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【私への手紙】オトコとオンナのおとぎ話 #1

未来の私に会えるなら
現在の私は、どんな言葉を伝えるのだろうか。

『イイオンナになったね』なのか?
『相変わらずダメオンナだね』なのか?

未来の私は、一体どんな私になっているのだろうか。

ドラマのようなベタな恋愛や
おとぎ話のようなハッピーエンドも
そんなの所詮、誰かの作り話。
現実は思うようにいかないことだらけ。

そう思っていた。

いや、そう思い込んでいた。

別れてもずっと好きだった昔の彼。
その彼が結婚することを、共通の友達から聞いた。

「アイツ、結婚しちゃうんだね。」
「アイツが決めた人なら、きっとステキな女性なんだろうね。」

そう言いながら、私は涙が止まらない。
自分の気持ちにケジメをつけて、終わりにしたはずなのに。
それなのに、なんで悲しい気持ちになるの?
なんで私じゃなかったの?なんで?なんで?

私は、みっともないくらい泣いた。
そして、みっともないオンナになった。

今から10年前、アイツと別れた。
「10年後、お互い相手がいなかったら結婚しよう。」
別れ際、アイツに言われたその言葉を、私は心の隅っこにそっとしまっておいた。
その言葉を忘れてはいなかった。

それでも、アイツが結婚するときは、心から素直に「おめでとう」を言えるオンナになるって…
そう決めたはずだったのに…
現実は、やっぱり思うようにいかないや。

幸せを感じたアイツとの思い出が蘇る。
そして、思い出は、思い出すことで余計に淋しくなる。
淋しさと闘う余裕なんて、今の私には無い。
だからこそ、昔の思い出を『過去のこと』にしたくなかった。

10年前、本当は別れを受け入れたくなかったのかもしれない。
受け入れるのが怖くて、現実から逃げていただけなのかもしれない。

世の中も友達も、周りは前に進んで成長しているのに…
私は、10年前の私のまま。
時間だけがどんどん過ぎて、心は10年前に置いてきたまま。

「何やってんだよ、私。」
「いい加減、今を生きなきゃ。」

泣きながらそう呟いた。
自分のことが、すごく情けなく思えてきた。

この淋しさは、どうしたら消えるの?

つづく

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