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小説とは何か。

 まず、このことを論ずるにおいて断っておきたいのだが、私はここで小説を定義するというよりかは、小説とはこうであってほしいという[願望]を述べることのみをする。(押し付けがましく感じられるかもしれないが)
 さて。(率直に言うが)私の願望では小説は[人間なるもの]を専ら描写して欲しいのである。だからつまり、物語というものを主体とすることで[その登場人物]を描写することのみを私は嫌っている。そうではなく小説には、[人間一般の性質から考察される人物を模造して、そうしてその上でその人間一般の処世なるもの]をのみ描写して欲しいのである。つまりさらに付加するのなら、その人物の身に起こったことをそのまま描写して読者に同情を促すということはやめてほしいのである。私はそれを[解説する]ことで人間一般におけるその人物を描写して欲しいのである。すなわち私は皆に物語を用いて人間一般を描写するという目的のみによって小説を書いて欲しいのである。しかもさらに、それを例えば倫理観でのみ描写したりといったことはよして欲しい。私はそれをこの場合は物語を通じて倫理を構成してほしいのである。こういうことがあったがこれは不正だ、ということをのみ描写して欲しいのでなく、こういうことと人間の様々との関連性を考察する、ということを私はしてほしいのである。(すなわち押し付けがましく自分の倫理観を言い立てるのは用意されたものにありついただけであるからいわんや倫理観を構成しているとは言えないのである)
 このように私は実のところ物語を伝えて欲しくないのである。私はまさしく筆者には人間を模写することのみをして欲しいのである。以上私の願望でした。(まあだから書きたいものを書くことは否定しない)

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