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「エミリー、パリへ行く Emily in Paris」を観て感じたこと

このNETFLIXドラマシリーズ、ちょっと前にリリースされ、主にフランス側からパリの描き方に対して「そりゃないぜ」と、話題になっていました。

アメリカ人のエミリーが、パリに仕事の為にやって来て…というストーリー。

パリジャンもしくはフランスに住む人からの批評

ちょっとステレオタイプが過ぎるな、と途中から話半分で観ていました。というのも、初めに批評記事を読んでしまっていたので、覚悟はしていたものの、シーズン1を観終えた今、同意するのが

見た目、美味しい

と書かれていた記事。なんか分かる。

映像が綺麗で、花の都パリに行きたくなる。美しい人々が沢山出て来ますしね。

私は、お一方フランスにお住まいの日本人をTwitterにてフォローしているのですが、具体的にドラマで描かれてないパリのリアルを紹介してくれていて、面白いなぁ~と思って読みました。

ライターさん、またはウェブサイトによっては、辛辣な批判もあったりします。しかし、思い返してみれば、外国のテレビ番組や映画が日本をフューチャーする時とかも、同じ事が議論されがちなんですよね。事実と違う!悪意がある!とか。ま、所詮エンターテイメントなんで、ある程度は目をつむりたいと思うのですが、やっぱり母国を違うように切り取られると、噛みつきたくなってしまうのが性。

ちなみにYoutube上では解説動画がたくさん作られていて、いい。パリに住むアメリカ人とフランス人の解説。二人が全体的に落ち着いていて、説明もとっても分かりやすい。実際に、アメリカ人としてパリにやって来た彼なりの視点もユニーク。彼女のニュートラルな視点も素敵。

こちらの方も丁寧に説明してくれていて、とても興味深い。彼女はNYに住んでいたようで、その時の経験も含めたお話。途中、急に日本の話が出て来てビクッとしてしまう。

国や地域ごとの文化の違い等、説明や体験談を聞いたりするのが大好きなので、このドラマをきっかけにこうした学びがあって有難い

あと、英語で解説という点がコンテンツとして成功していると思う。「これ変だよ」とフランス語で言われても、視聴者はフランス語話者だったり、フランスに元から興味がある人。フランス語を話さない私には入って来ないものなのだ。そう考えると、これから日本に対して歪曲された何かに「これ変だよ」という指摘は、英語やその他の言語で発信すべきだな、と当たり前の事を思った。

実は、昔、たまたまTwitter上で見つけた人種差別的表現がひどいコマーシャルビデオに対し「出た、また日本」みたいなコメントが付いていたので、これは…と感じ「でも、この作品は日本のものではありません」と返信した事がある。相手はすぐに「教えてくれてありがとう、確かに概要欄に記載があったね」と返してくれた。間違いは誰にでもある。

新参者としてエミリーに郷愁を覚える

私も日本からカナダに移り住んだ身。国をまたいで引っ越しをし、カルチャーショックを経験した。

まず、感じたのが「懐かしいなぁ、この感じ」という観点。

私がここにやって来たのは2016年。仕事を辞め、一年だけのワーキングホリデーのつもりでした。何もかもが新しくてきらめく毎日。何でも写真に撮る。街を歩くだけで楽しい。出勤する自分かっこいい!なにやっても、どこ行ってもハッピー!多少、英語が伝わらなくても「指さしでなんとかなるじゃーん」みたいなノリもありました。

そう、エミリーと全く同じ。

新しい土地にトキメキながら、おのぼり感出していたと思います。そんな昔の私を思い出して「甘いな…」と玄人感で呟く自分。いやいや、まだ永住権通ってないんですけどね。

同じと言えば、既にお気付きになられた方もいるかもしれませんが、英題が「Emily in Paris」私のページ名も「May in Canada」である。いやぁ、ついついね、こんなタイトル付けたくなっちゃうんですよ…完璧、浮かれちゃった☆キャピ☆の世界です。

外国人労働者として、エミリーに異論を唱える

ところで、冒頭でフランス側からの批判、訂正をご紹介したが、米国側から「うちらの事、空気読めないやつみたいに言いすぎじゃない?」という意見もある。

エミリーは、今のところ、「アメリカでは普通ですけど?」「アメリカのやり方はね…」みたいに大分押すのだ。私はエミリーに感情移入しがちの北米住みであるが、それでも「いや、やりすぎやん?」という感が否めない。

やっぱり他国で「母国ではこうよ!」と言うのは、彼女の職業柄、もしくはその為に来仏したというのもあるが、ちょっと頂けない。私も常々、カナダマジか…オーカナダ…(国歌)と思うことはあるが、それがカナダなのだ。文句を垂れた所でどうしようもない。文化や彼らの価値観をリスペクトする事を忘れないようにしたい。

(これ、我々在外邦人が呼ばれがちである「出羽守」にも通じるものがある。私は当地の文化や主に幼児教育について素晴らしいと感じるものがあるが、それを他人に伝える時「出た、外国が一番主義者」とバリアを張られることを恐れている。素晴らしい点は共有したいし、勿論カナダのダメな所もたくさんあるのだが。伝え方って難しい)

ちなみにこの思いを確認すべく、カナダ生まれの友人に少し聞いてみた。「エミリーの観た?(彼女はシリアルキラー系やGame of Thronesが好き。でも姉がラブコメ好きなので観ているはずと踏んだ)」

