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二十歳の原点/高野悦子





購入本の中から、高野悦子さんの
「二十歳の原点」を拝読しました📖´-
(2023,10,28 読了)



以前観た「僕たちはいつも正しいわけじゃない」の中でゲスト出演されていた古賀史健さんが本書のことを素晴らしい日記文学とご紹介されていた。
とても有名な作品にも関わらず私は本書のことを知りませんでした。
古賀史健さんがおっしゃるなら拝読せねばと思い、すぐに購入して拝読してみたのです。





学生運動の最中、自ら命を絶ってしまった女子大生が二十歳の誕生日から命を絶つ直前までの日々を綴った日記を書籍化。
孤独と己の未熟さと、社会と真剣にに向き合っていた彼女の悲痛な叫び。
乙女らしい恋の悩み。
諸々が鮮明に書かれています。
詩人を目指していたという彼女の詩が時折挟まれているのですが、彼女の詩はとても瑞々しく読者の心に静かに響いてきます。



時代背景も年齢も全く違う彼女の心の叫びと、私の今の心情がところどころでなぜかリンクすることがあり拝読していて胸がギュッとなりました。

おまえは生きている。人に頼ることなしに、己の世界を築きあげるのだ。たとえ心房中隔欠損ぎみの心臓であっても、それが動き、血液を体内にくまなく流しこんでいる以上、おまえは、己の世界をどのように築きあげるかということに立ち向かっていくんだ。独りであることを忘れていた。独りなのだ、おまえ自身の世界をもつのだ。





私も、自ら命を絶ちたいと考えたことは何度となくあります。
頑張っても頑張っても報われないことに疲れて、もう充分頑張ったと幕を下ろしたくなって。
でも、結局これまで行動に移すことはありませんでした。そんな勇気(?)はなかった。
高野悦子さんも日記の中で何度も死をチラつかせているのですが、その度に自身を叱咤激励して前を向いて進もうとします。
そんな彼女がどうして結局自ら命を絶ってしまったのでしょう。



ひとつは時代背景が深く関係しているように感じます。
私は学生運動の時代の知識があまりにもないので、その頃の若者たちの心情がイマイチ理解できていません。なのでもう少しその頃の時代背景を知りたい。
タイミングを見て学生運動の時代に関する本を拝読してみようと思います。
時代背景を少し理解してから、また本書を再読してみたいです。


そして、時代背景とは別に要因があるとすれば彼女は聡明過ぎたように感じます。
自身と向き合うことは大切だけれど、あまりにも真面目に向き合い難しく考え過ぎてしまったのかなと。
彼女の葛藤の苦しさが文字から溢れていて、拝読している私も苦しくなりました。



知らない時代の、知らない人の心の叫びを知ることができるのは有難いことです。
そこから今の自分に必要な大切なものを得ることもあります。
改めて、書き残しておくことの必要性を実感しました。



本書をご紹介くださった古賀史健さんの著書「さみしい夜にはペンをもて」でも書き残しておくことの必要性が書かれていたこともあり、最近ひっそりと真面目に日記を書くようにしています。ただ書くだけではなく、時を見て読み返しその時々の自分を受容してあげたいものです。



彼女が生きてご自身の日記を読み返せていたら、また少し何か変わったのかなと思いますがそれは叶わなかった。代わりに彼女が書き残し書籍化された本書を多くの方が拝読したことで彼女を受容し浄化されているのではないかと勝手に思ってみたり。






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