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南インドのコーヒーにまつわるストーリー

こんにちは。

南インド料理研究家の真更薫と申します。


皆さんは南インドの飲み物と聞いて、一番にイメージするものは何でしょうか。

おそらくチャイだと思います。

僕もそうでした。
南インドのコーヒーについて知るまでは。

~~南インドのコーヒーにまつわるストーリーを、専門家の方にお聞きしてきました。~~

お話を聞かせてくださったのは、
南インドコーヒーを専門に取り扱っている7Beans Coffeeさん。
なんと、ご結婚されたお相手のご実家が、南インドコーヒー農園だそう。
これは色々詳しいお話が聞けそうです。

南インドコーヒー発祥の地

デカン高原

ため息がでるほど美しい。
これは、南インドはカルナータカ州にある、
長く大きな山、西ガート山脈にくっ付いている「デカン高原」です。

この中にある村「チクマガロール」が、
17世紀から続く南インドコーヒーの発祥の地です。
(ちなみにチャイの原料である「紅茶」は19世紀ごろインドでの栽培が始まったので、紅茶よりもコーヒーのほうが歴史があります)

そしてこの村の方々は現在も、村全員でコーヒー栽培をしています。
(7Beans Coffee さんで取り扱うコーヒーもチクマガロール産)


南インドコーヒーの栽培


コーヒー農園


僕:これはジャングルですか?

7Beans Coffeeさん:いえ、コーヒー農園です。


そう、これが南インドのコーヒー農園なのです。
まるでジャングル。

インドでは、
「アラビカ種」「ロブスタ種」という2種のコーヒーを栽培しています。

もちろんチクマガロールでもこの2種を栽培。
ですが、これらの品種は標高や気候で住み分けがあるものの
大量生産のような区画整理はされておらず、
この農園にて育っているわけなのです。
僕にとってこのコーヒーの木たちは、
もはや自生していると感じるレベルでした。


そしてコーヒーの木の周りには、
ペッパーなどスパイス系植物がなっています。
それらの葉が落ちて腐葉土となり、コーヒーの木の栄養となるのです。
(そのため南インドのコーヒーはスパイスの香りがするといわれているのかもしれません)


村の方々はこのジャングルのような農園にて日々を過ごします。
コーヒー以外にも豊かな果物も育つそう。
そのためおやつは現地調達できるそうです。
(焙煎場にて「20m近くありそうな木に1人で登る男性が、おやつのために果物を収穫している姿」が映された写真を見ました)


一見、豊かで悠々自適な生活がうらやましい。
と考えた僕でしたが、まだ知るべきことがありました。
彼にとってコーヒーを育てること
それは、簡単なことではなかったようです。


なぜならこの農園は

①とてつもなく広い
農園は東京ドーム数十個分の広さがあるそうです。
例えるなら、、
東京ディズニーランドの大きさが東京ドーム11個分くらいなので、
東京ディズニーランド数個分とも言えます。

広いですね。。

チクマガロールの方々は、
こんなにも広い農園にて、
日々コーヒーの栽培をしているわけなのです。

②危険も隣り合わせ
豊かな自然にあふれたところなので、時に野生の動物と遭遇するそうです。
トラ、ゾウ、コウモリ、コブラ、水牛など。
野生の動物です。出会ってしまったら甘い想像は許されません。


ですが村の方々は代々、長い歴史と共にこの農園と共に暮らし、
そのおかげで今目の前にコーヒーがある。
このストーリーに僕は、
感謝と尊敬の気持ちを持たずにはいられませんでした。


7Beans Coffeeさんの愛のこもった手作業


焙煎


焙煎を拝見させていただきました。

焙煎の手順はこう

①洗う

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豆を50度のお湯で洗います。

豆についている汚れやチャフ(薄皮)を取り除きます。

そして焙煎機へ。

②焙煎

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とても繊細な作業なのでしょう。
焙煎中はほとんどお話せずに、焙煎に集中されていました。

