飲み込まれるけど、すべての蛮行は愛する母親のためだったというところに魂がむせび泣いた『K.G.F: CHAPTER 2』


【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:15/110
  ストーリー:★×20
 キャラクター:★×20
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★×20

【作品情報】

   原題:K.G.F: Chapter 2
  製作年:2022年
  製作国:インド
   配給:ツイン
 上映時間:166分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:映画『K.G.F: CHAPTER 1』(2018)

【あらすじ】

KGFを支配下に置いたロッキー(ヤシュ)は、新たな金鉱を発見し事業を拡大していく。

しかし一方で、死んだと思われていたスーリヤワルダン(ラメーシュ・インディラ)の弟アディーラ(サンジャイ・ダット)が現れ、KGF奪還を目指し勢力を束ねていた。そして、ロッキーの唯一の弱点である恋人リナ(シュリーニディ・シェッティ)をさらい人質とする。

リナ救出に向かったロッキーだったが、アディーラに撃たれ瀕死の重傷を負ってしまう。さらにアディーラは、金輸出を妨害してKGFを孤立させ、ロッキーの同盟者をせん滅していく……。

【感想】

『K.G.F』シリーズ第2作目。この映画、日本では『1』と『2』が同時公開されてるので、一気に観れちゃうのもうれしいところです。

<暴力に愛される男>

圧倒的な暴力でのし上がり、KGFを支配下に置いたロッキー。どんどん事業を拡大していき、金はもちろんのこと軍事力さえも手に入れ、もはやひとつの国を作り上げる勢いです。邪魔するやつはタダじゃおかない。ジョン・ウィックばりに敵を殴って蹴って撃って刺しまくる上に、たった400gの金塊を奪った警察には、ロッキー本人が警察署に赴き、ターミネーターばりに機関銃ですべてを蜂の巣にするぐらいの徹底ぶりです。そのシーンがまた痛快なんですけどね、警察からしたらたまったもんじゃありません(笑)普通だったら即逮捕になるはずなんですが、ロッキーがあまりにも強すぎるせいか、もはや警察ですら手に負えない状況です。

ロッキーも本当に頭おかしいなって思うのが、自分からそこまでするような人なのに、「俺は暴力が嫌いだ。だから避ける。でも暴力が俺を愛してくる」なんて訳の分からないことを言っちゃうんですよ(笑)こう書くともう本当にただのやべぇやつって印象しか持たないだろうし、実際そうなんですけど、でも子供や女性には優しく、根はいい人。だから憎めないどころか、むしろ好きになっちゃうんですよねー。そのダークヒーローみたいな感じが彼の一番の魅力だと思います。

<すべての力の源、それは母親>

今でこそバイオレンスにまみれたロッキーですが、もともとはとても優しい少年だったんですよ。これは前作の回想シーンからも見てとれますが。彼の幼少期はとても貧しく、父親がいなくなってしまったので、母親が女手一つでロッキーを育て上げました。そんな母親に「世界中の金を集めて母さんにあげるよ」なんて言っちゃう健気な姿を目にすると、こんな心優しい少年がどうしてあんなバイオレンスおじさんになるのか不思議で仕方ないですよね。

その理由は、実はこの母親にあるんです。彼女が死ぬ間際に「死ぬときには支配する立場にあれ」って言葉を残したから、ロッキーはそれを忠実に守っているんですよ。こういう物語だと、「人に優しく」とか「何があっても諦めるな」とか、そんなことを言うんじゃないかなって思うんですが、「支配する人間であれ」と。インドは貧富の差が激しく階級社会っていうのも、母親の言葉を後押ししている要因になっていそうですよね。泣かせるじゃないいですか、これまでの凄まじい暴力の数々は、愛する母親との約束だったなんて。。。まあ、ある意味母親との約束が呪いみたいにロッキーを縛っていると言えなくもないですけどね。。。(笑)

とはいえ、彼が犯罪者であることに変わりはありません。政府もロッキーの蛮行を黙って見過ごすわけにはいかず、何とかして逮捕しようとしますが、ロッキーも頭がキレるからあの手この手でそれをかわします。両者のその攻防もこの映画の面白いところですね。終盤の怒涛の展開はとにかくヤバいので注目ですよ。

<邦画ではあまりいなそうな女性像?>

この映画、女性の描き方も特徴的かもしれません。ロッキーの母親は先に書いた通りですが、恋人のリサもいわゆるザ・女の子みたいな感じで、お姫様扱いされることが当然というような素振りを見せます。少なくとも日本人の感覚からしたら、一昔前のような印象を受けました。

唯一、インド共和国首相のラミカ・セン(ラヴィーナー・タンダン)だけが、バリバリ働く現代のキャリアウーマンっていう感じでしたが、そもそも彼女は首相ですからね、バリキャリであって然りみたいなところがあるので、やっぱりロッキーの母親と恋人だけがちょっと特殊なのかもしれません。それぞれの女性について、インドではどう受け取られているのか気になります。

<そんなわけで>

前作に引き続き、すべてが常軌を逸したバイオレンスムービー!ロッキーの知られざる過去にも踏み込み、より一層『K.G.F』の世界観を堪能できる作りになっているのでオススメです!果たして、続編はあるのか、ないのか(あってほしい。。。)。


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