#推薦図書『パンのずかん』(コドモエのえほん)
パンは好きですか?
そうですよね、パン、美味しいですよね。ふかふかで、いい匂いで、香ばしくて、たくさんの種類があって。パン屋さんに行くだけで、いや行くことを想像するだけでわくわくしますよね。わかります。
そんな方に、少し前に買ったこの絵本をおすすめしたいです。
まるいパン、しかくいパン、ながいパン、
まきまきパン、あげたパン、ぺたんこパン。
ぜんぶで104種類のパンが、つくられた国の国旗とともに
紹介されています。
まずなんといっても魅力的なのが、大森裕子さんの描くパン!
どれもこれも美しくておいしそう。みているだけで楽しくてゆたかな気持ちになるのは子どもも大人もきっと同じ。とくにパン好きにはたまりません。
あんぱんのゴマ、食パンにふつふつ開いた穴、何重にも重なったクロワッサンのカリカリ。どれもみているだけで食感や匂いを思い出してしまう。クロワッサンなんてもう、かじったときの音が聞こえてきそうです。
魅力的なのは、イラストだけではないですよ(思わずよびかける)。パンに添えられたコメントのひとつひとつも、楽しくておもしろいんです。(特にぐっときた箇所を少しだけアップさせてください)
たとえば
ぺたんこパン(ナンやピザ)の説明。
「うすい パンです。」
(うん!そうだね!)
やまがたパンの「パン・ド・ミ」
「イギリスパンと にている。」
(!!)
あげたパンの「ツイストドーナツ」
「てに ついた さとうを なめるのが、 また うまい。」
(わかる!)
「そうそう」という共感と「え?それ書いちゃう?」という意外性、言葉のチョイスが絶妙です。
『パンのずかん』には知識もいっぱい。
クイニーアマンはパン屋さんの××からうまれたとか、バゲットの切込みの数とか、コッペパンがあのパンと同じ生地でできているとか、おもしろいだけじゃなくて、パンの成り立ちや造形にも簡潔にふれられています。
だから「プレッツェルは”うで”という意味なんだ」とか、「ベーグルはアメリカでうまれたのか」とか、ながめているだけでおぼえちゃう。
知識とユーモアのバランスがちょうどよくて、ほどよく気の抜けた具合につくられているところが本当に好きです。
・・・
昨日の夜、夫がパンを買ってきてくれたので、さっそく『パンのずかん』を開きました。(いつでも見られるようにテーブルにおいてある)
カンパーニュ、ときどき食べてはいたけど「いなか」という意味だってこれを読んで初めて知りました。
わたしはカタカナをおぼえるのが異常に苦手なのですが、これならどんなパンも、その背景も自然に覚えられそう。
ちなみに『パンのずかん』をつかっていま一番やりたいことは、子どもの頃よくやった「いっせーのでスキなのを指さす」あの遊び。絵本をかこんで畳の上でうつぶせになって、お母さんが「そろそろご飯だよ」っていうまで、ああでもないこうでもないってさわいでいたい。もう子どもじゃないから無理? そんなことはありません。絵本は子どもだけのものじゃないのだから。
『パンのずかん』を買ってから知ったのですが、その前に『おすしのずかん』がすでに出ていたみたい。こちらも気になります。このシリーズ、ぜひ増えていってほしいです。ずかん、たのしい。
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