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【読書メーターまとめ】2023年8月に読んだ本

 8月は、コロナ罹患とその後の体調不良であっという間に過ぎてしまった。家に居た時間も長く、今まで読もうと思って手を付けていなかった本を何冊か読むことができたのは唯一の救いであろうか。

2023年8月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1929ページ

https://bookmeter.com/users/1268958/summary/monthly/2023/8


■硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ

読了日:08月02日 著者:酒井 聡平

硫黄島での遺骨収集のルポルタージュに留まらず、著者の半生期と言っていい渾身の内容。新聞記者である著者が取材目的ではなく、遺骨収集のボランティアとして、硫黄島へ渡航し遺骨収集することをライフワークに決め、13年間もがきながら、ついに硫黄島にたどり着くまでの物語を幼少期の描写を含め描き出す。「1万人の遺骨が行方不明」の謎を追う著者は、尾辻議員や遺骨収集が劇的に進んだ菅直人内閣のキーパーソンなどへの取材を敢行する。それが本書の魅力を高める。クライマックスは、天皇陛下への質問。著者のひたむきさが奇跡を起こす。

■この国のかたちを見つめ直す

読了日:08月03日 著者:加藤 陽子

歴史学者の加藤陽子氏が10年以上渡り「毎日新聞」などに寄せたコラム・エッセー集。学術会議除外の当事者とししての考えの強さやコロナ・震災・天皇陛下退位等から日本社会のあり方に対し、歴史学的な知見を基軸にした発言は興味深い。また歴史学者として、公文書保管の重要性につき説得力ある論考をする。このようなウィットに富み、多方面の話題に対して、専門的知見をベースに興味深い意見を言える学者を学術会議から除外したのはなぜか。特命連携会員になることを拒否した著者の姿勢にも感嘆する。第6章の書評も知らない本ばかりで良かった。

■降伏論 「できない自分」を受け入れる

読了日:08月05日 著者:高森 勇旗

とても面白かった。どんなにやってやろうと思っても無意識のうちに行っている何万のも意思決定に中和されて結局元通りになる。ものすごくわかる。そんなできない自分を受け入れて、強制力、構造、他人の力で自分を動かしていくこと。行動こそが根本であるというのも納得だ。知っていることと行動する事は全く違う。見える景色も異なる。行動の根本には、自分自身の在り方が問われている。そしてあとがきでは、好奇心が根本のエネルギーだという。時代はいつでも変化している。不変なものとして自分を前に進める好奇心の力を上げる。さあ行動だ。

■人生を豊かにする あたらしい茶道

読了日:08月11日 著者:松村 宗亮

お茶を習いだして、もうすぐ1年。著者のYoutubeをたまに拝見することもあり手に取ってみる。お茶の歴史から、作法、おすすめの抹茶や自宅での飲み方まで多岐にわたる内容。お茶を始めてよかったなと再認識させられる本である。「人生を豊かにする」とあるが、まったく同感。茶道は、自分の心や季節と向き合うきっかけになる要素がたくさんある。自分がどんなものが好きなのか、どう感じているのかを考えるきっかけになる。感性を豊かにしてくれる。最近、月に2回のお稽古以外、家で抹茶点てることなくなっていたのでたまには点ててみよう。

■禅思想史講義

読了日:08月13日 著者:小川 隆

「禅」の教えとは、どういうものなのか?その思想史をざっくりと述べている。著者は、ざっくりというが、私にとってはなかなか難しかった。とはいえ、達磨が中国に禅を伝えてから、どのように思想の変遷があったのか、なんとなく概要はつかめた。円覚寺の横田南嶺老師が良く引用する、馬祖や碧巌録などもでてきて、どのような系譜で出てきた思想なのかは位置づけることができる。
道元の辺りまでは、おぼろげながら理解できたが、鈴木大拙の辺りになると正直難解で分からない。禅のことを少しずつ勉強しつつ、この本の中でその思想を位置づけよう。

■人生に迷ったら知覧に行け―流されずに生きる勇気と覚悟

読了日:08月18日 著者:永松茂久

この時期にこそ読むべき本。私は知覧に行ったことはない。本書を読みいずれ行ってみたい場所となった。どんな思いで特攻隊員は逝ったのか。特攻隊員の母と言われた鳥濱トメさんの特攻隊員を見守る姿は、涙なくしては読み進められない。とりわけ私の心に残るのは、ホタルになって帰ってくると言った隊員の話。そして、教官として教え子だけを特攻に生かせるのを許せなかった藤井中尉のエピソードである。妻子が自分の思いを成就させるために自害する。ついには二人乗りで特攻する。また慶応大学の学生で自由を最大の価値とする隊員の話も心に響く。

■第二次世界大戦 3 (河出文庫)

読了日:08月19日 著者:ウィンストン・S. チャーチル

3巻を手にしてから読み終わるまでに長い時間が経ってしまった。戦局の硬直ゆえか。いよいよ日米開戦による米国の参戦。枢軸側優位から徐々に連動国優勢に形勢が変わっていく。舞台は、バトルオブブリテンから、独ソ戦や太平洋でのに日米の戦い、アフリカやイタリア、はたまた中東の戦いへ広がっていく。本書を読むまで、チャーチルが戦時中にアメリカ、アフリカ、ヨーロッパとこれほどまでに各地を飛び回っていたことは知らなかった。またソ連との間の亀裂が、戦時中にすでに進んでいる事実も興味深い。チャーチルの粘り強さが光る3巻であった。

最後に:1か月の読書を振り返って

 この時期は、太平洋戦争に関する本を手にする機会が多い。
また以前から読みたかった、「禅思想史講義」も読めた。家族旅行でkindleに入れて読もうと思っていた、「降伏論」。コロナ罹患で旅行は無理だったが、読むことはできた。
 こうやって1か月を読書で振り返るのも面白い。

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