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音楽レヴュー 2

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2021年1月の記事一覧

Yu Su『Yellow River Blue』



 中国で生まれ、現在はカナダのヴァンクーヴァーを拠点とするアーティスト、ユー・スー。筆者が彼女のサウンドに触れたきっかけは、2016年にGeneroからリリースされたアルバム『AI YE 艾葉』だった。サウンドコラージュとローファイな音質が特徴の心地よいアンビエント作品で、多彩なアレンジや複層的シンセ・サウンドなど多くの魅力で溢れている。

 『AI YE 艾葉』のリリースから3ヶ月経った20

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Various Artists『Modernation Vol 2』



 ここ最近の音楽シーンを見ていると、《イタロ》の観点から興味深いと感じる動きが多いのに気づく。ヤング・マルコ主宰のレーベルSafe Tripは、『Welcome To Paradise』シリーズ(2017〜18)で古のイタロ・ハウスを蘇らせた。サウス・ロンドン出身のシンガーであるジェシー・ウェアも、『What's Your Pleasure ?』(2020)でナンバー・ワン・アンサンブルあたり

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Shame『Drunk Tank Pink』に刻まれた生乾きの感情



 サウス・ロンドンの5人組ロック・バンド、シェイム。彼らが2018年にリリースしたデビュー・アルバム『Songs Of Praise』は、あらゆる情動が渦巻くエネルギッシュな音楽でいっぱいだ。性急なグルーヴを生むバンド・アンサンブルはささくれ立った緊張感が漲り、それでいて紡がれるメロディーは親しみやすいものばかり。“One Rizla”や“Friction”などは、ライヴハウスで観客とシンガロ

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(G)I-DLE((여자)아이들)「I Burn」



 6人組グループ(G)I-DLEが発表した4枚目の韓国ミニ・アルバム「I Burn」は、彼女たちの表現力と音楽性を拡張させた作品だ。ファースト・ミニ・アルバム「I Am」(2018)から続く《Iシリーズ》の一部でありながら、これまでとは違うカラーを見事に打ちだしている。ムーンバートン、ハウス、ディスコといった西洋のポップ・ミュージックを取りいれつつ、“화(火花) (HWAA)”ではヘグム的な

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