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ピッチ外でも急成長の予感?FC東京の好調を支えるマーケティングの2つの「点」とは

Jリーグも今年も残すところ、あと2戦。優勝の可能性を残すチームは絞られてきたものの、まだ3チーム残っています。

その一つであるFC東京はJ1初制覇が懸かっていますが、ビジネスの面でもXFLAGとパートナー契約を締結するなど、今後の急成長する可能性を秘めています。

今季で言えば、ホームゲームの平均入場者数は2018年と比べて、約4500人増と大きく伸びており、売上高も微増しています。

この背景には日本代表入りも果たした久保建英選手やチームそもそもの強さなどが影響していると考えられます。

しかし、マーケティング的な目線から言えば、2つの「点」が効果的に作用していると言えます。今回は2つの「点」について触れていきます。


マーケティングで最も重要なことに立ち返る

一つは「原点」

様々な技術が発達し、多くのデータが取得できるようになりました。その流れを受けて、目先の色良い効果や派手な施策に目が行きがちです。FC東京でも、2018年からマーケティングの原点に立ち返った動きをしていると感じます。

この記事の中にもあるように、マーケティングを単年で行うものとして捉えず、継続的な活動と位置付けています。

そこで注目されたのが、マーケティングで最も大事である「顧客理解」。

つまり、「来場してくれるサポーターがどんな人か」を理解することに時間かけたのです。

「ファンやサポーターにそういう“幅”があるとして、でも、両端にいる人がそれぞれ[A]と[B]のようにまったく違うサービスを求めているかというと決してそうじゃない。むしろ、[A1]なのか、[A5]なのか、[A10]なのか、そういう違いですよね。そう考えると、大切なのはクラブにとって根幹となる提供価値としての[A]が何なのかをしっかりと見極めることでしかない」(記事を一部抜粋)

2018年に時間をかけてデータやサポーターと向き合い、顧客理解を進めた結果、今季のホームゲームの平均来場者数の大幅な増加につながったのではないでしょうか。


きっかけをそれぞれ大切に

もう一つは「接点」

同じ記事の中で以下のようなことが述べられています。

「例えば、1日に100万人が気軽に利用するWEBサービスなら、その100万人はシンプルに言えば"似た人"であると言える気がします。でも、サッカーはそうじゃない。チームをサポートすることに人生を懸けている人もいれば、たまたま通りがかっただけの人もいますよね。特に、東京のマーケットはその“幅”の広さを特徴としている。FC東京にとってお客様になり得る人を種類で分けたら、ものすごい数になるかもしれません。それだけの温度差があるお客様に対して、サービスの発信者としてどこに目線を合わせるのか。それはすごく難しい」

既にファンになっている人のほかにもファンの手前である人など、FC東京に触れる機会は状況も環境も様々です。それこそ、どこで何を気に入ってファンになってくれるのかをコントロールすることはできません。

ただ、コンテンツをユーザーとの「接点」に合わせた形で露出させることは可能です。

例えば、YouTubeに動画や音声ではなく、画像1枚をただ流すことはよほど特別な何かが無い限りはしません。元々のコンテンツをユーザーとの接点であるYouTubeに適した動画や音声にして配信を行います。

図解


FC東京では、ファンが欲しているという観点から、この接点をビールという形に合わせています。好きになるきっかけをビールにも持たせているのです。

湘南ベルマーレが先駆けでやっていた試みですが、

FC東京で行われた際には日本人の国別一人あたりビール消費量の約40L(2017年)の18.5倍に相当する740Lが消費されています。

サッカーの試合以外にも楽しんでもらえる、好きになってもらえる要素を散りばめることで、多くの接点を生み出しています。

その接点を良好にすることで、良好なブランド体験の提供が可能になるので多くの人を惹きつけることにつながったのではないでしょうか。


次なる施策を行うなら・・・

自分がマーケティング担当者であるなら、以下のような施策を取ります。

・エンターテイメント性の強化

FC東京はXFLAGとパートナーシップを結んでいることが何よりの強みです。ゲーム事業やアニメ事業など、多くのエンタメ事業を手掛けています。スポーツにもエンターテイメント性が求められる中で、FC東京にしかできない演出があれば、多くの人の目を引くことができるのではないでしょうか。


「原点」「接点」いずれもサポーターを一番に考えているマーケティングだからこそ、見えるポイントです。来季にはより精度も高まり、様々な施策が生まれくると思います。

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