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”思考のメガネ”のその後…。

あの時以来、心に残りつづけ、口癖のように発している”思考のメガネ”というコトバ。
そして、”思考のメガネ”を通じて実現したいことは、”思考のとびらをひらく”こと…。


また、悩む。自分。

思考のメガネを通じて思考のとびらをひらく。
そんなことを想い続けて、授業がはじまって3週間。
授業も軌道に乗ってきた今、また悩み。ふと、思う。

思考のメガネは、メガネであるから、メガネをかけて対象を見た時、ピントが合う場合もあれば、合わない場合もある。
でも、びったり「ピントが合う」メガネに出会うこともそうはないだろう…

ふと、浮かんだこころの声。

眼鏡店で本物の眼鏡をつくる時、視力を測定したり、目の状況を様々な視点から測定したりした後、いろいろなレンズを組み合わせて、ピントが合うレンズをつくっていく。

そうか!
”ピントがあう”ためにはレンズの組み合わせが必要なんだ!

そんなとき、偶然流れてきた安斎勇樹氏のつぶやき。

レンズには、学問的レンズ、職能的レンズ、趣向的レンズがあり、これの組み合わせで、対象を”みる”。
なるほど!多様な掛け算が存在するのか!

レンズの組み合わせ

自分が担当している”倫理”という科目。
多くの哲学者・思想家たちが、”思考のメガネ”を提示してくれる。
その思考のメガネをかけた時、合うも合わないもある。

では、思考のメガネを、哲学者・思想家たちの”思考のレンズ”としたらどうだろう。
そして、Aという哲学者の思考のレンズとBという思想家の思考のレンズを重ねて、ある対象を見たらどうなるのだろう…。

もしかしたら、Aという哲学者の思考のレンズだけでは、ピントが合わなかったものが、Bという思想家の思考のレンズを重ねることで、ピントが合うかもしれない。
また、Aという哲学者の思考のレンズに、Cという隣の席の友人の思考のレンズを重ねてみたらどうだろう。
さらに、Bという思想家の思考のレンズに、数学という他の科目の思考のレンズを重ねてみたらどうだろう。

なんだか、面白そうなことが起こりそうな気配…。

無限のレンズの組み合わせ!

私は、”思考のメガネ”というコトバの衝撃によって、Aというメガネ、Bというメガネ、Cというメガネ…。というように、「Aをかけて・見て。それをはずして、Bをかけて・見て。それをはずして、C…」とバラバラに捉えていた。
でも、科学が「巨人の肩に乗る」ことで、あらたな発見を繰り返してきたように、組み合わせることで、見えなかったことが見えるようになることもあるはずだ。
ということは、無限のレンズの組み合わせが生じることになる。
なんと面白いこと・興味深いことだろうか!

「探究」の大切さ。

先日の木曜日。
本校の3年生による「総合的な探究の時間」の最終発表会があった。
約1年間をかけて、自己(グループ)で設定したテーマについて探究したことについての発表会だ。
発表の内容は、単にテーマについての探究内容を整理するのではなく、
「なぜそのテーマなのか、テーマの変遷、探究する中での葛藤、見いだした自身の軸、”探究”前後での視点の変化」
ということが語られていた。

どの発表も、素敵な内容だった。
とにかく、「テーマと向き合い続けたプロセス」が語られていたことが素敵だった。

プロセスの中で…

そのプロセスが語られる中で、「生徒たち自身は、自身が気づかぬうちに多様な思考のレンズを組み合わせている」ことに気がついた。(「本人たちは”思考のレンズ”を組み合わせた」というコトバを発してもいない。)
自身の思考のレンズと学校内外のリアルな大人の思考のレンズ。
先人たちの思考のレンズ。友人たちの思考のレンズ。大学生の思考のレンズ。専門化の思考のレンズ。インターネット内にある思考のレンズ。
論文内にある思考のレンズ。などなどたくさんの思考のレンズ。
時には、自身の思考のレンズを磨いてみたり、わざと曇らせてみたり。
そうやって、さまざまなレンズを組みあわせながら、テーマに迫っていっていった様子がよく分かった。
テーマに対する明確な成果を見いだせなかったものも数多く見受けられたが、たくさんのレンズを組み合わせてテーマという対象をみたプロセスはよくわかった。
そこに「探究」に取り組んだ大きな価値があるだろう。

「探究」の意義と価値

どうしても、探究のテーマに対して何らかの価値を提案できること。いわゆる最終成果に目がいきがちではあるけれど、生徒自身にとっての価値はそこだけにあるわけではないだろう。
たとえ立派な成果物を提示できなかったとしても、多くの思考のレンズを組み合わせることによる試行錯誤を通じて、自身の持っている思考のレンズに気づいたり、曇っていたレンズを磨いたりして、対象に対する迫り方を学ぶことができたのなら、自身のレンズの変化の磨き方や曇らせかたを学べたのなら、そして、それに自分自身で気づけたのなら、それが素晴らしい成果なのだろう。

だから、また授業づくりをがんばろう

高校でも新教育課程がスタートして3年目。
いよいよ完成年度を迎える。
重要なポイントは、「探究」を軸とした「科目」のあり方。
「探究」を支える「科目」。そして、「探究」を通じてまた「科目」に還ってくる往還。
「思考のメガネ」そして「思考のレンズ」でものを見る面白さを一緒に考えようと思う。

「探究」の支えになってくれるように。
「探究」を通じてまた「科目」に還ってくることの楽しさに気づけるように。

それが、きっと生徒自身のキャリア形成にもつながっていくはずだから。
そして、見いだした自身の「思考のレンズ」は、卒業後の生き方にもつながっていくはずだから。

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