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″全品″のお茶の話

茶師見習いのCHASSY(チャッシー)です。
お茶とサッカーの街、静岡市出身のアラサー男子です。
静岡の製茶会社・丸七製茶の「中の人」歴3年。

駿河湾よりもさらに深い日本茶の世界…僕もまだまだ勉強中の身です。
そんな僕ですが、本日も勉強中のお茶の世界を、皆様に少しだけご紹介させていただきます!


″ゼンピン”との出会い

入社して数か月が経過した頃、デスクワークをしていると、どこからともなく「ゼンピンのお茶はやっぱり品がありますねぇ」と先輩茶師達の声が。

「ゼンピン」という言葉は初めて聞いたのでひとまずGoogle検索で調べてみると、「ゼムクリップの別の呼び名」とか「ドイツにあるリゾート地の名前」などお茶とは全く関係の無いものばかり。早々に諦め先輩茶師に直接質問してみることにしました。

チャッシー 「すみません、ゼンピンって何ですか?」
先輩茶師  「ゼンピンとは年一回開催される全国茶品評会のことだね」

そう、社内で飛び交っていた聞きなれない言葉″ゼンピン”とは「全国茶品評会」のことだったのです。

お茶の甲子園 “全品”

早速ゼンピンについて詳しく調べてみると正式名称は「全国茶品評会出品茶審査会(通称:全品)」といい、年に一度、全国の茶産地から出品された茶の中から審査を行い、その年の優秀な茶を選定する、いわばお茶の甲子園のようなもの であることがわかりました。

全品では全国から集まったお茶は、普通煎茶10㎏、普通煎茶4㎏、深蒸し煎茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、蒸し製玉緑茶、釜炒り茶の計8部門に分けられ、外観 、香気、水色、滋味、カラ色(てん茶のみ)の各項目の点数の合計点を競います。

そして各部門で最高得点を獲得したお茶には一等一席・農林水産大臣賞が授与され、その年の「日本一のお茶」と認められます

“全品”に行ってみたらスゴかった

実は私、宇治茶流通センターで開催された今年の全品へ参加することができました。
(厳密には全品の出品茶を茶業者が入札を行う入札会に参加)

受付を済ませ、いざ入札会場へ入場してみると…

全国17都道府県から出品された約850点の出品茶がズラリ。

私たち入札業者には専用の用紙が配布され、出品茶の入札番号、入札金額などを記入のうえ出品茶毎に設置されている専用の封筒に入れていきます。

そして各出品茶に対して最も高額な札を入れた者が落札者となり、晴れてお目当てのお茶を購入することができるというシステムになっています。

ちなみに今回(第76回)の各部門の一等一席(農林水産大臣賞)の茶の入札価格は、以下の通りでした。

最高落札額はなんと玉露の1キロ100万円!

全品のお茶のススメ

入札会は制限時間が設けれられていたこともあり、約850点あるすべての見本をじっくりと見ることはできませんでしたが、やはりお茶の甲子園とも呼ばれる全品に出品されているお茶はどれもレベルが高く、一等一席(農林水産大臣賞)のお茶と比べても遜色のない出品茶も多数見受けられました。

抹茶の原料となるてん茶部門

また、全品における受賞茶や出品茶(1出品茶につき4㎏程度しか無い)は落札者により仕上げ(乾燥・選別)行程を経たあと、「全国品評会受賞茶」や「全国品評会出品茶」と銘打った希少なお茶として販売されることも多いようですが、いずれも生産農家さんのその年の”勝負茶”であることから品質的にも最高峰のお茶いえると思います。

私も参加させていただいた今回の入札会で落札されたお茶も早ければ9月下旬から市場に出回ることになると思います。
大変貴重なお茶ですので、運よく出会えた方は最高峰の日本茶を是非味わってみてはいかがでしょうか?

今後もお茶にまつわる学びを皆様へお届けしていきたいと思います。

それではまたお会いしましょう。

Chao!