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書籍

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興味深かった書籍について書いたものをまとめています。
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2021年のポップ・カルチャーを振りかえる



 おそらく、他の方々と比べてかなり遅いタイミングでのベスト記事発表でしょう。いつもは年末に発表していたんですが、例年よりも仕事とプライベートの忙しさが凄まじく、書く時間をなかなか取れなかったのが遅くなった主な理由です。とはいえ、年度で見ればぎりぎりOKかな?と思うので、どうかご容赦を。

 アルバム、トラック、映画、ドラマ、本のベストを選んだのは従来通りです。ただ、前回は選ぶ作品数を増やしたの

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2021年ベスト・ブック20

 ベストに選んだ作品を見てもらえばわかるように、2021年は韓国の本を多く読みました。韓国語は読むのも喋るのもまだまだ拙いですが、そうしたレヴェルの読解力でも心に突き刺さった本を選んでおります。
 ちなみに韓国は絵本や漫画の質も非常に高いです。構成が映画的な作品も多く、さまざまな表現の要素を取りいれたハイブリッドな手法が一般的になっているんだなと感じました。

20 Paris Lees『What

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2020年ベスト・ブック50

 ベスト・ブックでは、小説、研究書、漫画といったさまざまな日本の書物に加え、洋書も選考対象にしております。作品の質はもちろん、何かしらの同時代性を見いだせることも評価基準としました。時代にとらわれないおもしろさがありつつ、私たちの手からこぼれ落ちてしまいがちな小さい、だけど大切な機微や現代に対する批評眼が感じられる本を中心に選んでいます。

 去年まではベスト10だったんですが、今年からはベスト5

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2016年ベスト・ブック20

僕は音楽を中心にいろいろ書かせてもらってるのですが、3〜4年くらい前に、音楽に詳しいだけじゃ音楽を深く理解することはできないと気づきました。それ以来、音楽に関する書物はもちろんのこと、音楽とはあまり関係ないように思える本もたくさん読むようになりました。特に海外の作品は音楽以外の要素も多く含んでいるので、それを解読する際にも、音楽以外の書物から得た知識やアイディアはとても役に立ちます。今回は日本語で

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いま、今野雄二を読むということ 『今野雄二映画評論集成』



 先日、『今野雄二映画評論集成』を読了しました。本書は、4年前の2010年、奇しくも僕の誕生日と同じ日に自死された評論家、今野雄二さんの映画評論集。2011年には、これまで残してきた音楽評論をまとめた『無限の歓喜 今野雄二音楽評論集』、そして今年1月には未発表小説集『恋の記憶』が出版されたりと、ここ数年のあいだに、今野雄二再評価とも言える気運が出来つつある。

 テレビ番組『11PM』で映画紹

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