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空転し続ける会議の責任は、ディスカッションマテリアルを準備しないファシリテーターにある(1/2)

【ポイント】

  • 参加者の間で全体像が共有できていない会議は空転する。

  • テーマの全体像を押さえてたたき台を準備し、これを起点に議論を開始すれば、意見や立場の違いすら価値につながる。このたたき台がディスカッションマテリアルである。

  • 前回の議論の結果を放置しない。前回の議論の内容を誰もが理解しやすい(=構造化された)形で共有できれば、議論の成果を積み上げて大きな成果につなぐことができる。これもディスカッションマテリアルが担う役割である。


ビジネスの現場では、ときに結論の出ない議論が延々と繰り返される場面に出くわします。
こうした議論の特徴は、毎回、少しずつ違う着眼点から意見が出され、これまでの議論がなかったかのように話が堂々巡りする点にあります。

その原因は、以下の3つです。

  • 参加者の間で全体像を共有できていない

  • 前回の議論の結果が、誰もが理解しやすい(=構造化された)形で共有できていない

  • 今回の議論を進める上で効果的な枠組みが準備されていない


全体像を共有することの重要性については以前に言及しました。


今回はそれ以外の2つについて話をしましょう。

そもそも会議では、様々な着眼点からそれぞれの意見が出されます。
そして、さも分かったような顔で聞いている参加者がきちんと内容を理解しているかと言えば、実はそうでもありません。その結果、多くの人はそこでの議論をきちんと整理して記憶できていません。

次回の会議に出席したときには、いくつかの重要なキーワードを除いて、大半の内容を忘れてしまっています。
こうして、話は堂々巡りするのです。


では、どうすればよいのでしょうか。

こうした事態を避けるために重要な役割を果たすのが、ディスカッションマテリアルです。
ディスカッションマテリアルとは文字通り議論を活性化させるための資料のことです。

私の場合は、前回の議論を整理(構造化)し、テーマの全体像と関連付け、ストーリー性を背景にまとめ上げることで作成していきます。

作成の過程で、私の頭の中には議論の内容や立場の違いからくる論争の様子がくっきりと思い出され、それが記憶として定着していきます。
「浦さんの前では迂闊なことは言えない」と恐れられるのは、このようにして、誰がどんな発言をしたかを私が鮮明に記憶しているからです。

次回の会議の冒頭に、私はこのディスカッションマテリアルを使って前回の議論の内容を参加者たちと振り返ります。参加者たちは前回の論争のときに味わった優越感や葛藤までも思い出すので、議論を始める前から自ずと臨場感は高まります。逆に冷静に振り返ることで、時には、新たな気付きや納得感を得る参加者もいます。

このような状況から会議をスタートするわけですから、議論の堂々巡りなど、起こるはずがありません。


さらに私たちは、ディスカッションマテリアルに考え方の枠組みを組み込み、参加者たちに新たな観点を提案することもできます。前回の議論を引き継ぐだけではなく、議論を活性化させる役割をディスカッションマテリアルに負わせるわけです。

このように、ディスカッションマテリアルは「共通認識」と「考え方の枠組み」という2つの要素で構成され、この両者は何らかのつながりをもっています。

ときには参加者への「問いかけ」が含まれることもあります。それだけに、議論を前に進める力をもつディスカッションマテリアルは、構造化する力(≒概念化力)のある人しか作成できません。

実は、ディスカッションマテリアルを作成するのはファシリテーターの仕事です。

「えっ、ファシリテーターって手を動かさないといけないの?」
そう声を上げた方もいらっしゃるでしょう。

そうなのです、私は、単に会議を盛り上げるだけがファシリテーターの仕事でなく、会議を目指すゴールに導くことこそ、彼らが腕を振るう最大の見せ場だと考えているのです。

次回は、ファシリテーターについて掘り下げましょう。


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