53日目 思い立ったが吉日

骨盤にささっているピンの挿入部分は赤く、じわりとした痛みがある。大丈夫だろうか。

今日はシャワーの日。介助がほとんどいらなくなった。ただ、両足で立つくこはできても、歩くことはできない。左足に全体重をかけていい状態になるまでは。椅子を動かしたり、ものを移動する時は看護師さんに手伝ってもらう。

OTさんとおしゃべりをしながら左手首をリハビリをする。仕事の話、身の上の話、OTさんは聞き上手だ。

昼食前、お隣ベッドの女の子がスピーチカニューレをつけた。私もたどった道だ。自分の時と重ねてしまう。今までしゃべれなかった彼女の声が、きこえてくる。おめでとうと、言える関係ではないので、心の中でこっそりと。

夕食後、整形外科の担当の先生が、ピンの様子をみにきてくれた。ぴんの挿入部から膿がでたと報告をうけたという。歩行訓練でひどく骨が痛むかきかれ、そんなことはないと答えると「ピンを抜きましょう」

はい。

「今から」

!?

急だな!

ピンの挿入部は皮膚がひきつられ、チクチク痛かったので、ぬいてもらえるのはうれしい。処置室に行くのかな?麻酔かけるのかな?

いやいや、ベッド上、ここで抜きます。と。5㎜のレンチが用意される。

サポートに入ったのは、高校の同級生の看護師くんだった。先生の処置を支える。骨にささっているピンがぐるぐると回される。ごりごりと骨盤が響く。不思議と痛みはあまりない。

「一瞬だけ、痛いですよ」と言って、ピンを回しながらズボッ・・・と引き抜いた。肉と皮膚を通過するその一瞬、痛みが走る。思わず口から「うおっ・・・」とこぼれる。

抜いた穴から、すーっと血が流れる。それを看護師くんがガーゼで押さえる。

これをあと5本・・・。き、きあいだ、きあいー!

骨盤にあいた6つの穴は、分厚いガーゼで閉じられた。動いたら血がしみてくるんじゃないかと、怖くて動けない。そのまま寝た。

 





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?