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【温泉ソムリエがお伝えする】泉質の特徴を知る

こんにちは

温泉の泉質は、
含有される成分の種類や量によってさまざまです

温度、pH、色、におい、肌触りなど
温泉によっていろんな特徴があります

泉質は10種類に分類されていますが
正式な泉質名はイオン名との組み合わせであったり
特殊成分などにより細分化されます

今回は泉質別に特徴がよくわかるようご説明いたします


【単純温泉】みんなが安心して入浴できる優しい泉質

本来、自然湧出する温泉としては
塩化物泉が日本で一番多かったと言われていたようですが
掘削技術の進化により、
単純温泉が日本で一番多い泉質となったようです

"『単純』という名前がつくから、
大したことのない温泉だ"、と誤解されそうですが
実際には自宅のお風呂に入浴剤を入れたお湯よりも
濃度を持ったものがほとんどで
成分が単純なのではなく、

源泉温度が25℃以上あっても、
含有成分が一定値に達していないもの
をいいます

刺激が少なく、マイルドで湯あたりしにくく、
老若男女問わず安心して入浴できる泉質で
家族の湯といわれたり

刺激が少ないことから
脳疾患のリハビリなどに利用され、
脳卒中の湯とか神経痛の湯ともいわれています

ちなみに、pH8.5以上はアルカリ性単純温泉、
pH7.5以上は弱アルカリ性単純温泉とされています

弱アルカリ性単純温泉は、美肌の湯といわれています


【塩化物泉】温まりの湯・熱の湯

海水の成分に似た塩分を含んでいるので塩辛いです

皮膚に塩分が付着するため、
温泉成分がコーティング効果により
汗の蒸発を防ぎ、湯冷めしにくく
保温・保湿効果が期待できます

そのことから、温まりの湯、または熱の湯
いわれています

肌の角質を取る美肌の湯に入った後に
塩化物泉に入ると、良いでしょう

また、塩の殺菌効果で傷に効くといわれているので
傷の湯ともいわれています


【炭酸水素塩泉】クレンジングの湯

かつて旧分類では、重炭酸土類泉と重曹泉に
分かれていました

重炭酸土類泉→カルシウムー炭酸水素塩泉
重曹泉→ナトリウムー炭酸水素塩泉

重炭酸土類泉は、カルシウムorマグネシウムイオンによる
鎮静効果と、けいれんや炎症を抑える作用があり
アレルギー疾患や慢性皮膚病、じんましんなどにも
効果が期待できるといわれています

重曹泉は、皮膚の表面を軟化し、
肌をなめらかにするのが特徴で
皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流すため
石鹸のように皮膚を洗浄します

そこで、皮膚表面から水分の発散が盛んになり
体温が放散されて清涼を感じるため、
清涼の湯、または冷えの湯とも言われています


【硫酸塩泉】若返りの湯

含有成分により、若干効果に違いはあります

カルシウムー硫酸塩泉(石膏泉)は、
カルシウムの鎮静効果が高いため
昔から傷の湯脳卒中の湯といわれ、
高血圧症、動脈硬化症、脳卒中、慢性関節リウマチ、
うちみ、きりきず、やけど、痔、ねんざ、
乾癬、慢性湿疹、ニキビ、皮膚のかゆみにも
良いとされています

ナトリウムー硫酸塩泉(芒硝泉)は、
ナトリウム成分による保湿効果で体が温まり
痛みを和らげる鎮静作用があるとされていて、
高血圧症や動脈硬化症、外傷に効果があるとされています

マグネシウムー硫酸塩泉(正苦味泉)は
上記のほかの硫酸塩泉と同じ効果がありますが
特に高血圧症の血圧を降下させ、脳卒中後のまひを改善し
動脈硬化者予防の効果が高いそうです

また、生活習慣病への効果とともに、
血液に多くの酸素を送り込む作用があり
細胞分裂を盛んにして肌の蘇生効果が高いと
いわれていることから若返りの湯ともいわれています


【二酸化炭素泉】血行促進の湯・心臓の湯

炭酸ガスが毛細血管から取り込まれ、心臓に負担をかけず
血行促進ができるので、血行促進の湯といわれています

ぬる湯でも保温・保湿効果が大きいのも特徴です

心臓の拍動を増加させなくても
血液の循環が良くなるため、血圧を下げる特徴もあり
高血圧や心臓病に効くのはこのためで、
心臓の湯ともいわれています


【含鉄泉】婦人の湯

鉄分を含んだ湯は、源泉は無色透明でも
空気に触れて酸化し茶褐色(鉄錆色)になります

なめると鉄臭いです

よく温まり、リウマチ性疾患、冷え性や更年期障害、
子宮発育不全、月経障害、鉄欠乏性貧血など、
女性にあらわれがちな症状に効果的であることから、
婦人の湯といわれていて、
これは含鉄泉の泉質別適応症で唯一、含鉄泉のみに
あてはまるそうです

