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あなたの英語が一発で伝わらない理由

自分の話す英語がネイティブに一発で伝わらず、「huh?」とか「excuse me?」と聞き返される時って、地味につらいですよね。
英語を学んでいる人なら、誰でも一度は感じたことがあると思います。

難しい話をしている時に聞き返されるならまだいいけれど、スタバのオーダーで「Latte」が伝わらなかったりすると、けっこう凹みます。チョコレート・モカとか。

で、「あ〜、私の英語、発音悪いんだな」と反省する人が多いと思うのですが、本当にそうでしょうか?
たぶん、発音が悪いからではないと思うんです。


アメリカに住んでいても、聞き返されることは多い


オーダーが一発で伝わらず、2度3度言ってやっと伝わる、みたいな状況って、実はアメリカに住んでいる人の間でも、わりと頻繁に起こります。私もけっこう聞き返されます。「なんで一発でスッと伝わらないんだ〜もう!」と、正直、悲しくなっちゃいますよね。


「普段、英語に慣れ親しんでいて、英語がわりとスラスラ話せるような人であっても、一発で伝わらない時がある。」

そう言われると、英語をがんばって勉強中の方は、ちょっと勇気が出るのかなと思ったりするのですが、いかがでしょうか。一発で伝わらないのは、あなただけじゃないです。わりとみんな、一発で伝わってない。「huh?」とか「excuse me?」って言われまくってます。これ、アメリカ在住日本人あるある、です。


では、なぜ私たちの英語はネイティブに一発で伝わらないのでしょうか?

考えられる理由は、こんな感じかと。

1、声が小さすぎる
2、早口すぎる
3、不明瞭(ごにょごにょしてる)
4、発音が間違っている
5、相手がちゃんと聞いてなかった
6、そもそも相手に聞く気がない
7、相手にバイアスがある

順番に行きますね。

まず、日本人の英語がちゃんと伝わらない場合、ほとんどの理由が1〜3です。大きな声で、ゆっくり、はっきり話せば、かなり改善します。

詳しくは以前こちらに書いていますので、ぜひどうぞ。
「発音がわるくて伝わらない……の問題について、克服の方法など」
https://note.mu/maruchoo/n/n7e9d96692cb9

声が小さくなったり、早口になるのは、自信がなくて緊張しているからなんですよね。気持ちはよーくわかります。腹をくくって、開き直って堂々と話すと、驚くほど伝わるようになります。


次に、4の「発音が間違っている」について。

日本では、発音が良い・悪いと「良し悪し」で表現されることが多いですが、日本でいう「発音が良い」はアメリカ英語の、かなり限られた地方のネイティブ発音しか基準にしていないので、無視してください。
(この件についても、前出のnoteで書いていますhttps://note.mu/maruchoo/n/n7e9d96692cb9

カタカナ発音でも、間違っていなければ、ちゃんと伝わります。

じゃあ、間違っているとは何なのか?
例えばCoffeeは英語ですが、コーヒーは日本語です。ネイティブにコーヒーと言ってもなかなか伝わりません。これが、「発音が間違っている」の例。正しくは「カーフィー」です。カーフィーはカタカナですが、ちゃんと伝わります。(太字の部分を強調する感じで言うと、なお良し)

McDonaldはマクドナルドではなく「マクダーナー」ですし、Chocolateはチョコレートではなく「チョッコレー」です。

つまり、日本語の中に混じっている外来語が、トラップなんですよね。外来語はあくまで日本語なので、英語ではないんです。発音のせいじゃない。そもそも英語じゃないから、伝わらないだけ。


さて、5の「相手がちゃんと聞いてなかった」ですが、
これ、意外と盲点だと思いませんか?

相手がいつでも100%の状態でこちらに耳を傾けているとは限らないわけで。寝不足かもしれないし、疲れてるかもしれない。フッと一瞬別の何かに気を取られたかもしれない。耳が聞こえづらい場合だってある。

なので、「聞き返される=英語力不足」と決めつけないほうがよいと思います。


で、残りの
6、そもそも相手に聞く気がない
7、相手にバイアスがある

ですが。
これがけっこう、ある気がしているんですよね。
わりと最近気づいたのですが。

6の「そもそも聞く気がない」は、もう、こちらには手立てがないです。意地悪な人はどの世界にもいますし。同じスタバでも、日本の店員さんはとっても親切ですが、アメリカだとかなり差があって、元気な人もいれば、やる気がなかったり、あからさまに不機嫌さを出してくるタイプのバイトも多いです。

また、相手がアジア人に対して差別的な感情を持っている場合もあります。英語が堪能でない”外国人”に対して、悪感情を持っていることも多いです。私が住んでいるアメリカでは、「英語は話せて当然、話せない人は人間以下」といった感覚が、わりと普通にあります。内陸部だとその傾向が強まりますが、沿岸部でも人種のダイバーシティがない片田舎の都市、まだ世界の広さを知らない子供にもこの感覚が強いです。子供から差別的な扱いを受けるのは、凹みますよー。けっこうグサッときます。

差別について語り出すと広がりすぎてしまうので、このへんで。悲しいですが、現実に「アジア人だから聞く気がない」という場面はある、ということです。


やっと最後の7、「相手にバイアスがある」ですが、

バイアスとは偏見や先入観のことですが、差別と何が違うの?という点をまずは説明しますね。

「アジア人の話なんか聞きたくない」が差別、
「アジア人だから英語が話せないんだろうな」がバイアスです。

このバイアスは、日本に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。
例えば日本で、見知らぬ白人系の人に話しかける時、まずは「ハロー」と言うことが多いんじゃないでしょうか? Helloは英語圏での挨拶ですが、白人系だからといって英語話者とは限りません。世界にはさまざまな言語があることを私達は知っているし、日本語が堪能な外国人がいることも知っている。それなのに、多くの人がつい咄嗟に「ハロー」と言ってしまう……これが、バイアスです。

バイアスと差別は異なるものですが、バイアスは差別の種にもなりうるものです。詳しくは別の機会に語るとして、ここでは英語の話にフォーカスしますね。

「アジア人だから英語を話せないだろう」というバイアスがあると、こちらが英語を話しても、英語だと認識してもらえないことがあります。相手にスッと入っていかない、というか。

麦茶だと思って飲んだら、めんつゆだった、みたいな。
あの脳が混乱する感じに近いです。わかりますかね?
一瞬、味がわからなくなる、あの感じ。

私もこれまで、聞き返され2度3度言って理解してもらえて、「最初から言ってたよね、ごめん」って言われること、あります。めんつゆは最初からめんつゆであって、麦茶だと思い込んだからこそ脳の混乱が起こる。私も最初から英語を話してる。聞く側のバイアスが壁となって、こちらの言葉が入っていかないことって、あるんですよね。


英語は「一発では伝わらない」のが前提

そんなわけで。
英語が一発で伝わらない理由は、自分で改善できる部分もあるけど、相手由来のことも多いので、気にしないほうがよいと思うんです。

一発で伝わることが前提だと、こちらだけでなく、聞く側としても、つらい。「伝わるまで言えばいい」というくらいの軽い気持ちで構えたほうが、結果リラックスして伝わりやすいと思います。


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