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定本ハピネス・トラップーマインドフルに生きたい人のための心理療法ACT入門ー

幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない?

 この本は、『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』の改訂版だ。ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー:アクト)という心理療法/考え方について、一般向けに書かれている。「幸せの罠」とはどういうものなのか、わかりやすく教えてくれる。
 こんなふうに受け入れて(アクセプタンス)、自分にとって価値のあるものに関わる(コミットメント)ことについて、やわらかく書いてくれてて面白い(引用した部分は少し堅苦しいけれど…)!

人間にとって自然なのは、自分が今いる場所、していること、起こっている出来事に従って、一日の間に苦痛と喜びの間を行ったり来たりする感情を、ただ経験し続けていくことなのだ。

p18

 不快な感情を受け入れる気がないと、よりよい人生を作り出すのは不可能

p19

フュージョンと「体験の回避」

 でも、わたしたちはときどき、思考や感情に支配に意識を集中して、他のことが目に入らなくなる。そうして支配されてしまうことを、フュージョンという(p27)。
 そして、そんな状態を避けようとしたり追い出したりしようとする(アルコール、ジャンクフード…その他いろんなもので)。これが、すべきことの先延ばしなどにつながる。こういう抵抗を、体験の回避という(p28)。
 でも、これらの方法は…

不健康な習慣、問題のある人間関係、能力低下、病的な完全主義、行き過ぎた他者への気遣い、行動の先送り、その他あらゆる生命力を損なう破滅的行動の原因にもなっている。

pp28-29

自分がやりたいことってなんだろう

 そんなフュージョンと体験の回避じゃない方向に向かうには、どうすればいいのか。ここで「価値」というものを提案してくれる。

価値とは、自分自身や他者、そして世界への接し方についての、心のもっと深い部分にある願望だ。あなたが行動や言葉を通して表現したいと思っている自分の個性だ。

p159

価値とは目標とはまったく別物だ。目標は未来に定めるものであり、あなたが得たい、所有したい、やりたい、なしとげたい物事だ。

同上

 目標ではなく価値をもつと、「私たちのあらゆる行動はより多くの意味を持ち、より満足のいくものになる」(p290)。今の私がどんな感じでいられるか、ということに心を配ることが大事。そんなヒントがいろいろ記されてる。

私、もうがんばらないです

 そんな、価値に基づいて過ごすことが、この心理療法でいうコミットメントだ。でも…

コミットメントとは、完全を目指すことではない。常に目標を追求し、決してあきらめたり迷ったりしないことでもない。それは、私たちが避けようもなく転んだり、道から外れた時にすぐに起き上がり、自分の位置を確認し、行きたい方向に突き進むことである。

p 363

 将来じゃなくて、今の自分がどんな感じでいたいか。ぶれながら、不安定に、辻褄が合わなくなったりしながら、価値を大事にすごす。好きな人、好きなもの、好きな私のため。
 そんな、弱くて素敵な姿を教えてくれる一冊。

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