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たしなみ【エッセイ】六〇〇字

早稲田EC「エッセイ教室」秋講座(全八課題)。最初の課題は、「たしなみ」(六〇〇字)。「たしなみ」の意味は、「このみ。また、趣味や余技」「芸事などに関する心得。このみ」「つつしみ。節度」「ふだんの心がけ。用意」などなどがある。二本書きました。そのうち今回は、「こころがけ」になるでしょうか。あとの一本は、「つつしみ」でしょうか。どちらを提出するか・・・。悩む。
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 わが家にテレビが入った一九六〇年、小四の頃。『奥さまは魔女』や『パパは何でも知っている』など、アメリカのドラマをよく観ていた。
 一ドル三六〇円。海外旅行は、高根の花。クイズ番組の賞品に、夢のハワイ旅行なんてあった時代。画面の中の海外に、憧れていた。
 そんな時代でも、団体ツアーで出かける日本人もおり、マナーの悪さや、姿・格好を、よく揶揄されもした。コロナ禍前、中国人の爆買いをする姿を皮肉るひともいたが、ちょっと昔は、日本人も同じあり様だったのだ。
 黒縁のメガネに七三分け。首からカメラを提げ、「出っ歯」。服は、灰色や茶色というのが日本人のツアー客として、風刺画に描かれた。子ども心に、格好悪いな、と思っていた。
 かたや、画面の中の洒落たファッション。赤いブレザーなんか着こなしている高齢者を観ながら、母にこう言っていたようだ。
「ボクが大きくなって、このお爺ちゃんくらいになったら、赤い服を着ようかな」と。
 まさにそんな歳になった。還暦の時、「ちゃんちゃんこ」を着せられそうになったけども、丁重にお断りした。ダサイと思われたくないという可愛くない抵抗で。三年前の古稀祝いの時も、貫いた。若ぶるつもりはない。が、「年寄りぶる」気も、ない。ただ、「赤いブレザー」をビシっと着こなせるようなジジイになりたいと、思っているだけである。

(おまけ)

昨日も、ジャニーズ事務所の会見があった。
にわかに、さまざまな論考が「雪崩」、「後出しジャンケン」のごとく、掲載されているが、東工大の中島岳志の分析が光る。近年強まっている「全体主義」の「空気」。これを一番に問題にすべきと述べる。
小さくて読めないと思うので、後日、私の考えとともに紹介したい。

東京新聞夕刊(2023年9月26日)

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