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【短編】板の世界

「なんだよ、ここは」
辺り一面「板」が散乱していた。

いつものカフェが空いて無く他の店をさがしていたら、人が居なくて空いているカフェが見つかってそこに入ったのまでは覚えてる。でも入ったその先からは記憶がなく急に世界が「板」になってしまった。

机も、車もなにもかも。

目の前にカフェの女主人がいる。
もちろん女主人の来ている服も「板」になっていた。
なんだ?どういうことだ?俺は困惑していた。

すると、女主人が口を開いた。
「ご注文はどうしますか?」

なにを言ってるんだ?この状況がわかっているのか?カフェの内装はもちろんのこと、周りを見渡すと車もスマホもなにもかもが「板」なんだぞ?

外の人たちはそれを平然と運転したり、通話したりしてる。

なんなんだ?この空間は?

俺は手元のカバンの中を見てみた。
すると、カバンも服も何もかもが「板」になってしまっていた。

だが、板になっていても服は服だし、車は車になってる。

俺はこの状況を飲み込めないでいたが、女主人が注文を取ってきたので
反射的に「コーヒーとサンドイッチ」を頼んだ。

すると女主人はニヤリと笑った。

出てきたものは、きちんと「コーヒー」と「サンドイッチ」の形をしていた。

「・・・これって?」

女主人はまたニヤリと笑った。

「これが貴方の世界と私の世界の違いよ」

俺は黙り込んでしまった。

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