今回は豆の特徴がわかりやすいとのことで「中深煎り」に。

③冷ます
焙煎後、専用の機械を使用してコーヒー豆を冷まします。
余熱でコーヒーが煎られてしまうのを防ぐためだそう。

④豆の仕上がりチェック

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最後に手作業で丁寧に、豆のチェックをします。
焙煎時に皮がはがれてしまった豆を除きます。

そして完成。


コーヒー豆を洗う際には、
50度という熱さのお湯で作業をするため、
7Beans Coffeeさんの手が真っ赤になっていました。
それでもコーヒーを見つめる真剣で暖かい眼差し。
そしてひとつひとつの作業がとても丁寧かつ繊細で、
7beans coffeeさんが愛を持ってコーヒー豆に接していることが、
見るだけで伝わってくるのでした。


南インドコーヒーの種類や特徴

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コーヒーを飲ませていただきました。

☆「アラビカ種」
特徴:標高が高く霧が発生する場所で育つ。
   繊細でデリケートな品種なため、気力がいる。

香り:上品で洗練された香り。

味:甘くて優しい、酸味のあるテイスト。

繊細で上品。苦味はほとんど感じず、
上流階級のコーヒータイムで飲まれそうな感じがしました。


☆「ロブスタ種」
特徴:雨が多く降るところで育つ。
   アラビカ種に比べて、たくましく丈夫な品種。
   そのかわり実が枝にしっかりついていて、収穫に体力が要る。

香り:土のような、温かく深みのある香り
味:太くてワイルドなテイスト。

ああ、今僕の心はデカン高原に。
やさしくワイルドで豊かな土壌に抱かれているような気分でした。


南インドで生まれたコーヒー豆のストーリーを聞き、
7beans coffeeさんの愛のこもった焙煎を目の当たりにし、
こんなにもありがたいコーヒーがあったのか。
という気持ちを胸に、味わわせていただきました。

その他7ビーンズコーヒーさんにお伺いしたこと


Q一般的な南インドコーヒーの淹れ方を教えてください
A一般的に南インドでは、専用の抽出器具で淹れます。
 現地ではこれで淹れたものにミルクと砂糖を入れて飲みます。
 ですが今はサードウェーブコーヒーの流れもあり、
 ブラックで丁寧に淹れて飲まれる方もいらっしゃいます。

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これが抽出する器具です。
挽いたコーヒーを容器に入れます。
そこにお湯を注ぎ、落とし蓋をして待つと、
濃いめのコーヒー抽出液ができます。
その抽出液にミルクや砂糖を入れると南インドコーヒーの完成。
ですがお湯のみを足してアメリカンのように飲むのも、非常においしいです。


Q実際にチクマガロールに出向かれた際、驚かれたことはありますか?
Aチクマガロールでは生後1~2歳くらいの赤ちゃんも、
 哺乳瓶にコーヒーとミルクを入れて飲まれていました。

これは、生産地ならではの話!
インドという国は、一言でまとめることはできないですが、
これもまた、一つのインドだと感じました。

まとめ

ため息が出るほど美しい土地に生まれた豆。
その豆は、そこに生きる人々のストーリーを
香りやテイストとして携えて日本にやってきたのでした。

そして深い愛情をもって豆に接する方の手で焙煎され
いま、これが僕の目の前にあること。


とても深い生命力と、慈愛にあふれたコーヒー豆。


こちらもその物語を想いながら飲むことで、
さらに味わいが深くなると感じるのでした。

7Beans Coffeeさんについて


今回、僕の
「南インドコーヒーについて、ぜひ教えてください!聞かせてください!」
という強い要望とわがままを、
いやな顔せず快諾してくださりお話をお伺いさせていただきました
7Beans Coffeeさん、
心から感謝しております。ありがとうございました。


7beans coffee さんについて、詳しくは以下をご覧くださいませ。

インスタグラムは こちら 

公式サイトは こちら

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