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行政を動かすためのテクニック~一般質問のコツ②おわり

 一般質問という結構マニアックな話題ですが、もう少しお付き合いください。いきなり余談となりますが、一般質問には一括方式と一問一答方式があります。一括方式では、議員が複数の質問をまとめて投げかけ、行政もまとめて答弁します。これに対し、一問一答方式は一つずつ質問して、一つずつ答弁が返ってきます。一括方式は、最初に質問全体の趣旨が分かりやすいメリットがある反面、どの質問の答弁なのかが分かりにくくなるのが欠点です。また、一括方式の質問は3回までとなっていることが多いため、行政に煙に巻かれる可能性も。一問一答方式は、制限時間内なら何回でも質問でき、質問と答弁の流れも分かりやすいので、現在では主流となっています。

 さて、本題に戻ります。様々な関門を突破して行う一般質問ですが、行政側から市民にとって有益な答弁を引き出すためにはそれなりのテクニックが必要です。

テクニック同じ質問を何度も繰り返す

 一般質問は1度質問したら終わりではありません。時期をあけて何度でも同じテーマについての質問をすることが大切です。特に大きな予算が必要となる政策の提案は、行政も簡単に実行するとは言えません。場合によっては5年、10年と訴え続けることなるかも知れません。それでも粘り強く質問し続けることが肝要です。
 これは市民が行政に頼み事をする際にも有効です。「お願いします」で終わってしまっては、ほぼ効果は期待できません。「お願い」に応える義務はないからです。行政側からすれば「こんな声があったな」で終わりです。いつまでにできるのか、検討するかの期限を付け、できれば文書で回答をもらいましょう。「できない」という回答なら、なぜできないのか、どうすればできるのかを質しましょう。多少は違うと思われます。

議員とは、この「お願い」を市民に代わって、あるいは市民を代表して行うのが仕事だと理解して頂ければ幸いです。その効果は、一人ひとりの市民が行う場合よりも、多少ですが違います。ただ、そのお願いは、ある特定の個人ではなく、市民全体の利益に繋がるものかどうかを判断しなければなりません。

テクニック②法を盾にする

 12月議会の一般質問で使った手法がまさにこれです。

 国が、平成28年に制定した教育機会確保法は、不登校の児童生徒に十分な教育の機会を確保することを目的として、民間のフリースクールなどを学校教育を補完する場として位置付けています。そのために、基本理念の一つには「国、地方公共団体、民間団体等の密接な連携」を掲げています。

 しかし、この法律は全国各地の地方自治体、学校、教員によって対応にはかなりの温度差があり、まだまだ多くの教育現場で浸透していないのが実情です。教員はもちろん、子ども自身、保護者や世間でも、「学校に行かないのは良くないこと」「学校に復帰することが最終目標」という意識から抜け出せないままのようです。

 理由の一つには、この法律には、守らなくても罰則規定がないことです。いつまでに、というような努力義務も課せられていません。このような法律は理念法と呼ばれます。ですが法律は法律です。一般質問で「民間との連携が進んでいないようだが?」と聞かれれば、行政は「できません」「やるつもりはありません」と答えることはできないでしょう。「検討します」「進めます」としか答えようがないのです。これが狙いです。このような言質を取った上で今後、その進捗について再度、質問を行っていきます。

一般質問のネタ探しに苦労されている地方議員のみなさん、この法律はとってもオススメですよー。あなたの地域でも、この法の理念に沿った施策が行われていないようでしたら、是非ともこのテーマで一般質問してください。みんなで全国の学校に馴染めない子どもたちの力になりましょう。学校に行かない子はダメという社会の認識を変えましょう。

 この国の学校教育は、勉強ができる子を増やすことを目的とし過ぎているのではないかと感じます。少なくとも小学校では、できないかも知れないけど、勉強することが好きな子が増えるような教育をすべきではないかと考えています。この話はまたの機会に詳しく書こうと思っています。


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