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「大会場に魔物はいなくなる」

一年ぶりの個人戦 
今年は点数つけてもらうことにした 
あんなにイヤがってたけど 
どうでもよくなっちゃった

前はイヤだった
比較されること
競争すること
緊張すること

今年は全て気にならなくなった
上手く演舞したいけど
上手く見せたいわけじゃない
ただ感動を共有したいだけ

技の美しさ
力強さ
軽やかさ
スピード感

わたしの感動を
わたしの身体で伝える
見てもらえさえすればいい
そこから何か感じてもらえればいい

だけどそんな思いを邪魔する魔物
みんなこれに手こずる
緊張して手がふるえて
固くなって重たくなって

開始早々ちらほら見える
光がいっぱい差し込む
素敵な会場なんだから
いつもの練習場所と変わらなくすればいいだけ

そしたらだんだん馴染んでくる
ここは前から知ってる場所
いつもと何も変わらない
練習場所へと変わってく

そしたらほら審判員も観客も
いつも眺めている木々や鳥じゃない
何も変わらない場所
何も変わらないわたし

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