「民間企業と福祉」

(本文中の内容は私個人の見解であり、所属する組織の見解とは一切関係ございません)

こんにちは。
NPOで日々、アウトリーチや子どもの居場所づくりに関わっていると、普段の会社員としての仕事中に企業のこういったノウハウを福祉で生かせないかと思うことが多々あります。

そういった会社員から思う福祉に役立てそうな知見もここで投稿していきたいと思います。

本日は企業のマーケティングやチャネル開発が福祉のアウトリーチにいかせないかというお話をしたいと思います。

まず、アウトリーチとは様々な定義があるかと思いますが概ね、「福祉事業従事者などが、福祉サービスの利用者又は利用者になりそうな人のいる場所まで赴いて対象者の発見、サポートを提供などすること」だと認識しております。

日々、福祉界隈の方々が様々な方法で利用者にアプローチしているのは存じておりますが、顧客との接点を持つことやチャネル戦略(開発)について民間企業の手法は参考にすることもできるのではないでしょうか。

こちらのサイト(https://cyber-synapse.com/dictionary/ja-ta/channel-strategy.html
)のマーケティング用語集によると、チャネル戦略はマーケティングの4P理論(Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進))というフレームワークのPlace(流通)にあたります。商品・サービスを流通させるために予想される顧客を掘り起こし、これと接触していく役割を果たします。
チャネル戦略はまさに”アウトリーチ”ということが言えます。

金融業界を例にあげますと日本の世帯加入率が9割近い生命保険業界が参考になるかと思います。(平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」生命保険文化センター)

生命保険会社では下記の4つのチャネルを持っていることがスタンダードかと思います。

① 直接販売(地域)
こちらは営業職員一人一人へ「〇〇市〇〇区〇〇1丁目から3丁目まではあなたの担当です」と地域を割り当ててその地域でのビラのポスティングや顧客対応を行うチャネルです。人の生活の場に即したチャネルになります。

② 直接販売(職域)
職域は企業や団体のオフィス、事業所などの廊下や社員食堂前でビラの配布やアンケート回収などを行うチャネルです。働く場所で昼休みや仕事の合間の時間に保険の手続きができるメリットがあります。

③ 間接販売(窓口販売・代理店)
従来は銀行窓口で銀行に保険を代理で売ってもらうことが主流でしたが、最近は駅前などでよく見かける保険ショップなどの代理店が増えてきています。
また、例えば家具メーカーや携帯ショップなどと提携して店舗に窓口をおいてもらう例もあります。前者は家具を買うタイミング(新婚生活が始まる、家族が増えたなど)は保険のニーズも生じやすいタイミングでもあり、後者は若者と接点をつかめるという利点があります。
このように様々な窓口や企業に代理店になってもらうことは自社では接点がつかみにくいが、ターゲットとなる人たちが集まっている場所をチャネルに変えることができます。

④ オンライン(インターネット)
インターネットを通じて年齢、病歴など必要事項を打ち込み加入してもらうチャネルです。顧客が自由に加入でき、web広告など通じて認知できるチャネルです。
   

上記のような「住む場所」、「働く場所」、「趣味・日常生活で立ち寄りそうな場所」、「インターネット」でチャネルを構えておけばほとんど網羅できるのではないでしょうか。

福祉でサポートできる方の多様化は私が言うまでもなく進んでいます。
基本的に既存の福祉サービスや、次の大きな政策の地域共生社会(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184346.html)などは地域で暮らしている人を前提にしているかと思います。
しかし、地域で暮らしていてかつ見えやすい人(例えば公共スペースへよく来る高齢者、子育て世帯)だけでなく、地域に根差していない人(例えば家出の青少年、ホームレス)地域から見えにくい人(例えば引きこもり、独居老人、過剰労働者(ほぼ職場にいる))もいるかと思います。

こういった様々なサポートできそうな人を見つけるアウトリーチの手段として民間企業のノウハウを取り入れるもしくは、多様なチャネルを持っている企業と提携することがよりよい“福祉”につながるのではと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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