ちなみに、赤湯と表現されるような
茶褐色の温泉がありますが、
含鉄泉の規定値まで鉄を含んでいる温泉は少なく
希少な泉質といわれています

ちなみに多くの赤湯は含鉄泉ほどの含有量はないものの
塩化ナトリウムの影響で鉄錆色に変化します

含鉄泉と泉質名がつくと時間の経過とともに
鉄分の酸化が進み、かなり濃い濁り湯になるそうです


【硫黄泉】解毒作用のある湯・シミ予防の湯・生活習慣病の湯・メタボの湯・痰の湯

硫化水素イオン、チオ硫酸イオン、遊離硫化水素の
合計(総硫黄)が2mg/kg以上の温泉です

厳密には単純合計でなく、
硫化水素イオン×0.970+チオ硫酸×0.572+遊離硫化水素×0.941で2mg/kg以上です

ゆで卵が腐ったようなにおいが特徴で、
もっとも温泉らしい泉質だと感じられます

換気の悪い浴場では、硫化水素ガスで
中毒を起こすことがあります

解毒作用があり、金属中毒や薬物中毒にも利用され
慢性皮膚病にも良いとされています

メラニンの分解を助けるため、
シミ予防・シミ抜きの湯ともいわれ、
ニキビや花粉症にも効果が期待でき
硫黄泉も美肌の湯に分類されます

また、動脈硬化症、高血糖、高血圧、耐糖能異常(糖尿病)
高コレステロール血症などの泉質別適応症があるので
生活習慣病の湯メタボの湯ともいわれています

ちなみに、硫黄泉は体に強い変調作用を与えるため
病弱者や高齢者などはなるべく避けた方が良いでしょう

また、効果が高い分湯あたりしやすく、
皮膚や粘膜が弱い方は
皮膚炎を起こしやすいので注意が必要です


【酸性泉】殺菌の湯・ピーリングの湯

すべての泉質の中で、一番強いといっても良いでしょう
文字通りpH値が低く、酸性度の高い温泉です

肌や目にしみるほど刺激が強く、
殺菌や肌の引き締め作用が強いのが特徴です

白癬症、トリコモナス膣炎、疥癬などに効果があり
皮膚病の湯ともいわれていたり、

また、古い角質を剥がして刺激を与えることで
新陳代謝が促進され、ピーリングの湯ともいわれています

酸性泉は刺激が強いため、病弱者、高齢者および
皮膚の弱い人などには適しません

体に強く作用するので入浴するとお肌がしみて
お肌の弱い人は湯ただれをおこすことがありますので
入浴後はシャワーなどで洗い流した方が良いでしょう

また、強い刺激を軽減するために、
お肌の角質は残しておいた方が良いので
石鹸やボディソープで体を洗うことも
避けた方が良いでしょう

刺激が強い分、湯あたりしやすい温泉です


【放射能泉】万病の湯、痛風の湯

ラジウム泉、ラドン泉とも呼ばれる温泉で、
文字通り放射能を含む温泉です

ラジウムという放射能物質が、
アルファ崩壊を起こした時に生成される
気体の放射能物質・ラドンを含みます

放射能というと、体に害があるような
怖いイメージがありますが
温泉中に含まれる成分は、湧出後空気中に飛散されるため
まったく心配ありません

ラドンは体内に取り込まれても
数時間で排出されるといわれ
半減期が3.82日と非常に短いそうです

『体に良いことだけして、すぐ消える』イメージです

ラドンは温泉に浸かりながらの吸入が効果的で
ホルシミス効果で免疫力が上がるといわれています

※ホルミシス効果とは、
ラドン(放射線元素ラジウムが崩壊してできる気体)が
体内で細胞を刺激し、細胞が活性化することによる
体の反応のことで、新陳代謝の向上、免疫力の向上、
抗酸化作用が期待できるといわれています

ラドンの含有量8.25マッへ以上が放射能泉に該当しますが
8.25マッヘ以上50マッヘ未満は弱放射能泉、
50マッヘ以上で放射能泉といわれているそうです

放射能泉は数が少なく貴重な温泉で
薬効の効率がもっとも高いといわれています

成分が失われやすい泉質なので、加温・循環せず
鮮度が良いことが大切です

高尿酸血症、痛風、尿路慢性炎症、糖尿病に効果があり
下垂体副腎系、卵巣、睾丸の機能を高める作用が
あるといわれていて、効能の幅が広いことから
万病の湯といわれています

また、入浴することで腎機能が改善され、
鎮静的に作用するので神経痛、リウマチ、神経麻痺、
自律神経過敏状態などに利用され、
尿酸を尿から出すことで痛風の湯ともいわれています

放射能泉は湯あたりを起こしやすいので注意が必要です


【含よう素泉】体質改善の湯

うがい薬でおなじみのヨウ素は活性度が高く、
強い酸化力で殺菌作用を発揮します

体内では甲状腺ホルモンの主要な成分で
大変重要な働きを発揮します

甲状腺ホルモンは全身の代謝を促進、内臓の働きを
活性化させるホルモンなので
皮膚や髪の更新を早めて美しくし、
コレステロールを下げ、動脈硬化の予防にも
効果が期待できる成分といわれています

ただし、ヨウ素を過剰に摂りすぎると
甲状腺肥大を起こすことがあります

バセドウ病のように甲状腺が過剰に働いてしまう
甲状腺機能亢進症があると、ヨウ素の摂取は
全身の過剰な代謝や激しい動悸を引き起こし、
最悪命に関わる危険もあります

甲状腺機能亢進症の方には禁忌でも、
ヨウ素不足の方にとっては大きな効果が期待できるのが
ヨウ化物泉(含よう素泉)です

飲用の泉質別適応症は、高コレステロール血症です
飲泉で総コレステロールを抑制します

含よう素泉は飲むと薬味がして、
ピリッとした感覚があるそうです

においは化学室のような薬臭さがあるようです


まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます

温泉の泉質の特徴をざっくりとでも知っておくと、
ますます入浴が楽しくなると思います♪

秋冬は、特に温泉がとても気持ちの良い季節です
この機会にぜひ温泉に足を運んでいただいて
この記事がいつかお役立ていただけたら幸いです

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