見出し画像

Pro bono like a Pro

コロナへの対応が世界的にも三歩進んで二歩さがるチータ的な状況で、依然として息が詰まる暮らしが続いています。弊社では元からリモートワークが日常的な仕事の仕方だったので、その違和感は幸い少ないものの、各国にあるオフィスから日々コロナ状況が入ってきていて、今しばらくは耐え忍ぶ時間が続くのかなと感じてます。

そんな中だからこそ、アイデア考え野郎の性分的に、僕らにもこの状況下で何か少し世のためにできることはないだろうか、とモヤモヤ考え始めてしまうわけです。俗に言うPro bonoプロジェクトというやつ。(プロボノ=各分野の専門家が、職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動全般。)国連でもちょっと前にコンテンツ作成のオープンブリーフを公開していましたね。ただ、こういうのって募集があったから応募して、といういわば受動的な参加だと、経験則上なかなか素敵なものが生まれることがなくて、結局は自発的に自らのモチベーションでパッと作らないと世の中が楽しめるようなモノになりにくいんですよね… 

で、弊社Whateverの強みってなんだろうと考えたら、結局僕らができること/得意なことって、エンターテイメントを作って人々を楽しませたり、なにがしか便利なツールを開発してみんながちょっとでも暮らしやすくするようにすることなのだなぁと思い、そういった企画をみんなでブレストしようぜ!と相成りました。

そのとき僕は以下の3ヶ条を勝手に心に決めて、やる・やらないの基準としていました。もしプロボノ・プロジェクトをやろうとしている方々がいたら参考にしていただければと思い、公開しておこうと思いたちました。(結構当たり前の内容ですが)プロボノは、日常の業務の横でお金にならないことをモチベーションを燃焼しながら実現することだったりするので、気をつけて取り組まないと、ただ身を燃やし血を流すだけになってしまう危険性があるのです。

プロボノ3ヶ条:

1. ともかく自分たち(や周囲)が安全・健康であることが第一。その範囲内でできることだけやる。
そもそもコロナの広がりを防いだり、みんなが早く健やかに暮らせるために何かするのだから、自分たちが万が一感染したり健康を損ねてしまったら本末転倒になってしまう。例えば、めちゃくちゃ良いフィルムのアイデアがあっても、撮影に三密が避けられないようならばアウト。

2. 実現のための工数が低いか、多少高くてもそれに見合った高い効果が期待できる企画を選ぶ。
日常の仕事もある中、無償で取り組むプロジェクトなので、ここで無理に血を流したり睡眠時間を削るべきではない。余裕ある中で作れて、かつ社会的に効果的(楽しんでくれたり、便利だったり)な企画をちゃんと選ぶべき。例えば、複雑なバックエンド構築しないといけないようなアイデアはまずアウト。

3. できる限り自分たちだけで実現できること。
自分たちがこれをせねば!という熱い想いで始めるプロジェクトなので、なるべくその熱い想いを共有できる身内だけで実現させるのが筋かなと。社内だとしても、自主的に手を上げて「やりたい!」と言ってくれた人でチームを組むようにしています。逆に、どうしても周囲を巻き込むなら、きちんとそこには対価を支払うことが大切。プロボノだからといって無償でお願いは絶対してはいけない。「無償でもやるよ!」と言ってもらえたらもちろん嬉しいけれど、プロボノを理由に最初から「無償でお願いしますよ〜」というのはカッコ悪いし、それはヤリガイ搾取と呼ばれるジャンルのプロジェクトになってしまうので辞めましょう。

で、そんなフィルターを通しつつブレストした結果、2時間のブレストで、アイデアが2案残りました。こういうのは絵に書いた餅ではなく実現することが大事なので、ミーティングで生まれたZoomojiとWHF Jammiesというアイデアをとりあえず実現してみました!

Zoomoji

画像1

これはもう見たまんまですね。今ではかなり増えてしまいましたが、Zoomなどビデオ会議中に背景として使えるvirtual background集です。普通は部屋を模倣していたり、空間を再現しようとするのですが、僕らは逆にそこにオノマトペや絵文字をデザインすることで、会話しながら切り替えて、より感情表現豊かに会話できるようになったら楽しいよね!と考えて作りました。こちらのリンクから無償でダウンロードできるので、良かったら使ってみてください🙏(この企画は、暇ができるたびにデザイナーたち自主的に新たなデザインを加えて更新していってくれてます。)

WFH Jammies

画像2

画像3

こちらは、だらだらパジャマでリモートワークしていると、ビデオ会議の時だけ着替えなくちゃいけなくて面倒だから、ビデオに写る部分だけかっちりとしたシャツになってるパジャマが欲しい!というシンプルな発想で生まれたプロジェクトです。

アイデアとしてはシンプルなものなので、上記3ヶ条の2からすると、一着作ってビデオで終わらすことも可能だったのですが、それだとソーシャルメディア用の一発ネタ(僕らはこれをsnackable content=おやつコンテンツと読んでいるのですが、その話はまた別で)になってしまうので、実際に人々が手に取って着用・活用できる形にならないとアイデアがキチンと完成しないと考え、みんなが購入できる形で商品化しました。

Kickstarterを使ったクラウドファンディングをしているのですが、皆様のおかげで初日でゴールを達成できたので、今はほぼ先行販売という形で購入することができます。良かったら購入&シェアをよろしくお願いします🙇‍♂️

#CombatCovid

画像5

また、こういうプロボノ活動をやっていたら、NYのクライアントの一つであるPoster Houseというポスター専門のミュージアムから、#CombatCovidというキャンペーンで、コロナ下で苦しむNYを応援するポスターを作る依頼をもらって、2つほどPSA(Public Service Announcement)ポスターを作りました。これらはTimes SquareやNY中のデジタルサイネージで掲出が始まっています。ポスターなので、ただメッセージを伝えることしかできないけれど、されどメッセージを伝えることにも意味があるのではないかと思って、チームを駆り立てて上記3ヶ条を守りつつ、数日で完成させました。こちらは受注案件ですが、無償のプロボノプロジェクトでした。

画像5

あとは、まだ発表できないのですが、アメリカ、ヨーロッパ、アジアのための短いコロナ対策テレビコンテンツを(ほぼプロボノ)で制作中です。

プロフェッショナルなプロボノとは

だがしかし、これらの活動の裏で、結構プロボノ案件をお断りもしています。ヤリガイ搾取とまではいかないですが、悪く言うと、この時期を活かしてセルフ・プロモーションをしようとしているのが臭いすぎるプロジェクトは基本お断りしています。みんなが喜ぶモノを作っているのならば、別にセルフ・プロモーションでも大いに結構なのですが、だとしたらそれは自分だけで作れるようなものにするべきなのでは?というのが僕の個人的なスタンスです。そうでないならば、逆に拒否できないくらい面白くて、クリエイティブヨダレが止まらなくなるような素晴らしいアイデアじゃないとダメだよね、と思うのです。それがプロボノ案件への、プロフェッショナルな対応なのかな、と。

そんな話をしたところで、「ボノのプロボノ」という親父ギャグのようなリンクを残して終わろうと思います😂
#SING4LIFE - Featuring Bono, will.i.am, Jennifer Hudson and Yoshiki


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?