歴史、地形学、民俗学…すべて山歩きから始まった

2015年の夏から始めた山歩きも3年と半年が経ちました。この期間で興味を持ち始めたことが増えてきたなぁと振り返ると、すべて山歩きから始まっていることに気づきました。

もともと無趣味だった僕からすると随分変わったと思う濃い3年間。今後も学びを深めていきたい分野なのでご紹介します。


古事記や戦国・江戸時代の歴史的背景にぞっこん


山歩きを始めて最初に興味をもったのが山の歴史。

もともと歴史好きなこともあり、山を通じた時代背景のうんちく系は頭の中にスッと入ってきました。歴史的背景を知ると、目の前に見えているなんてことのない景色も、この山が歩んできた歴史の上を歩いているという気分になり、まるで別の世界を歩いているような感覚になるのです。

その別世界に連れて行ってくれるのが「古事記」「戦国時代」「江戸時代」といった時代背景にあります。


「古事記」を初めてじっくり読む

山の起源を追っていくとそのほとんどが古事記で語られる神話にたどり着きます。その土地、その山々で語り継がれる民話がありますが、古事記が起源になることが多いです。

これまでの人生で古事記を読むことなんてなかったので、最初は入りやすいだろうと「マンガでわかる古事記」を読みました。

マンガということこあり内容がギュってなっているので、展開が早すぎるのですが絵と解説でわかりやすく構成されているため、古事記にハードルを感じる人にはマンガがおすすめです。

【読んだ本】マンガで読む古事記


古事記を知ることで山の成り立ちがわかり、祀られている神様の関係性や意味もわかるようになってきます。(神様の名前は長くて覚えられないけど)

「アマテラス」「コノハナサクヤヒメ」「スサノオ」などは山の麓にある神社とその頂上にある奥宮に祀られていることが多いので古事記の中での話を知ると親近感沸くのでぜひ読んでみてください。


テンション上がる合戦場や山城を巡る「戦国時代」

戦国時代の話は山歩きをする前から好きでした。とは言っても信長の野望や戦国無双などのゲームから入ってます。ゲームでは面白くするために脚色されているけど、武将や合戦の物語を知るには十分な内容だと思ってます。

日本の領土はほぼ山ということもあり、その地形を活かして山の中に城を建てる「山城」が多くあります。

上杉謙信の「春日山城」、浅井長政の「小谷城」が山城としても有名ですね。「小谷城」は歩いたことがありますが、それもセンゴクという漫画で詳しい背景を知ってから行ったので、浅井長政が最後に自害したとされる、本丸跡地をみただけで胸がこみ上がるほどテンションが上がりました。


天下泰平の世「江戸時代」

江戸時代のころから山に登ることが大衆化され、富士山信仰を中心に登山ブームだったといわれています。

とはいっても今のように誰でも行ける場所ではなく山岳信仰としての修行や女人禁制の山も多かったので、今のように誰でも登れるということではありません。ちなみに富士山も昔は女人禁制だったとか。

各地の山に仙人や天狗伝説などの話が残っているのは修験者(修行する人)がそれに見立てられているのが起源のものもあります。


このように山と歴史背景は掘れば掘るほど面白い物語が出てくるので興味が尽きません。その他にも街道や古道歩きにも興味が出てきていますのでさらなる広がりにワクワクしています。


地質・地形学、日本の成り立ちを探る

山ってどうやってできたんだろう?と子どものような純粋な疑問からこの分野に入りました。

地球ができて46億年、日本列島の今の形ができたのが約1万2000年前といわれています。この想像もできない膨大な時間をかけて山ができたことは今さらながら奇跡といっとも過言ではないでしょう。

山歩きをすると花崗岩や赤土など山の地質を知る機会も多く、それがどのような経緯でできたのか、何年かけて作られたのかを知ることで山歩きにも深みが増します。

地球をはぎ取る展という展示会に行きましたが、山は地震と火山の歴史でもあるこがわかりました。積み重なってできた地層をみていると自分の生き方にもリンクして何故か哲学的にもなってしまいます。

【参考】大地の記憶と自分の記憶を巡る旅。地球を「はぎ取る」展 体験レポート

地質や地形学もこれまで学んできたわけではないので、興味が沸いてもとっかかりにくい分野です。そこでまず読んだ本は「山の自然学」という地形と地質と自然が組合わさった内容の本で、山歩きの目線で書かれているため入りやすかったのでおすすめです。

【読んだ本】山の自然学

山には谷とか沢とか稜線といった用語があり、地図で確認することができます。これから行く山がどんな形をしているのかを知ることも地形学を学ぶことの一つに入りますね。


民俗学、その土地の風習から山をみる

民俗学に興味を持ち始めたのはつい最近のことです。

きっかけは南伊豆トレイルでした。

1泊2日かけてテントを担ぎながら山から村(集落)へを繰り返すコースを歩きました。山頂を目指す登山ではなく、山を歩くことの楽しさを味わえた貴重な経験でした。人口も少ないのどかな集落に到着するたびに「この村にはこれまでどういう歴史があったのだろうか…」と考え始め、やがでそれが全国的な山域とそこに住む人々の暮らしに関心が向いたのです。

そこから辿りついたのが民族学でその面白さに気づきました。

民族学とは何か…wikipedia先生にはこのように記されています。

民俗学(みんぞくがく、英語: folklore studies / folkloristics)は、学問領域のひとつ。高度な文明を有する諸国家において、自国民の日常生活文化の歴史を、民間伝承をおもな資料として再構成しようとする学問で、民族学や文化人類学の近接領域である。
民俗学は、風俗や習慣、伝説、民話、歌謡、生活用具、家屋など古くから民間で伝承されてきた有形、無形の民俗資料をもとに、人間の営みの中で伝承されてきた現象の歴史的変遷を明らかにし、それを通じて現在の生活文化を相対的に説明しようとする学問である。

個人的には概要だけでもそそられる分野です。民族学が面白いところは、今までの風習を知って終わりではなく、「今ままではこうだった」では「これからはこうじゃないか」と今を生きる人のための学問であることが魅力的なんです。

民族学もどこから入ればよいのかわからなかったので、山の暮らしの本を多数出版している宮本常一氏をはじめに下記の民族学者さんを追いかけています。

・宮本常一
・宮田登
・柳田國男

山歩きと民俗学は近しいものだと捉えているのでもっと深入りしたい学問ですね。


おわりに

今回ご紹介した分野は1つだけでも奥が深いので、全部完璧に学ぶことはできないと思っています。僕が関われる範囲しかできませんが、いずれも山歩きを深めるのに面白い知識や智慧になりそうです。

これらの活用方法は下記のようなイメージをしています。

・これから歩く山道がどんな成り立ちで作られたのか知る(地質・地形学)
・今歩いている山道にはどんな物語があったのかを知る(歴史)
・今歩いている山域に住んでいる人々の風習・文化はどんなものだったのかを知る
(民俗学)

そして、山歩きを通じて得た知識や体験をインターネットやテクノロジーを上手く利用して、現代や未来に向けて山歩き紀行として残すことを勝手に僕のミッションとしています。


まだまだこれから!頑張ろう!


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