友人C「観たよー、別に好みでは無かったかな。フレンチガイは良い感じだったよね。好きだった?」

私「うん、彼いいよね。ストーリーはよくある感があったけど、まぁでも楽しんだよ。ところでさ、フランス側の視聴者はステレオタイプに意見したりしてるけど、アメリカ人の描き方についてはどう思った?Cはカナダ人だけど。」

友人C「分かる。でもエミリー、他国の文化を全然認めようとしてないよね。彼女、現地の人達にアメリカ流を受け入れてもらうことを期待している。例えば、Mayが急に”日本ではこうだから”とアピールして来たら戸惑う」

との事。

「我流」は良くない。

私がパリを訪れたのは約10年前。街角でアイスが食べたくて道行く人に「この辺で美味しいアイス屋さんご存じですか?」と英語で聞いたら、本気でみんな避けて行かれた。でも、それも今なら分かる。文全部とは言わないが、「Bonjour」とフランス語で挨拶くらいはすべきだった。

それから、よく当地日本人界隈で囁かれるのは、道端で中国語話者から突然中国語で話しかけられるやるせなさ。やっぱり「Hi」と、最初は来て欲しいものなのだ。

エミリーがフランス語ビギナーという点については

シンプルに、仕事をする上で、フランス語を話すことはマナーでもあるんじゃ?と心配している。フランス語を話す人々のいる現地の会社で働くなら。頑張れ、エイミー。

旅行と住むのは違うと教えてくれる秀逸なコンテンツ

やっぱり旅行で知るアレコレと、働いてみて&住んでみての体験は別ものだと思う。長期間住んでみて知る真実もある。

私が4月にトロントに来た時、地下鉄やバスの床が白っぽく、なんでこんなに汚いんだろう、と思っていた。次の年の冬に気が付いた。4月まで雪が散らつく当地。あれは、雪を解かす為の塩。靴裏についた塩が床を白くしていたのだ。もしかしたら、冬の間にここにやって来て帰って行く人は「トロントは汚い街」と思って終わるかもしれない。

それから私は台湾が好きで、これまでに数回渡航しているが、台湾出身のパートナーが出来てからは「私が知っていると豪語していた、知っていた台湾はほんの一面でしかない」ということを実感している。日々「え?これ食べた事ないの?」と知られざる台湾名物に出会ったり、常識が覆されていく。

旅行して、その国の全てを知った気になっちゃ駄目だ。

良いところも悪いところも全部ひっくるめて、多文化を学ぶ。深い…

折角だから番外編でエミリー、東京へ行く

とかやってみて欲しいな。チュニジアに行く、とかインドに行く、とかも楽しそう。

ナニーとして働く元リッチアジアン、ミンジーに感情移入もする私

何を隠そう、私、元ナニーなんです。ナニーとは簡単に言うと、フルタイムのベビーシッター。

カナダに住みたくてしょうがなくて、こないだまで移民の一つの登竜門であるケアギバープログラムの下、働いていました。

エイミーがたまたま街で出会って仲良くなる友人ミンジー。実は、中国のとんでもない富豪の娘、という設定。彼女は家の事業を継いでほしいお父様と方向性の違いで縁を切ったらしい。ドラマの中では「フランスが好きだから、生きるためにナニーとして働いてるのよ」みたいなセリフもあった。富豪の娘という点では共通点のキの字もないが、「カナダが好きだから、カナダで生きるためにナニーをした」っていうのは私も同じである。

更に彼女は言う。「ここでプー太郎してても、誰も気にしないのよ。それがパリ」かぁ~っ!!!私には継げる事業はないが、両親と仲違いもしていないが、分かる!分かるぜ!ミンジー!!私も絶賛プー太郎中(一応学生)だが、誰も気にしていないぜ!アジアのしがらみから抜け出た者同士、そこ分かる。

ちなみに、ナニーとして働いていた時「日本人」と名乗ると、結構「え、先進国からやって来たのに?」みたいな反応を受けがちであった。ミンジーは中国語で子ども達のお世話をする、いわば家庭教師のような役割も並行して行っているが、フランスでもそんな風に言われたりするのかな。ミンジーのそんなとこもシリーズ2で描いてくれたら面白いのにな、なさそうだけど。

ナニーについては原作本が話題になった、映画「The Nanny Diaries」邦題は「私がクマにキレた理由」が分かりやすくて面白いです。NYでスカーレット・ヨハンソン演じるアメリカ人女性アニーが、ひょんな事からナニーとして働く、という話。日本ではナニーが主流じゃない事もあって、あんまり知られていないのですが、オススメです。あ、メリーポピンズもナニー。元祖。

オススメ宣伝ビデオ

もともと主演のリリーコリンズが好きだったのを、恐らくYoutubeが覚えていてくれて?宣伝動画がオススメに上がって来たこちら。本編を観る前にこの動画を観て、私が夢中になったのはリリーではなく、ナニーのミンジー役Ashley Park

こちらのお方!ミュージカルの方!!!彼女の美声、リラックスさとフレンドリーさ、一気に大ファンになりました。

これは「出されたお題(単語)が歌詞として歌われている曲を即興でカラオケ」企画。二人の楽しいおしゃべり感、友達感最高に楽しいです。是非。サムネ画像だけが何故だかキメキメだけど、中身はめっちゃカジュアルなのでご安心を。

それから、このドラマ関連で好きだったツイートがこちら。

「パリにいるべき唯一のエイミー」

分かる~私はずっとエミリー派。

最後まで読んでくださりありがとうございました。色々言われているけれど、結局みんななんだかんだ言って、好きな様子のこのドラマ。お時間がありましたら是非チェックしてみてくださいませ。他の方の感想noteも面白かったです。

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